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幼少期13

左側に振り向くと、ハイネがやさしい笑みをたたえて立っていた。


「大丈夫ですよ。これを知っているからといって、何か罰があるわけではありません。この絵は昔、我が領にある研究所に勤めていた男が書いたものなのです。これがどういうものか・・・というのは、彼からも説明があったのですが、もし知っているのであれば教えていただきたいのです。情報は1人から聞くよりも、沢山の人から聞いた方がイメージしやすくなりますから。」


ね?っとやさしい笑みをたたえたまま、私の左肩に乗せている手で肩をポンポンと軽くたたく。

まるで、小さな子をあやすようなそれに、知らず入っていた肩の力が抜けた。


「・・・それは、携帯電話というもので、私の・・・私たちのいた世界では、当たり前にあったものです。今は少しデザインが変わっていますが、用途としては遠くにいる人とタイムロスなく話せたり、いろいろな情報を即座に検索したりする機械です。」


答えてから、そっと右側を伺ってみると、ウィズレイもうなづいてくれているから説明としては間違ってないよね。


「遠く・・・とはどのくらいの距離まで?」

「どこまでも。海を越えた先の国とも話ができました。」

「ほう。」


私の説明に、面接官席にいる4人が驚きで目を見開いた。

この世界では、連絡手段は手紙だ。

届くまでに、タイムロスがあるためそのロスを計算して出さなければならいのだ。


少しのあいだ、何か考え込んでいたシェインがそっと問いかけてきた。


「フェリア嬢は・・・この国の建国記は知っているね?」

「もちろんです。」






むかーしむかし、まだこの国が名もない時代。

この国は、3つに分かれていた。


雪深い北は、知のラグドル。

険しい山々に囲まれた西は、武のリドル。

広大な海に面している東は、商のユークリンドル。


もともとは同じ祖をもつ彼らは、交流を絶やさず困ったときには、お互いに助け合って生きてきた。

だが、あるとき東の海から、北の山から蛮族が押し寄せてきた。

応戦するが、窮地に立たされたとき、一人の男が金色の狼を伴って空から現れた。


男は、3人に言った。


「これから先、我と共にくるか?我に忠誠を誓い我と共にあるのなら、我がやつらを退けてやろうぞ。」


3人は、一も二もなくうなずいた。

男は神であった。

金色の狼が一声なくと、海は荒れ、山は雪崩れ、蛮族達を飲み込んでいった。


3人は、神の前に跪いて忠誠を誓った。

神は3人にそれぞれ加護を与えた。


多くの知識とそれに追従する思考をラグドルへ。

肉体的強化と戦闘スキルをリドルへ。

真贋を見極め先々を見据える目をユークリンドルへ。


3人は、それぞれ神から加護を与えられた。


こうして神が作り出した国が、トリハルト帝国である。







「そう、その建国記にも記されているとおり、ハイネのラグドル家は知識と司っているからか、昔からよく“神の迷い子”が生まれるんだ。」

「神の迷い子・・・?」

「あぁ、10歳になったら教えられることだから、ウィズレイはまだ知らなかったね。トリハルト帝国が他国に比べて技術・知識が抜きんでているのは、この“神の迷い子”のおかげなんだ。ただ、これは国の最重要機密。なので知っているのは、皇族と建国からあるリドル家・ラグドル家・ユークリンドル家の3家のみ。そして“神の迷い子”とは、君たちのような別の世界の知識がある者のことだ。」


シェインの説明には驚いた。

私達以外にも前世の記憶をもっている人達がいるのか。


「そして、加護の点から“神の迷い子”は、今までラグドル家からしか確認されていない。そしてこの加護は、その家の直系にしか現れないのは知っているか?」


私はフルフルと首を横に振った。


「例えば、リドル家とラグドル家で婚姻を結んだとする。どちらも加護持ちだとすると、生まれてきた子供は武と知の両方の加護を持っていると思うが、実際はその家の加護しか与えられない。その子供がリドルの家の子供として生まれたなら、武の加護を。ラグドルの家の子供として生まれたのであれば、知の加護を。という感じで、いくら加護持ち同士を婚姻させたとしても、生まれた家の加護しか持てないんだ。」


へぇ~!!

なるほど!!

でもこの話きいて、武のリドルって言われても、戦闘センスは毎日の訓練の賜物だと思うし、肉体強化にしても、信じられないくらいの筋トレメニューをするからだと思っているのだが・・・


「今までは、ラグドル家で生まれ帝国にたくさんの恩恵を授けてくれた“神の迷い子”が今回、リドル家・皇族に生まれたのにも何か意味があるんじゃないかと、私は思っているんだ。何か覚えてることとかあったら、教えてほしい。」


シェインのお願いに、ウィズレイと二人で顔を見合わす。

覚えていることといっても、私はそんなにないからだ。

私の気持ちを察してか、一つうなずいてからウィズレイが口を開いた。


誤字脱字報告、本当に感謝です!ありがとうございます!!

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