第19話 北条家に嫁が来る2
北条が言う
「さて仙人様、何かご希望はありませんか」
「いいや、それよりも異形の者三人の言葉が頭に、ぐるぐると回っておりまして落ち着かないので、はて、どうしたものか・・・・・
それに、いきなり結婚の前祝いなどと気が早すぎではないか」
「異形の者三人は、おそらく私の守護神ナムサンの三人です。あとで彼らには事情を伺います。しかし、身なりといい随分と、ご苦労されて、ここまでいらしたのではありませんか・・・・」
仙人は目が回って体がゆらゆらと揺れだした。
「なんと!あれらは本当に神の使いなのですか?…」
「はい、彼らは神の使いです。それが先日、彼らと酒を飲んでいた時に、うっかり嫁さんが欲しいと漏らしてしまったのは本当です」
「なんと・・・なんと・・・」
汚いじいさんは惚けたようになり、だれが見ても、めんどくさそうな、じじいにしか見えない。
そこへ北条の下男が仙人の弟子の若者を連れて部屋に入ってきた。
弟子と思われる二人も年齢がわからないほどボロボロだった。
二人を入室させると執事は
「今夜は宴会だぞ・・・・」と囁き
下男と執事は静かに部屋から出ていった。
北条が言う
「きっと女性に縁が無い上に、天涯孤独の私、あの三人が気を利かして動いてくれたに違いありません」
「わかりもうした。この際、なんとしても私の娘を嫁にしてくだされ、そして、また、あの三人と会わせてくだされ」
その時テレパシーで一とナムサンは会話していた。
「いい娘さんだぞ、北条さん」
「ありゃぁ美人だ」
「本当かナムサン」
「ありゃぁ性格もいいな」
北条は仙人・厳道に向き直った。
「はい、あの三人が決めた縁談ならば私も願ってもないこと、まして家族のいない私に仙人の父上ができるのであれば返って、こちらから、お願いしたいところです」
「おぉ、仙人の父上とな…」
それを後から入ってきた仙人の弟子二人も黙って聞いていたが
我慢できずに
―ダダダッっと走り寄って厳道の下半身に縋った。
「お師匠さまあーっ!!!よかったですねぇー本当にぃー・・・」
「うわーあーーーっ!!うーうーうわーあん、あ、あ、あっ」
よかった、よかったと弟子の二人は仙人じいさんに、すがりつき
おいおいと大声で涙を流して祝福した。
「なんと、なんと・・・・やはり夢では、なかった・・・・」
現代の仙人・厳道は何十年ぶりに自分自身を疑い弟子を巻き込み、
めちゃくちゃな旅の果てに
自分が狂人では無いことを証明して
その目に、じわじわと涙が湧いてくるのを実感していた。
この光景を見せられていた北条一と、いつ間にかアガルタテクノロシーを使用して透明な状態で同室していたナムサンたちは…
「学芸会の芝居でもあるまいに、なかなか寒気のする純粋な人たちだな」と苦笑していた。
「でも、良さそうな連中じゃないか」と一が言う。
いよいよ天涯孤独の元・大日本帝国軍人・中佐、北条一に大家族が出来そうな予感がした。
目の前には、汚い身なりの三人がグチャグチャになって泣いている。
『あーあーあー汚ねぇなあー』
北条はナムサンとテレパシーで話し合い四人共、笑いをこらえるのに必死だった…




