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妖魔と共に見る景色  作者: てぃたいむ
第1章 ムネーモシュネー
32/38

大切な

和乃がキオクと邂逅する同時刻。


「急になんだよ……中に入ったと思ったら外に出されるんだから」

「目がくらんでしまったかしら、すみません」

「お前……さっきの妖魔か?」

「ご明察」


和乃は無事か?


「人の心配してる場合?自分の心配したら?」

「………」


勝てるか?

相手はとてつもなく早いスピードの相手だ。

俺じゃとても追いつけない……


とでも言うと思ったか?

追いつけなくてもいい。

相手が来た時に打ち返せばいい。

簡単だよ。


「俺を排除しなくちゃいけないなら攻撃するしかないでしょ」


そうだ。

向こうから攻撃するのを待てばいいんだ。


だが、そんな希望は打ち砕かれた。


「排除?バカ言うなよ。そんなわけない。今倉庫の中ではパーティーが開かれているんだ。50対1。これがわかる?要するに、私の目的は時間稼ぎだよ」

「バカ……な」


クソっ!!

嵌められた。


はなからこいつは俺を相手にしていない。

正面から戦っても絶対に勝てない。

和乃を助けに行こうとしても、こいつがいる限り無理だ。


どうすれば……いいんだよ。

どうすれば、どうすれば、どうすれば、どうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすれば!!?


「……語るまでもないね。残念だよ」


どうすることもできない。

なんでだよ……。

和乃1人助けられないなんて。


「何しに来たんだよ。ここはお前の来るべき場所じゃあない。とっとと帰れ」

「………」


何しに来たんだ?

俺は何をしにここに来た?


俺は俺は、!


「……を………来た」

「あ?なんて?」


弱音を吐くなら戦ってからにしろ。

悪態をつくなら死んでからにしろ。

絶望をするなら生まれ変わってからにしろ。


俺は、俺は!!


「惚れた女を守りに来た!!」

「ほう……」


今までどんな相手でも戦ってきただろ。


さぁ、死ぬ気で行けよ。


「君の目には希望しか見えない。だが、その奥には不安が見える。面白いね君」

「そりゃどうも」

「私の名前はタマシイ。君は?」

「夜端。もしかして、原初姫?」

「またしてもご明察」


歯ぁ食いしばれ。

胸守夜端!


「よし、時間稼ぎはやめ。君と全力で戦いたくなった」

「来いよ。相手してやる」


互いが同時に動き出した。

拳と拳があたり、俺たちの間に風が吹く。


それでも拳は止めない。


「おらぁ!」

「あぁぁ!」


攻撃を一切避けようとしない。

相手も同じく。


時には蹴りを、時には頭突きを、

色々な攻撃をしていく。


すると、1度攻撃が止まった。


「君にとって大切なものは何?」

「……突然どうした?」

「気になってね」


もちろん1番大切なのは和乃だ。アレンだ。すみれだ。


でも、それは人だ。ものじゃない。


俺の中で1番大切なのは……


「みんなとの思い出かな」

「……そうか」


目の前に立っている彼女は今までにないくらい不気味で美しい笑顔をしていた。


「ごめんね。途中で止めてしまって」

「気にしてないよ。それより早くやろ」


俺たちは攻撃を再開する。


確かに俺はこいつとやりあえている。

でも、人間には限界がある。


「そろそろ幕引きと行くか」

「……はぁ……はぁ……」


ここ……までか。

いや、まだだ!

最後まで足掻け!

人間をやめろ!

それが大切な人を守る覚悟だ!


「ありがとう。最高の思い出を。じゃあ………死ね」


受けるんだ。

相手の拳を。

背筋を伸ばせ。


それでも攻撃は止まらない。

やば、い、!

死ぬ!!


「そこまで」

「なっ!?」


また助けられたのか。

情けないな。

てか、こいつは何者なんだよ。


「酷いな。命の恩人に向かって」


そうだな。

ありがとう、ミィさん。


「なんだ、正体バレてたのか」

「1つ聞きたい」

「なに?」

「ここには結界をはっていたはず……それなのに何故ここがわかった」


確かに、近くに一切人が来なかったのかが不思議だ。


「私は自分に3つの『封印』を施した。その内の1つだよ」


封印?

もしかして与えられた能力か…?


「自分に対する結界の交換を封印したんだよ」

「……それは知らなかった」

「それで、どうする?このまま私と戦う?」

「……ここは引くよ」

「えらいね。また今度……絶対に殺す。お前だけは」

「やってみろよヴァーカ」


タマシイはその場から急に消えた。


「さて、この倉庫の中に和乃がいるでいいんだね?」

「確信してるくせに聞くなよ」

「ありがとう。夜端くん」


残念だけど、俺じゃ和乃を守れない。

だから……頼むよ、ココロ。


「うん。任せて」


生きててくれよ、和乃。

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