渦巻く『負』
あれから1週間くらい経った。
私は相変わらずいじめと言うものを受けている。
でも、可愛いものだ。
ジュースを買ってこさせたり、掃除をさせたりするぐらいだ。
後は、イライラするとか言って殴ってくる時があるけど…
正直に言う。
全く痛くない。
強がりや、虚勢を張っている訳では無い。
ただただ痛くないのだ。
本当に相手が体力を無くすだけ。
意味が無い。
本当の暴力はこんなものじゃない。
こんな痛みじゃない。
今の話が関係しているかは分からないけど、ある話をさせてもらう。
私は今心の中に何かが渦巻いている。
それが怒りか、それが苦しみかは分からない。
でも、とてもモヤモヤする。
なんでか分からない。
でも、モヤモヤするものはモヤモヤするのだ。
「よぉ。和乃」
「…懲りないね。私がそんなに好きなの?」
今私に話しかけているのは安藤兄だ。
あれから毎日突っかかってくる。
正直めんどくさい。
しかも、日に日に人数が増えていくのだ。
今は10人いる。
「好きって言ったら、つきまとってもいいのか?」
「余計近寄らないで欲しい。と思う」
「だろうな」
話しかけてこないで欲しい。
まだ、モヤモヤが取れていない。
「お前はいいよな。力を持っているからな。絶対に苦労しないだろうな」
「…何が言いたい?」
「お前に悩みはなさそうだなと思ってな。そろそろか。やれ」
安藤兄は手下の1人に命令した。
即座に動き、殴りかかってくる。
もしかしたら、私の心のモヤモヤは怒りだったのかもしれない。
なぜなら、
私は全力で殴り返していた。
安藤兄の言葉にイライラしたのかは分からない。
でも、今の言葉に多少なりとも怒りを感じていたのかもしれない。
今までは重症にならないように手を抜いていた。
だが今は、殺しても構わないと思えてしまう。
いつもなら聞こえる断末魔も聞こえない。
いつもなら見える起き上がろうとする努力もみられない。
私は全てを刈りとる一撃を食らわせた。
焦りながらも私に殴りかかってくる男たちがいた。
でも、私は焦らない。
1人は襟を両手でつかみ、膝で肋を蹴る。
1人は拳を避け、肘で背骨打った。
1人は拳を受け止め、腕をありえない方向に曲げた。
やり方は違うが共通点がある。
全て、骨が折れる音がした。
だが、私は折れない。
私は曲がらない。
他の奴らも変わらない。
同じように攻撃し、同じように骨を折る。
気付けば安藤兄と私しか立っていなかった。
「まっ、待て!話をしよう!話し合えばわかる!頼むよ…なんてな!!」
不意打ちをするように私に殴りかかってきた。
それは不意打ちではない。
私は不意に殴られそうになったわけじゃない。
殴られることがわかっている。
だから、油断していない。
私はその腕をつかみ、投げた。
安藤兄は尻もちをついて、痛そうにしている。
さらに、肩を蹴り仰向けにさせる。
私はその上に跨り、何度も顔を殴る。
とても人を殴る時になる音とは思えない音がなっている。
それでも私は気にしない。
ただ何度も、何度も殴り続ける。
殴り続ける。
何度も何度も。
それでも…
それでも、心のモヤモヤは晴れない。
気付けば安藤兄は気絶していた。
拳には赤い血がついている。
心のモヤモヤは晴れない。
でも、ひとつわかった。
このモヤモヤは負の感情だ。
ただただ生み出される、負の感情だと




