第十話:アリアとの出会い
ノアが目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。
木の香りがして、静かで清潔な空間。
腕を動かした瞬間、ズキッと痛む。
両腕には包帯が巻かれていた。
扉が開き、女性が入ってくる。
落ち着いた優しい雰囲気の人だった。
「起きましたか。腕、痛みますよね」
「……はい。助けていただいて、ありがとうございます」
「気にしなくていいですよ。困っている人を見たら助けるだけです」
少し話しているうちに、女性はふと尋ねた。
「でも……どうしてあんな森に?危険な場所ですよ」
ノアは少し迷ってから答える。
「……帰る場所を失ってしまって。
どこにも行けなくて……」
女性は静かにうなずいた。
「そうだったんですね。
もしよければ、腕が治るまでここで過ごしますか?
ちょうど話し相手も欲しかったんです」
「……分かりました。お世話になります」
「私はアリアといいます」
「俺はノアです。よろしくお願いします」
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数日後、ノアが少し動けるようになると、
アリアは机の上のノートを片づけながら言った。
「ここでは魔物の研究をしているんです。
発生の原因や、生態の記録を集めていて」
ノアは興味を引かれた。
「僕にも手伝えることがあれば……手伝いたいです」
「魔法は使えるんですか?」
「使えます。まだ上手くはないですけど」
「なら、家事をお願いしたいんです。魔法を使って」
「……魔法で家事……?」
「そう。浮遊魔法でゴミを浮かせてゴミ箱に入れる。
その応用で皿を洗う。そんな感じで」
ノアは困ったように眉を寄せる。
「僕、魔法操作苦手で……」
「大丈夫ですよ。時間がある時、教えますから」
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ノアは浮遊魔法でゴミを浮かせようとする。
「……あれ、落ちた……!」
紙くずが散らばる。
「すみません……」
「最初はそんなものです」
次は皿洗い。
「うわ、暴れてる……!」
皿がガタガタ揺れ、シンクにぶつかる。
「力を入れすぎです。ふわっと」
ノアは深呼吸して、もう一度。
皿がゆっくり浮き、水の中へ沈む。
「……できた……?」
「はい。その調子です」
そんな日常が、ゆっくり積み重なっていった。
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その日の夕方。
ノアが皿を浮かせて洗っていると、
ふと部屋の明るさが変わった。
光が、ゆっくりと薄くなる。
ノアは手を止めて窓の方を見る。
ノアは息を呑む。
家の周辺が暗く影で覆われている。
影がゆっくりと動いた。




