襲撃7
GC.118.11.20 15:40
タリアンは即座に指示を出す。
「侵入者の人数は?」
ユナは計算しながら震える声で答えた。
「20人程度かと…数名は白兵戦用強化装甲を着用しています」
タリアンはわずかに口角を上げ、艦橋の前方を睨む。その目は冷静そのものだが、奥底に微かな興奮の色が潜んでいる。
「怖いか?」
ユナは小さくうなずく。
「はい…少しだけ」
タリアンは含み笑いを浮かべ、そっとユナの頭をぽん、と叩いた。艦内の緊迫感の中での、ささやかな気遣い。ユナの顔は赤く染まり、視線を逸らすしかなかった。
「少し? 上等だ」
その言葉に、ユナの心はわずかに落ち着きを取り戻す。タリアンは水際防衛から戻ったイグナスに声をかける。
「奴らの武器はどうだった?」
「前衛に装甲兵の姿を確認しましたが、人数は不明です。火器は軽火器が中心と思われます。迷わず気密ハッチに接舷、減圧を最小限で侵入する手際を見るに、かなり強敵と思われます。」
イグナスは答える。
モニターには敵兵たちが一歩一歩接近してくる様子が断片的に表示されている、艦の通路を伝う金属床の軋む音が、さらに緊張感を煽った。
ユナは目を見開き、侵入者の動きを追う。タリアンの冷静な姿が視界に入り、微かな安心感を得る一方で、艦の揺れや金属の音が心臓の鼓動を加速させる。頭をぽんとされた記憶が、恐怖に包まれた心の支えになった。
艦橋クルー全員が息を飲む音が聞こえるようだ。
タリアンは艦橋の視界を巡らせ、各通路の配置と敵兵の動きを頭の中で計算する。イグナスは冷静に通信回線を確認し、異常信号の有無をチェック。艦全体が、緊張の糸で結ばれたように一瞬の静寂を保つ。
侵入者たちの足音が艦内に広がり、遂に最初の接触が始まろうとしていた。アストラルのクルーたちは、全身の感覚を鋭く研ぎ澄ませ、金属床の振動や通路の影に目を凝らす。白兵戦突入直前、艦は静かに呼吸を整え、次の瞬間に訪れる戦いの嵐を待ち構えていた。
艦橋前の通路は、いつもより重苦しい空気に包まれていた。揚陸艇から降り立った敵兵たちは、迷いなく艦橋へと進軍してくる。タリアンはモニターを一瞥し、冷静な声で呟く。
「こっちの情報は調査済ってわけだな。一気に艦橋を制圧する算段かよ。手際が良いこったな」




