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女社長、転生したら貧乏令嬢!?貧乏領地を立て直します 〜現代知識で異世界経営戦略〜  作者: 冬馬


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2日間の利益は?

「こっちこっち!」


自由市場で、キョロキョロしていると、

遠くで手を振る子供達が見えた。


「遅いよ~」

「これでも急いできたわよ」

「ちゃんと場所取っておいたぜ!」


自慢げにする1人とは違って、

他の2人は後ろでモジモジしている。


この子が、リーダーなのね。

なんとなく関係性を推察する。


「入口近くじゃないのね」


子供達が確保していた場所は、入口から10m離れた位置だった。


「ここが一番枠が大きいんだよ!」


それを聞いて周りを見ると、確かに他よりもここだけ1.5倍は大きい。


「あとわからないけど、入ってすぐは人が集まんないんだぜ」

「あんたなりにちゃんと考えているのね」


ヘへんと指で鼻をこする彼らに、


「じゃ、約束のやつよ」


バックからパンとヴェルデンイモを取り出して手渡した。


「毎度!」


と言って、3人分の食料を受け取ると、後ろに居る子たちに配る。

その間にも、アシュとマリーが出店の準備を黙々と進めていた。


「今日も完売すると良いですね」


マリーが作業をしながら問いかけてくる。


「完売するまで帰れないと思ってね」

「えぇ!?昨日よりも数多いんですよ」


マリーは冗談を真に受けるタイプらしく、

たまにいじって、反応を見るのが楽しい。



販売を開始してすぐにそれなりの客が買いに来た。

中には、昨日買った客がちらほら居た。


場所がいいのか昨日のお陰かは不明だけど、

呼び込みをしないで売れるのはいいことだ。


「開店してすぐなのに結構売れましたね」

「場所のおかげかしら」


そう言って、当たり前の様に居座ってる子供達の方を見る。


「何人か、うまくて今日も買いに来たって人や、

買った人が美味しそうに食べていたのを見て来たって言ってましたよ」


なるほど、リピーターと口コミのおかげで、

2日目にしてこの売れ行きなのね。


「でも、出来れば温かいものを食べてほしいです⋯⋯」


出来たての美味しさを知っているマリーだからこそ出た、

本音なんだろう。


「それを伝えてみたら?」

「へ?」

「冷めても美味しいけど、

ヴェルデン領で食べれる焼き立てはこれ以上ですって」


言うだけで領に数人でも人が来るようになれば、

万々歳だ。


「なぁ~」

「なにかしら?」

「もっと手伝ったらパン増えないか?」

「そうね⋯⋯」


目を閉じ、人工にんくが増えることで売上をあげる方法を思考する。


ふと、検問待ちをしている時を思い出した。


「計算って出来るの?」


子供2人が、女の子の1人に視線を向ける。


「その子が出来るのね」


女の子は持っていた人形を強く抱きしめ怯えている。


「100-50は?」


それを気にせず問題を出す。


「なぁ、頼むよ」


リーダーの子が、女の子を囃し立てと小さい声で答えた。


「⋯50」

「じゃ、80+50-200は?」


ちょっと意地悪な問題だ。

女の子は指を折りながら考え、


「70⋯⋯」

「!?」


見た感じ8歳から10歳なのに、

3桁の計算が出来るのはおかしい。


「この子はなんで、計算が出来るの?」

「こいつ去年までは宿屋の子だったんだ」


だった?じゃ親が子供を捨てたってこと?

