続く夜
兄さんは普通の人だった。
でも……ある日を境に変わった。急に人間とは思えない気配、恐怖を感じるようになった。
平然と人を殺せるような…
そんな気配が。
魔力の使い方は兄さんに教わった。
まぁ、兄さんは魔力も僕の何十倍もあったし、色んなことができた。
僕は身体を強化するくらいしか出来ない。
羨ましいよ。
僕が言いたいのはそこじゃない。
今目の前に現れた女性の気配のことだ。
兄さんからは人間とは違うプレッシャーが、人を平気で殺せるような気配がした。
こいつも同じような気配がした。
「罪悪感で引きこもってるんじゃなかったの?ココロ」
「あんたこそ、あいつなんかについて行く変わり者のくせに。キオク」
この2人からはただならぬ気配を感じるんだ。
特にココロと呼ばれている方は、
「その前に、和乃さんの数少ない大事なご友人だ。守らなきゃね」
今和乃って言ったか!?
「もしかして、和乃の事知ってま…」
「ごめんね、夜端くん」
僕の意識はここで途絶えた。
~ミィ視点~
夜端くんには悪いけど、これ以上会話を聞かれる訳にはいかないからね。
少し眠ってもらうよ。
「で、なんで今更あんたみたいな原初姫を降りて、主様にひっついているひっつき虫が動き出したの?復讐?」
「違うよ。そんなくだらないことに生を割くなんてもったいない。娯楽だよ、娯楽」
娯楽ね。
確かにキオクならやりかねない。
わざわざ原初姫を降りてまで『あいつ』について行ったあのキオクなら。
でもね。
だとしたらもっと許せない。
「なら、その娯楽のために和乃さんを傷つけたのか?」
和乃さんは今、心が不安定な状態にある。
いつ壊れてもおかしくない、
そんな状態だ。
私は全ての生命の感情と心が読める。
でも、和乃さんの心は負の感情がグルグルグルグル絡み合っていて、よく分からない。
それは怒りか、
それは悲しみか、
それは苦しみか、
本当に分からない。
そんなになってしまった原因は間違えなくこいつにある。
「結構面白いんだよ」
「そうか…」
決めた。
殺す。
私はこいつを殺す。




