第10話 宇宙人ナ・ム・サン 1
さて喫茶店の営業が終了し帰宅した、えっちゃんと入れ替わりに約束通り
一凜署長と宮田ミキが店にやってきた。
勢いよくドアが開くとドアベルが鳴った。
―チリンチリン
「おーい、とりあえずビールふたつ」と一凜署長。
ミキも、いつもの優しい笑顔だった。
健一は厨房から出てくると
「晩ご飯まだでしょ、ナポリタン、ハンバーグとチャーハン、野菜サラダにポテトサラダ、で今週最後の、お味噌汁、あとチーズとサラミ用意しておきましたよ」
「へぇー気がきくじゃない、でもこんなにいらないかも」と署長。
「僕も食べますから足りないくらいですよ冷凍ですけどタコ焼きなんかもありますから、で、今日は何の話です」
「うーん、それが長くなるわよ、話」そして署長は天井を見上げると
「アガルタ・ロック」と言った。
その声に反応して店の天井裏で
―ゴン、ギューンンンーと作動音がして店の外が少し暗くなった。
『アガルタロック』とは、対象となる建物にアガルタテクノロジーのアンカーキューブを地面に打ち込み、シールド状の結界を作って建物全体を盗聴、透視、あらゆる物理的攻撃のみならず超能力など念力の攻撃すら防御し跳ね返す効果のある『防御シールド』の総称。
このほか未知の不思議な力には
「ヤハウェイマジック」創造神によると思われる人間などの消失現象。
「ヤハウェイブレーキ」創造神によると思われる行動の制限・時間の静止現象があるが、これは正確にはアガルタのテクノロジーとは無関係であった。
健一は周囲の異変を不思議に思い
「署長、何です?今の、そのアガなんとかって」聞いてみると
「それよ、今日の大事な話って、あんた少し酒飲んどいたほうがいいわよ、
それと今ここに珍しいお客さん呼ぶから驚かないでね」
署長の笑顔は美しい。
ミキも黙って食事しながら
『うんうん』と頷いている。
「珍しいお客さん?誰です?」と健一。
署長は少しため息をつくと話し始めた。
「あんた、宇宙人のグレイってわかる?」
「あーなんとなく解りますけど」
「どう解ってる?」
「えーと背が小さい銀色?の黒い大きな目玉で・・・」
言葉を遮るように署長が言う
「あっそう、銀色じゃないわよ、じゃ今ここに呼ぶから、落ち着いて騒いだり取り乱したりしないでね、わかった?」健一に指を差した。
「ええっ?はあ・・・わかりました」
署長は立ち上がると、店の中央に立ち
―パンッ
両手を合わせ
「南無三!来なっせいっ!」と咒いを叫んだ。
健一は思った。『きなっせいってナンダヨ…』
すると署長の足元から、まばゆい光が発生すると抜け出るように
三人のグレイが床板から伸び上がってきた。
出現に合わせ妙な音がした。
―グワグワグワグワ・・・
あのグレイ宇宙人が目の前に突然現れた。
「うぉっ」健一は突然の超常現象に面食らった。
「うー、うわ、うわあー」叫び 数歩あとずさった。
一凜署長は何かやる人だとは思っていたが宇宙人を呼ぶとは
今、自分は夢を見ているのかと健一は少し自分の太ももを抓ってみた。
『痛い・・・な』
食事していたミキが立ち上がり三人のグレイに近づくと
「イエーイ、久しぶりぃー」ブラザークラップでバチバチ、
グレイたちと挨拶し始めた。
そのグレイは三人とも同じ顔をしているようだった。
身長は150センチ程と思われ
大きな頭に大きな黒い目、そしてバランス的には小さいが鼻が突き出ていて唇は無いが表情豊かに動く小さめの口があり、歯も生えている。
なかなかハンサムだ。
「あーハラへった」
グレイ宇宙人は、いきなり健一に日本語で注文を出した。
「おい健一くん、じゃ、とりあえず瓶ビール三本それと冷凍でいいからピザとパスタと、たこ焼きね、早く早く腹減ってんだよこっちは、お、コレ食っていいの?」
テーブルの料理を長い指で指してみせた。
呆然と健一はバカ面をして立ち尽くしていたが
ミキがビールの準備を始め
「健一ピザはやく温めて」と促した。
「あハイ」オロオロと冷凍食品の準備を進めていると
署長とグレイたちは何やら話を始めた。
「姫様よヌンチャクの使い方教えてくれよな、あたぁーーーっ!」
一人のグレイが拳法の構えをして動いた。
「あれ、戒道さんは?」と署長。
戒道とは、きたいち興信所・所長・厳道の弟子だ。
「いーや戒さんはよ、まず基礎からだとか、なんだとか遊ばしてくれねぇんだよ」
「んだ、んだ」ほかのグレイが頷いた。
グレイ3人は店の特等席ソファーに腰掛けテーブルに食事の準備をしながら一人などはタバコをくわえていた。
人数分のビールが用意され
「それじゃ、とりあえず乾杯ね、健一の覚醒を祝ってカンパーイ!」
ミキの号令でいつの間にか6人の宴会が始まった。
続いて署長が
「健一、じゃ、この3人紹介するわね、奥の彼がムーさん、真ん中がナーさん、で、こちらがサンさんね」
3人のグレイは
「よろしくなケン坊」サン
「よろしく」ナー
「お、よろしくだ、なぁサクラ」ムーが言った…




