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妖魔と共に見る景色  作者: てぃたいむ
第1章 ムネーモシュネー
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終わる夜、新たな夜

「君は薄情だね」

「…なんの事だ?」

「君は3日前から和乃がいじめられているのに気づいていた。それなのに君は黙っていた。助けようともせずにね」


正しいよ君は。


「それを薄情と呼ばずなんと呼ぶ?」


認めたくないけどね。


「その挙句、彼女のために涙ひとつ流さない」

「……」

「どうした?なにか言えよ」

「…流したよ」

「あ?」

「彼女のために流す涙は流しきった。次に出てくる感情は怒りだ」


そうだ、

そうだよ。

僕はこいつの息の根を止めに来たんだ。


「…不愉快だね。もう言葉遊びはいいから、かかってきなよ」

「そうだね」


普通なら勝てない。

こいつは和乃以上にそこが見えない。

でも、今は?

今は闇夜だ。


「今この時間はなんの時間だと思う?」

「…夜だろ?何を言っているんだ?」


夜…か。

あっているよ。

でも、少し付け加えよう。


「今は、僕の時間だ」


僕は兄に教えられた。

気配を消して攻撃することを、

闇夜に紛れて背後をとることを、


そして…


僕はこいつ背中を全力で殴った。


彼女は顔をゆがめながら、受身を取り立ち上がった。


「君はなんだ?今妖魔の気配はしなかった。でも、君の気配は人間のものとは思えない。それに、君のその手の青い炎のようなものはなんだ?」


僕が教わったことの最後のひとつ。

それは、

『魔力』を込めて攻撃することだ。


当然初めは信じていなかった。

でも、使えるもんは使えるんだから仕方がない。


「君が何者かは知らないけど、生半可な覚悟なら今すぐ帰れ。今から私は…本気で行くぞ」


その瞬間、彼女の気配がおぞましいものに変わった。


足の震えが止まらない。

でも、


「僕のやることは変わらない」


和乃を助けるんだ。


「そう…。じゃ、楽しい夜を始めよう!!」


人間に育てられた人外と無から生まれた人外の拳が重なる。

僕の手の蒼炎の火の粉が宙を舞う。


すぐに次の手へ、次の手へと。


「君やるね」

「はぁ…はぁ…」


相手は息切れひとつない。

対して僕は体力が減ってきている。

でも大丈夫だ。


「魔力はまだまだ残っているよ」

「そっか」


いくら魔力が残っているからといって、勝てるわけではない。

でも、可能性を切り開いてくれるのが魔力だ。


さぁ、覚悟しろ人外。

僕はここで君を殺す。


足と足が、拳と拳が何度も重なり合う。


僕はそいつの両腕を捕まえた。

後はこいつの腹を足で…


その瞬間、こいつはニヤッと笑って額に額を打ち付けてきた。


「っ!?」


視界がクラっとする。

1度体制が崩れてしまえば終わりだ。

全てが崩壊する。


そいつは何度も殴ってきた。


何度も何度も何度も何度も。


あぁ、ここで死ぬんだ。


気づけば地面に顔がついていた。


「ねぇ、これ何か分かる?」


そいつは手に何か持っていた。

手榴弾だ。


「じゃ、バイバイ」


僕は現実感がなかった。

手榴弾なんて日本にあるはずがないと。

でも、死の予感だけは警告音を鳴らしていた。


死ぬんだな僕。

誰か…和乃を守ってあげてね。


ピンを抜く音が聞こえた。

その後、衝撃音がした。


兄さん、あなたならこいつに勝てたのかな?

ごめんね兄さん。

せっかく戦う術を教えてくれたのに生かせなくて…

死にたくないよ…



ふと気づく。

目を瞑っていたが死んでなかった。

じゃあ、さっきの衝撃音は?


ふと音がした方を見ると人影がふたつになっていた。


「久しぶりだね。随分と派手な登場だね、ココロ」

「このままだと彼死んでいただろうからね。30%くらいで蹴らせてもらったよ。キオク」

「バケモノが…」


そこにたっているのは美しい女の人だった。


だが、気配はさっきの人外以上にバケモノだった。

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