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女社長、転生したら3年で潰れる貧乏領地の令嬢だった 〜現代知識で立て直す異世界経営〜  作者: 冬馬


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商団潰しの始め方

転売していた店を後にして、その足でとある店に向かった。


「へい、いらっしゃ⋯⋯」


店主は私の顔を見てバツが悪そうにした。

気にせず、カウンターに座る。


「別に、嫌味を言いに来たわけじゃないのよ」

「じゃなんだっていうんだ」

「私との取引を蹴ってまで仕入れたシードルを飲んでみたくて」

「飲んだら帰ってくれよ」

「もちろん!」


あからさまに喜んだ反応を見せた。


「なぁ嬢ちゃん、ここに来た目的はなんだ?」


言われるままに付いてきたバンズには、

ここに来た意図を話してはいない。


「ただ、飲めばいいのよ」

「さいですか」


程なくして、グラス3つが出された。


「これが、取引を奪ったシードルね」

「それを嫌味っていうんだ」

「あらごめんさない、つい本音が出たわ」

「白々しい⋯⋯」


軽いジャブを打ってシードルを口に含んだ。


眉間にシワがよる味をどうにか飲み込んだ。


「店主は自分で飲んでこれを仕入れると決めたの?」

「あ?当たり前だろ」

「飲んだのは、取引のときの1回だけ?」


意味深な質問に、店主は訝しそうに答える。


「あぁ、売り込みのときに飲んで、

嬢ちゃんとこと、変わらないから仕入先を変えたんだ」

「なるほどね~」

「安いのに、味が一緒で困ったか?」


はぁとため息をついて告げる。


「あなたと取引をやめれて正解だったみたいね」

「あぁ!もう一遍言ってみろよ」


店主が怒鳴ったせいで、賑わっていた店内は静まり返った。


「シードル売れる?」

「今関係ないだろ!」

「注文した客が再度注文しているの?」

「ど、どういうことだ?」


圧に押されないで質問をしてくる私に、店主は動揺する。


「飲んでみたらわかるわ」


それを聞き、私のグラスを取って飲む。


「⋯⋯なんだ、これ」

「私の質問の意図がわかったかしら?」

「売り込みに来たときは、こんな味じゃなかったぞ」

「だってそれ、私のシードルだもの」

「は!?」

「安さに目がくらんで、騙されたってことよ」

「う、嘘だろ⋯⋯」

「”バリス商団”のやり口は巧妙ね」


店主はカウンターを叩いて憤る。


「不味さがわかって安心したわ」


硬貨をカウンターに置いて、店を出る。



「なるほど、嬢ちゃんの意図が読めたぜ」

「本当?」


自信満々で、語り始めた。


「バリス商団が騙して売っていることを教えて、

嬢ちゃんの言う商売人同士の信用を無くすってことだろ」

「バンズにしてはすごいわ」

「おいおい、俺を何だと思っているんだ」


私とアシュは笑ってしまった。


「ごめんごめん、大まかには言うとおりよ」

「でも、それだけでどうにかなるか?」

「商売人同士の繋がりを舐めないほうがいいわ、

私は、バリス商団をここら一帯から締め出すわ」

「まじかよ⋯⋯」


そのためにはどうしても仲間にしないといけない人がいる。



「女将さん、お邪魔します」

「最近は、よく来るね」

「色々と、忙しいですからね」


不敵に笑うと、女将も一緒に笑ってくれた。


「それで、どうだった?」


女将に、これまでのことを全て話した。


「あそこのバカ店主がうんなことをね⋯⋯」

「転売禁止としてなかった私も悪いですから」

「ただ、私たちを騙して粗悪品を売りつけようなんて、

バリス商団がやっていたとはね」

「女将さんは、バリス商団と取引を?」

「うちはないけど、他の店からはいい話は聞かなかったね」


前科持ちの商団ってわけね。


「で、私バリス商団を締め出したいんです」

「!?、大きく出たね」

「うちの商品を使っていたとか、

取引先を奪われたとか抜きで、見過ごせません」

「どうしたてだい」


私は、厨房の片隅にあるジャガイモに視線を落とした。


「あれって、芽と変色した部分は毒なんですね」

「貰ったレシピに、重要!って書いていたね」

「仮に、それを知っているのに伝えないで卸していたらどうなります?」


女将は目を細めた。


「食材って、扱い次第で生死に関わります。

今回は不味いで済みましたけど、物が違えば大事でした」


横で、バンズが頷いている。


「安いからって飛びつく方も悪いけど、

信用を踏みにじって商売する人を放置しておけません」

「それだけを言いに来たのかい?」


私の意図を理解してくれた。


「力を貸して下さい」

「でも、私がやれることなんてたかが知れているよ」

「いえ、商売人同士の繋がりは貴重です。

今回のことを、同業に広げて貰うだけでいいんです」

「そんだけかい?」


私は少し間をおいてゆっくりと言った。


「それが、最強の武器です」


女将にお礼を言って、領地に戻ることにした。



領地に戻ると、すぐにマリーを呼んで新しい仕事を頼んだ。


「取引先探しは一旦中止して、バリス商団で断られた店を回り直して」

「もう一度声を掛けるってことですか?」

「ううん、騙されていることを教えて、

それがバリス商団の仕業だと伝えるだけでいいわ」

「なるほど!わかりました」


バリス商団は信用を捨てて、小銭を稼いだだけ、

信用がなければ商売が出来ないことを思い知るといいわ。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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