今は深く考えるのはやめよう。


「なら着いてきなさい」


私は3人の手を取り、アシュとマリーに店を離れることを伝えた。



1時間もしないで私たちは店に戻った。


「大丈夫だった?」

「問題ありませんでした」

「アシュさんと頑張って半分近く売りました!」

「短時間でそんなに売れたのはすごいわ」


マリーの頭を撫でると、マリーは身体をクネクネして喜んだ。


「お嬢様、後ろの子供はどうされました?」

「なんか、身綺麗になっていますね」


私は、子供たちに身体を洗わして、服を買い与えた。


「新しい販売員よ」


「「え!?」」


マリーとリーダーの子が驚いた。


「ちゃんと働いたらお腹いっぱいパンをあげるわ」

「やる!」


リーダーの子が即答する。


「今更だけど、3人の名前を教えて」

「俺がジャンで、こいつがフック。人形持っているやつがアンだ」

「ジャンにフックにアンね」

「「⋯⋯」」


ジャン以外はまだ人見知りモードに入ったままだ。


「ジャンとアンは私に着いてきて、フックはマリーの手伝いをして」


それだけ伝えると、茹でイモとヴェルデンイモを20個ずつ持って店を離れた。



やってきたのは門の前。


「なぁ~こんなところに来てどうするんだよ」

「検問待ちしている人たちに売るのよ!」


長蛇の列で待っているときに、時折腹が減ったって声が聞こえていた。


「ジャンが声がけをして、計算をアンがしなさい」

「あんたは?」


ジャンが不満そうに聞いてくる。


「2人がちゃんとやっているか見張る役よ」

「なんだそれ~」


悪態をつきながらも、イモが入ったバックを受け取り、

アンの手を取り売り始める。


「おっちゃん!腹減ってないか?」

「なんだ坊主?」

「うまいイモ売ってるんだけど、いらないか?」


少し離れてちゃんとやるか見張っているけど、

不躾で勢い任せのジャンの声がけに頭を抱えた。


「イモ?やすいのか?」

「これが50でこっちが80だ」


2つを取り出して客に見せる。


「うまいのか?」

「うまくなかった文句言っていいぞ」

「なら50の方を1つくれ」


あら、もう売れたの?


それ以降もポツリポツリと売れているみたい。

何よりも感心したのは、列の中腹から売り出したことだ。


「言わないであれが出来るのは才能ね」


20分ほどで2人は走って戻ってきた。


「問題でも起きた?」

「全部売れたぜ!」

「え!?」


驚いて変な声を出してしまった。


ジャンは空のバックの中を見せ、

アンが売上を渡してきた。


「2600イェン⋯⋯ちゃんとある」


小さい声ながらも自信を持って答えるアン。


確かにちゃんと2600イェンある。


「2人ともすごいわね」


2人の頭をバンズのようにわさわさして褒める。


「それじゃ、マリーたちのところに戻りましょう」


20分で、40個売るなんてすごいと本気で思った。


「なんで姉ちゃんは稼ぎたいんだ?」

「領地を豊かにするためよ」

「偉い人か?」

「一応近くの領地の領主の娘よ!」

「まじかよ!?」


普通の領主の娘は、出店だして売り子なんて普通はしないわよね。

でも、1日でも早く稼ぐためには私が動くのが一番効率がいい!


そんなことを考えながらマリーたちのところに戻ると、

片付けをはじめていた。


「もしかして?」


そう問いかけると、マリーが飛び跳ねながら近づいてきた。


「リズ様が居なくなってから、一気に人が来て売れるわ売れるわでした」

「なんでかしたから?」


理由を考え始める前にマリーが答えた。


「門の前で売ってたのを見て来たって言ってました」

「それだけで?」

「あとフックが試食をさせた人の殆どが買っていました」


フックにどうやったのかと聞く。


「ここに来る太ってる人は飯探しに来ている」


なるほど、私が昨日したことをこの子もしていたのね。

しかも太っているってことは1個だけで済むわけじゃないし。


結構いい拾い物をしたかも。


「でも、昨日の半分の時間で売り切ったのはすごいわ」

「これなら早く樽が買えそうですね」

「えぇー、1週間もすれば目標額に届くわ」


1週間どころか、数を増やせば4日で達成してしまうかも。


「もう帰るのか?」


喜んでいる私たちを見て、不安そうに問いかけるジャン。


「そうだ!今日の追加報酬を渡すわ」


私は、200イェンずつ3人に渡した。


「こんなにもらっていいのか?」

「ちゃんと働いた分は払うわよ」


アレンとマリーには1日500イェン渡している。


「明日から私とアシュは来ないけど、場所取りとマリーを手伝ってくれる?」

「パンとか金はくれるのか?」

「ちゃんと支払うわよ」


3人は笑顔で返事をして去っていった。


「という事だから、マリー!明日から頑張ってね」

「不安ですけど、私、頑張ります!」


これで、外販は私の手から離すことが出来る。



屋敷に戻った私は、2日間の売上を計算する。


「1日目が17000イェンで、2日目が30000イェンと」


そこから原価や人件費などを引いた利益が、


「2日で、7000イェン!」


慈善事業に近いパン屋を引き合いに出すのはおかしいけど、

利益だけで言ったら、パン屋の7倍。


やっと稼ぎはじめたことを実感した。


私は、部屋の隅にある樽から液体をグラスに移し口に含んだ。


「こっちもいい具合に出来上がってきたわ」


黄金の液体を眺めながら笑みがこぼれる。



読んでいただき、ありがとうございました!

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