襲撃6
GC.118.11.20 15:20
揚陸艇の機影は金属の艦体に微かに影を落とし、ゆっくりと舷側に接近する。その速度は恐ろしく緩慢でありながら、時間の経過を歪ませるほど長く感じられた。艦内の空気は一層張り詰め、金属床の振動が足裏から神経へと伝わる。
「こちら、艦橋。接舷されるぞ。総員、最終確認を完了せよ」
艦内放送の声に、クルーたちの呼吸が一斉に揃った。銃火器の金属部分が光を反射し、揺れる影が壁に走る。誰もが心臓の高鳴りを抑えきれず、視線は艦内モニターと舷側に交互に注がれた。
タリアンは目を細め、揚陸艇の微細な動きから敵の狙いや接舷角度を見極めようとする。イグナスが隣で静かに解析を加える。
「接舷角度は完全に正面。衝撃を与えずにドアロックを狙うつもりだ。手慣れてますね。」
艦内の空気は息を呑むほどに重く、時間がゆっくりと流れる。金属の床に響く小さな振動、そして仲間たちの微かな呼吸――それらが混じり合い、凍りつくような静寂を生み出す。
「総員、覚悟はいいか? これから艦内に侵入される。まずは水際で防衛するが、奴らはこの道のプロだ。無理をせずに牽制のつもりでかかれ。奴らの戦力情報をみのがすなよ」
タリアンの声に、艦内の全員が微かに頷く。ここから先は誰もが未知の戦いになる――接舷という現実に、艦全体が緊張で包まれていた。
「海賊船接舷。侵入は恐らくC7ブロックのエアロックです。」
ユナの声が微かに震える。
「よし、C7エアロック通路にバリケードを築け。まずはそこで応戦する」
「俺もいきましょう」
「頼む」
イグナスはタリアンと短く会話するとブリッジを出て行った。
C7防衛班は簡易バリケードを築き、突入に備える。
GC.118.11.20 15:31
揚陸艇が艦体に接触する音が鋼鉄を伝い、艦内に響き渡った。間髪置かず、気密ハッチを破壊するガリガリという音が不気味に響きわたる。
ガコンと気密ハッチが勢いよく破壊されると同時に銃声が鳴り響く。凄まじい銃撃の後、煙幕と発光弾が投げ込まれる。
当たり一面に漂う煙で視界が大幅に低下する。
防衛班は懸命に応戦するが、視界不良と混乱で効果的な防衛線を作れていない。劣勢は明らかだ。海賊の動きは早い。
イグナスは防衛班に撤退を命令。同時に艦橋に無線連絡を入れた。
「侵入されました。敵は手練です。水際防衛は失敗。俺は一度艦橋に戻ります。」
監視モニターに映るのは、舷側に展開する敵兵の影。暗いランプに照らされ、重装甲に身を包んだ数名が降り立つ。その動きの一つひとつが、艦内クルーの心拍に連動するかのように重くのしかかる。




