第9話 署長と博士
2026年10月某日
作戦について話すため署長室に混乱した博士がやって来た。
「ナムサンに会いたい、ココアかチョコレートはないか?」
「あれあれ、どうしたの博士」
「それがだな偽札を調べたんだ、それが精巧な偽物であるなら、本物と区別がつかないなら、それはもはや本物と呼んでも良いだろう、だが量子コンピューター解析では本物との違いが沢山出てくる…
それで破いたり粉々にしたりと色々試していたんだが手を加えると偽札自体が消滅する云わば自浄作用のような現象が起きたんだ。
これはあの薄い紙やインクなど何処かに状況の変化を認識するセンサー機能でもあるのではないかと推測したが偶然違う事実を発見したんだ。
あのアガルタテクのサンバイザーを使って霊視スコープで偽札を見てみると日本円札のはずがドル札に見えたんだ。
それで色々試してみてスコープを装着している人間の人種によって札が姿を変えて見せる事が分かった。
まるで札に意思がるかのように相手によって姿を変える。
人間の脳をだます事が出来る札だ。
これは理解不能、いくら量子の世界でもどう考えればよいのか、これが札ではなく車だったら、人間だったら?
これを可能にしている地球上にある量子の法則・・・」
腕を組んで聞いていた署長が口を開いた。
「はかせー、難しく考え過ぎなんじゃないの?
それがイギリス人たちの大好きな魔法の正体じゃない。
魔法と偽って脳に副作用を起こし奇跡を起こす。
問題は脳と、この宇宙なのよ。
それに日本人ならそういう事に慣れてるわ
シェイプシフターだって昔のおとぎ話に出てくるじゃない?
キツネやタヌキに化かされたっていう現象よソレ」
「動物が人を・・・いや人の脳に何か作用するのかね」
「まぁね、ありえないけど騙された後、現場にキツネの足跡が無数にあったり、変な体験した後にタヌキに出会ったりっと
山なんかで脳が騙され、ありもしない宿に宿泊したり、沢山の小判を手に入れたり喜んでると小判が全部、木の葉に代わってるなんて
作り話なのか実体験なのか知らないけど、人間の脳が正常に作用するようになのか、この地球が環境に影響を与え作用するのよ。
足跡だって人間が確認しない限り無くて当然の物、それを地球環境のプログラムが人間のためにつじつま合わせをして現実として見せるのよ。
不思議の正体は創造神のプログラムによる、この宇宙よ。
人間を皮肉った、たとえ話のような物語。
でも、そこに本質が隠れていて人間の認識や願望、思い込みや情熱が、この宇宙全体に影響を与え、その反射作用のように良いことも悪い事も現実になる、それが量子もつれでしょうが?」
「ふむ・・・」
「その世界を踏まえれば植物が薬になったり動物に毒が有ったり、多分だけど人間と哀れな魂のために創造神が完璧に作り上げたのよ、人間の科学力の進化と常識という壁を壊していくと、それに合わせて世界と宇宙も変化するように作られているのよ、
最近・・・まぁ実際は40年前から一部の地球人は知ってたんだけど月に200万年前からあったんじゃないかっていうホラ、かぐや姫がのった大きな宇宙船。
あれだって怪しいものだわ人間の脳が作り出した現実は月でも起こるのよ。
つまり人間の脳は受信機でありコンピュータであり性能さえ鍛え上げれば超能力で何でも可能。
人生は魂の進化をかけたゲームよ、神のプログラムへようこそ、プレイヤー、博士」
「うーん、そうか、想像していた量子の世界より一層不思議に感じるが、霊魂と魔法と人間の願望と脳か・・・
なんでもあり、という事か・・・
いや、この数十年で理解したつもりでいたが、目の前にゆるぎない証拠があるので・・・私はどうかしていた…
いや嬉しかったんだ、この事実と出会えて、なんだもっと早く署長の意見を聞くべきだった、署長が天界の女神様だった事、忘れておりました」
「ただ、そうも言ってられないの神だった頃の記憶はかなり消されているから、君子も失敗と無縁じゃない、盲点がないか、敵はあらゆる科学・物理学において私たちと同等かソレ以上の存在であると思うの、博士なりのシナリオ考えてるんでしょ?
おとぎ話や童話だって馬鹿にしたことは無いし、むしろ人間の発明した物語のほうが単純で分かりやすい。
不思議で理解できないものを人間は魔法だの霊魂だの神だのを持ってきて理解したのよ、生きていくためにね」
だまって聞いていたナムサン。
サンが口を開いた。
「あのーすんっごく退屈なんですが酒でも飲んでいいすか?」
「んだ、んだ」ナーとムーは横になって寝ている。
博士は、ようやく笑顔になった。
「これだよ、この三人が一番だ、量子もつれの生き証人だったなアハハハハハハッ」
ムーさんが博士に暴言を吐いた。
「署長、さけー、まあた腹減って来たし、博士、あんた何十年研究してんだよ、ぐるぐる回ってるだけでさ、チョット働き過ぎで躁鬱激しいよ最近、再婚でも考えたら?」
「あーっ、言ったなこの不良アンドロイドの出来損ないめっ!サイボーグをなめるなよ、柔道とレスリングはプログラム済みだ、いつかやってやろうと思っていたんだっ!
さあっかかってこいっ!」
博士は、この数十年の間に南署と北条を敵視していた某国のテロリスト
に攻撃され重傷を負った時に体を大部分サイボーグ化していた…
それは自らの家族を守るため命を投げ出した結果だった。
博士の家族はアメリカにジャンプして以降、身分を変えて
アメリカで暮らしている。
淋しくなればジャンプするだけで、いつでも会える…
「おー博士、とうとう正体現したな、これが何かわかるか」
カウボーイの格好をしたムーは実弾もプラズマ弾も発射可能な改造拳銃コルト・ピースメーカータイプをホルスターから抜いた。
「あっばかヤメロ」ナーさんがムーを羽交い絞めにして止めようともがき、サンさんは博士を羽交い絞めにして止めに入った。
ムーはもがきながら天井あたりにむけてプラズマ弾を数発、発射した。
署長は激怒
「やめなさいっ!」
「そんなものサイボーグには効かんぞっ」
「あぁ今すぐスクラップにしてやるっ!」
「やめなさい!やめなさああーいっ!!」
一瞬動きが止まり全員が署長を見た。
「ん?」
署長は振動ブレードを鞘からぬくと刀にスイッチが入り
静かに―ブーーーンと音を立てた。
署長の眉間にしわが寄り、冗談ではなさそうなのが解る。
「お前らこそ、神聖な署長室で遊びやがってっ!
この私が、お前ら全員を、真っ二つにしてやる・・・」
それを聞いたナムサンと博士は大声で叫びながら下の階に走って逃げだした。
「うわぁあああー」と博士
サンが珍しくふざけだした。
「大変だ―!!姫様、御乱心っー!!乱心じゃぁー・・・あはははははっ」
「アハハハハッ」
「うひょーっ逃げろ逃げろ」




