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1000年ぶりの勇者と魔王 〜魔法が使えなかった少年は"世界初のスキル"で覚醒する〜  作者: 土田土


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第二十三話:南側の種族

ラザンは、少し息を吐いた。

その仕草には、話す覚悟がにじんでいた。


「僕は魔物と人間の争いを止めたかったんだ。

どちらも悪いわけじゃないのに、ただ生き方が違うだけで傷つけ合っていた現状を変えたかった。」


ラザンは壁にもたれたまま、視線を落とす。


「だから、魔物でも人間でもない……そのどちらにも属さず、平和だけを求める"新しい種族"を作った。

争いの間に立てるように。」


言葉は淡々としているが、そこには確かな重さがあった。


「それが“精霊”だ。

価値観に染まらず、争いを止められると思った。」


ラザンは短く息をつく。


「当然これは神の"禁忌"に触れた。

新しい種族を作るのは天使の領分じゃない。

そして……僕は堕天した。」


「堕天した後でも二人は僕の考えに賛同して、天界から会いに来てくれた。」


ラザンは短く息を吐く。


「僕は嬉しかった。全ての罰を受け永遠に孤独を味わう覚悟をしていたから。

だけど、天使と堕天使が一緒にいることを神はよく思わなかったんだろう。

ある日、いつものように笑顔で二人が言った。

『私たちも堕天しちゃった』

僕はとてつもない後悔に襲われた。僕のせいで二人を永遠の孤独に連れてきてしまったと。

きっと新しい種族を作った僕と一緒にいたばかりに、“共犯”だと判断されたんだろう。」


ラザンは、ゆっくりと僕の方へ向く。


「……堕天はこの世界で最も重い罰だ。」


声は静かで、余計な飾りがない。


「魂は輪廻する。死んでもまた、生き直せる。」


ラザンは軽く肩をすくめる。


「でも天使は違う。

死ぬことも、生きることもできない。

“輪廻すらできない”……それが天使だ。

だから、天使になるっていうのは、死より重い罰なんだ。」


少しだけ視線を落とす。


「そんな天使が悪さをするとどうなるか。

“堕天”だ。

堕天した天使は神に見放され、もう天使じゃなくなる。

堕天した天使はいわば"この世界から捨てられた人間"だ」


ラザンは僕を見た。


「……君の父さんと母さんが堕天した理由は……僕だ。」


声は落ち着いているのに、言葉の端にわずかな揺れがあった。



「……僕はただ、君を守ることでしか、あの二人に恩返しができない。」


胸が締め付けられる。

僕は拳を握った。


ラザンは僕の様子を見て、静かに言った。


「ノア。

君は僕を許さないでくれ。

それでも……僕は君を守りたい。」


僕はゆっくり息を整えた。色々な感情が交錯する。ぐちゃぐちゃの頭をかき混ぜて言葉を絞り出す。


「……ありがとうございます。世界を守ってくれて。」


きっとこれが僕の素直な気持ちだった。


ラザンは、堪えきれず泣き崩れた。


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