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女社長、転生したら3年で潰れる貧乏領地の令嬢だった 〜現代知識で立て直す異世界経営〜  作者: 冬馬


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太陽の花

自室の机の前で、私は頭を抱え続けていた。


領地に人を呼ぶためのいい案が出てこないのだ。


領地が、主要路から外れた位置にあるため、

立ち寄るには、2時間を犠牲にしないといけない。


この2時間を穴埋めする案が思い浮かばない。


「バンズとアレクの案は、宿屋に酒場なのよね⋯⋯」


案としては悪くはないが、どちらも立ち寄る前提である。



ジャンたちが居たアタンの街は、主要路上にあって、

北と南に、人と物が丁度分かれる場所でもある。


ただ、南に行く道は実際は迂回する形になっている。


「アタンより南にあるうちが、南の主要路と繋がっていれば、

南行きの中継地点になれるのになぁ――」


地図上で道を引いてみたが、おおよそ6キロの道を、

森と川を跨いで、敷かないといけない。


それでも、1日ちょいは短縮出来る計算にはなった。


お父様とセバスに、これを相談したけど、

軽く見積もっても、税収5年分の5000万イェンに匹敵する費用が掛かるらしく、

おいそれと、やれることではないと言うのが3人の結論だ。


「シードルの利益全部突っ込んでも、1年ちょいか⋯⋯」


道以外にも、宿屋や酒場などもと考えると、

プラス2000万イェンが、上乗せされるはずだ。


お金以外にも注意しないといけないのが、

アタンの領主との摩擦だ。


前に、アタンの実態調査をしたときに、

南への往来が約4割だった。


半分近くの人を奪うのだから、衝突は避けられないだろう。


「ほんと、ままならないわね⋯⋯」


ダメ元で、国に道を敷くために補助などをしてくれないかと、

1日ちょいの短縮のメリットを書き連ねて、手紙を出してもらっている。


「空からお金が降ってこないかしら」


煮詰まりかえった頭が、現実逃避をしようとしている。


頭を振って、無理やり思考を現実に戻し、


「⋯⋯とりあえず、みんなの作業でも見に行こう」


立ち上がって、身支度をはじめた。



外に出ると、数日前には感じなかった暑さが襲ってきた。


「そういえば、もう夏なのね」

「はい」


アシュは日傘をパッと開いて、日陰を作ってくれた。


「水分補給をこまめに取るように言わないとね」


熱中症の知識があるのか不安な世界だ。



牧場をはじめに見に行くと、

小屋が出来上がっていて、牛たちはのんびりしてた。


柵の周りでは、子供達が牛を見てはしゃいでいた。


「またあんた達、勝手に森に入ったでしょ!」


遠くの方から、女性の怒っている声が聞こえてきた。


母親らしき女性の前に、子供が5人しょぼくれていた。


「まぁ、あの年だと森の中を探検したくなわよね」


森には、イノシシや熊が生息しているから、

子供だけで入るのは、禁止されている。


「お嬢様もですか?」

「もうそんな時期は通り過ぎたわよ!」


アシュの何気ない問いに、

ちょっとムキになって返してしまった。


「でも⋯⋯今年もひまわりが咲いているか見たかったの」

「あんな花、毎年咲いているでしょ!」


あぁ、ひまわりが自生しているのね。



「!?、ひまわり!」


1人の子供の手には確かに、オレンジ色の花が握られていた。


「アシュ!着いてきて!」


握られている花が、知っているひまわりか確かめるため、

子供達の元に駆け寄った。



「ちょっといいかしら」

「あら、リズ様」


母親は私に反応したが、子供達は下を向いたままだった。


オレンジ色の花を握った男の子の前にしゃがんで、


「ねぇボク、その花を見せてもらえる?」

「え?はい」


男の子は、握っていた花を見せてくれた。


間違いない、ひまわりだ!


「これって、どのくらい咲いていたの?」

「うんとね⋯」


違う子供が答える。


「ここよりももっと広いよ」


”ここ”と言うのが、なにを指しているかわからなかったが、

それなりの範囲ということは理解できた。


「そこには、ひまわりがいっぱいあるの?」

「もういっぱいじゃなくて、たくさんだよ!」


ひまわりにやたらと興味を引かれている私を、

母親がちょっと不思議そうにしていた。


「リズ様、ひまわりがそんなに珍しいですか?」


立ち上がって、母親の方を向いた。


「えぇ、領地内でひまわりが咲いているなんて、知らなかったわ」

「そうだったんですね」

「ねぇ、ひまわりが咲いている場所に、行きたいんだけど」

「それは、お辞めなられたほうが⋯⋯」


渋る母親を納得させるために、

ガリルに、緊急の重要案件だと言って、

ガリルと作業員2人に付いてくるように指示をした。


これを見て、母親は渋々案内を了承してくれた。



森の中は鬱蒼としていた。


ただ、不思議な色をした花や木などはなく、

ここだけを見たら、元の世界でも見ることが出来そうな光景だった。


「あともう少しです」


先を歩く母親が、目的地が近いことを告げた。


森の中は、木の葉が日光を遮ってくれて、

涼しく感じてはいたけど、森を歩くのは体力を相当使う。


「結構きついわね」

「お嬢様は、もうちょっと体力をつけねぇと」


これは普通の反応よ!と言い返そうなったけど、

子供達が走り回っているのを見て、飲み込んだ。


「この先です」


言われた先は、森が終わっていた。


そして、その先に広がっている光景は目を見張るものだった。


視界に入ってきたのは、オレンジ色の壁だ。


「すごいわ⋯⋯」


想像以上の光景に、息を呑んだ。


大人よりも背が高いひまわりたちが、

太陽に向かって花開いていた。


背が高いせいで、先が全く見えない。


「これ⋯どのくらい咲いているの?」

「多分ですが、うちの畑の2、3倍はありますぜ」


それを聞いて、ここに来た価値があったことを確信した。


「やっと見つけたわ⋯⋯」

「こんな背の高いだけの花をどうすんでい?」


私は、鼻を鳴らして答えた。


「油を取るのよ!!!」

「こいつから油を!?」


これは、シードルを超える事業になるわ。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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