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女社長、転生したら3年で潰れる貧乏領地の令嬢だった 〜現代知識で立て直す異世界経営〜  作者: 冬馬


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税金が怖いです

ユルガ公爵の後、20件以上の貴族に面会をお願いしたが、

実際に会えたのは、2件のみだった。


このまま、フレイナ令嬢のニキビが改善されなかったら、

ジリ貧もいいところだ。


ブンブンと顔を振って、邪念を振り払う。


私が弱気になってどうする。


オセロを買ってくれたなら、別のボードゲームを制作して、

抱き合わせ商法だってある。


今は、貴族を主軸にしているけど、

庶民向けの石けんを前倒ししたっていい。


方法はいくらでもあるのだから、焦る必要はない。


とはいったものの、目の前にある2通の手紙を前には、

ため息をいくらついても足りない。


1通は、南部へ繋げる道の補助についての返答。


なんとなく予想はしていた。


『新規交通路敷設に関して、現状大きな問題が発生していないため、

国からの補助を用いて行うことは、有益になり得ないと判断する』


問題が起きていなければ動いてくれない、

お役人は、どこの世界に行っても同じってことね。


返答に、1か月掛かっているのも同じだ。


軽く鼻で笑いながら、もう片方の手紙を手に取る。


こっちが、最大の悩みの種だ。


『ヴェルデン領において、近頃大幅に収益を上げていると伺っている。

近々、調査団を派遣して、領の運営状況を確認したい』


なにが、『大幅に利益を』だ。

単純に、稼いでいるなら税をたくさん納めろって言いに来るだけでしょ。


「はぁ⋯⋯」


机に身体を預け、だらりと両手を伸ばした。


何も考えたくない。


それなのに⋯⋯


「お父様は、なぜこの手紙を私に見せたんだろう」


私に対応しなさいってことかしら。


ひまわり油のこともやらないといけないし⋯⋯


オイルの契約が10件とか取れていれば、

気分も違うのになぁ⋯⋯


「折角頑張って稼いだのに、税で持っていかれるなんて」


とりあえず、税に関してお父様かセバスに聞かなければ。


身体から抜けきったやる気を、

無理やり湧き上がらせ、重い腰を上げた。



部屋を出て、お父様の書斎へ方に身体を向けたが、


「出来れば、セバスに聞きたいわ」


そう思っていると、ナツがこちらに歩いてきた。

丁度いいわね。


「ねぇ、ナツ」

「リズ様、どうしましたでしょうか」

「セバスはどこにいるかしら」

「セバス様なら、書庫に居られると思います」

「書庫か⋯⋯ありがとう」


駆け足で書庫に向かうことにした。


この屋敷の書庫は、お父様の書斎の隣にある。

何度か入ったけど、6畳ほどと小ぢんまりとしている。


「セバス、いるかしら」

「お嬢様、私はこちらに」


書庫の奥の方から、セバスの声がした。


閉められたカーテンの隙間から差し込む光に、

ホコリが舞っているのが見える。


ジメッとしているのに、ひんやりと冷たいせいで、

息苦しく感じてしまう。


「なにか御用でしょうか」


奥に行こうかと扉の前で悩んでいると、セバスがこちらの方に来てくれた。


「忙しいのにごめんなさいね。

国への税に関して、少しばかり知りたかったの」

「なるほど、それではお嬢様の部屋でお話しましょう」

「助かるわ」



部屋に戻って、質問形式で教えてもらう。


「20年間の帳簿を見る限り、国への税は年々増えてはいるけど、

大枠に関しては、どうやって決まっているの?」

「基本としまして、領地の大きさ、領民の数と収穫物に収穫量、

その他に家畜などによって決まっております」

「結構ややこしいのね」


でも、これはおかしい。


「アタンの街のように、畑がない場合はどうなるの?」

「その場合は、領地の大きさと領民の数に街全体の売上で計算されます」


領地と領民の数を除けば、法人税と同質のようね。


まだ聞きたいことは山ほどある。


「例えば、天災などで収穫量とかが急激に落ちた場合はどうなるの?」

「状況によりますが、基本は過去の収穫量と比較して、

減った分の税を、5年に分割する形になります」

「免除はないの?」

「減った分が、7割を超えた場合は特例として免除されるとはなっております」


無慈悲に、むしり取る感じではないようね。

そして、核心の部分を質問する。


「この領地のように、畑は広げたけど、

それ以上に収益が増えた場合はどうなるのかしら?」


ホウホウと頷いて、少しばかり考え込むセバス。


「この領地の税の対象は、領地と領民とライ麦にりんごだけのはず」

「そうです」

「ジャガイモは、毒イモだと除外されていたけど、

話の流れ次第では、税の対象に含まれると思うの」

「その可能性は高いです」

「でも、それ以上の増加収益は?」

「多分ですが、そういった場合は調査団が派遣されまして、

帳簿などを見て、決められることになるかと思います」


やっぱりか。

だから、調査団が来るのね。


「それは、売上?それとも利益に対して?」

「そうですね⋯⋯、これは不確かになってしましますが、

調査団によると聞いております」


はい?税の計算が調査団の匙加減で変わるっていうの、

売上ベースで算出されたら、一瞬で終わりよ。


頭がクラクラして、手で抑える。


「ありがとう、大体理解できたわ。

ついでに、税に関して書かれいる物があれば見たいのだけど」

「かしこまりました。後ほどお持ちいたします」


どうにか抜け道がないかと、聞いてはみたけど、

最終的には、調査団次第とは。


「いくら取られるんだろう⋯⋯」


やっと、みんなの食事がまともになりだして、

これから、衣食住の衣と住に取り組もうと思っていたのに。


椅子に深々と座り直し、天井を見上げ瞼を閉じた。


頭の中で、現状を整理する。


シードルが好調とはいっても、牛や水車に開墾などの給金で、

今手元に残っているのは400万イェンほど。


ひまわり油の売上を0として考えれば、

残り4か月の予想利益は、大体600万イェンだ。


1000万が最低限手元に残る。


それだって、冬の準備をしたら足りるかすら危ういラインだろう。


考えれば考えるほど、眉間に力が入っていく。


みんなに約束した。


冬を前に、領地を上げた祭りをすること、

今年の冬は、暖かく過ごせるようにすると。


「抜け道がないなら⋯⋯作るしかない」


閉じてた瞼を開け、机に向き直した。


考えられるいくつものパターンを計算し、

税を少なく、その上でこちらがメリットになる方法を考える。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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