信じる
「……ミィ」
なんでここにミィが?
どうしてこんな危ないところに?
助けに来たの?
「和乃さん」
「……なに?」
ミィは今までにないくらい優しい声で囁いた。
「私は個人的な目的があってここに来ました。今からキオクと戦います。でも、50対1はさすがにきついんですよ」
「はい」
「だから背中を任せてもいいですか?」
ミィは何が言いたいんだ?
助けに来た訳じゃないの?
「私は、私にとって信頼とは言葉で伝えるじゃなくて、『心』伝えるものだと思うんですよ」
心?
「ずっと私が助けているまま。それは赤ちゃんのお世話みたいなものです。私はあなたと隣で話していたい。そこに上下なんかない。だから、一緒に戦ってくれませんか?」
ミィはすごいな。
「そんなことないですよ」
やっぱり私じゃ隣にふさわしくないよ。
「和乃さん……」
それでも……
「あなたの隣にふさわしい人になれるよう頑張るよ」
「はい。一緒に頑張りましょう。そのためにまずは…」
「「ここを乗り切ろう」」
今まで信じたくなかったのに……
それなのにこんなにもミィを信頼している。
そんな中、ミィの後ろに影が見えた。
「死ねぇぇ!!」
「危ない!!」
ミィの後頭部にバットが振り下ろされた。
「……」
「なっ、!?」
どんなに鍛えても後頭部は弱い。
殴られたら無傷じゃ済まない。
それがバットとなると尚更……
じゃあ、ミィはどうだろう。
「バットが勿体無いですよ。折れちゃったじゃないですか」
「………嘘でしょ」
バットが折れて、ミィは無傷。
なんでだ?
「…その力を使って恥ずかしくないのか、ココロ」
「反省はしてるけど恥ずかしくは無いね」
なんの話だ?
「そうか、和乃は知らんのか。教えてやろう。ココロはな、自分に対するデメリットを『封印』したんだよ」
「封印?」
与えられた能力のことか?
つまり、ミィに傷はつかないし、体力も減らない。寿命も体調不良もないってこと?
「不気味に思わないのか?」
「なんで?ミィはミィでしょ」
「そうかよ。すっかり信用しちゃって」
どうなろうと、ミィはミィだ。
その事実に変わりない。
「さぁ、和乃さん。50人片付けるよ」
「うん」
私たちは動き始めた。
目の前にいる男から1人づつ。
一方、ミィはこの一瞬で5人倒していた。
「どんだけ強いの……ミィ」
「和乃さんも強いですよ」
「ありがと」
この調子なら5分でいけるかな?
「死ねぇ和乃!」
ナイフを持って走ってきたのは安藤だ。
ものすごい形相でね。
「あなたはやりすぎた。さよなら」
私はナイフを避け、頭をつかみ振り回した。
「痛い!?」
そのまま残りの人に投げつけた。
数人はそのままダウンしていた。
まぁ、人ってのはどれだけ痩せてても飛んできたら重いからね。
全部ミィのおかげだな。
さっきまで全くかなわなかった相手をこんなにも簡単に倒せている。
ミィが力をくれたからだ。
私は今どんな顔してるのかな?
どんな顔してても関係ない。
これだけは言う。
言わなければならない。
「ありがと。ミィ」
「……どういたしまして」
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「さぁ、残るは君だけだよ。キオク」
この薄暗い倉庫に立っているのは、私とミィとキオクだけだった。




