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二人暮らしのユメとミオ  作者: 黒猫の凜


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2/7

ミオの生活① 私の朝、私達の朝

朝、5時前に起きる——


目覚まし時計は必要ない。

もうずっとこの時間に起きてるので、身体が慣れてしまったのだろう。


目薬を差し、水分補給を済ませると、すぐにゲーム機の電源を入れた。


私が5時前に起きる理由は1つだけ——

大半のソシャゲは5時が日付更新時間だからだ。


……


起きてから1時間ほどは、黙々とデイリーをこなす。

モニターに映したソシャゲをパッドで操作しながら、時折挟まるロード時間にスマホアプリを捌いていく。


ちなみに、耳に着けたイヤホンからは、気に入った配信者さんのアーカイブを2倍速で流している。


まさに情報の奔流。

さっき起きたばかりの脳は、既にフル回転していた。

毎朝、好きなゲームと配信だけで感覚を満たす。

私は、この時間がとても好きだ。



……



気付けば、6時過ぎになっていた。

イヤホンを外すと、部屋の外から物音が聞こえる…


朝食は、同居しているユメの担当だ。

私の日課を聞いた彼女が、“それなら朝は自分に任せてほしい”と引き受けたのだ。


チチチッと、コンロに火をつける音がした。

彼女は毎朝、ソーセージと目玉焼き、サラダ、そしてトースト…

という、いかにもな朝食を作る。


ユメいわく、

「朝はね、朝を味わえるメニューが一番いいんだよ!」

とのことだった。

正直、よく分からなかったが…

特にメニューに文句があるわけでもないので、あの時はスルーしてしまった。



……



そういえば、昨日はソーセージを買う店についてユメに指摘された。

これは同居を始めてから知ったことだが、ユメは意外と細かい。


いや、細かい…とは少し違うのかもしれないけど。

少なくとも、もっと何にでも大雑把だと思っていた。


学生時代は、“いつも明るくて気を使える子”という印象だった。

いつも細かい点を指摘するのは私だったし、どちらかというと自分の方がしっかりしているとも思っていた。


だが、共に生活してみるとなんというか……

ちょっと、母親みたいだなと感じた。

どこのスーパーのなにが値下げしてたとか、どの支払い方法だとポイントが多く貯まるとか…


言っていることは分かるが、私からすると面倒さが勝ってしまう。


だが、今のところユメに対して嫌な気持ちはない。

それに、彼女を通して、自分が思ったよりも面倒がりなんだなと気付くこともできた。



……



だが、1つだけ——

同居をしていく中で拒んだことがある。


それは、私の部屋に入ることだ。


『お互いの部屋には勝手に入らない』

というのは、事前にルールで決めていたのだが…

最初の数カ月、ユメは度々、私の部屋に侵入しよう試みてきた。


曰く、「掃除くらいいいでしょ?!」とのことだった。

たまにチラリと見える私の部屋が片付いていないように見えたらしい。

もちろん、自室の掃除はしていると主張したのだが、ユメの基準には届いていなかったのだろう。


私は、あまり身体が強くない。

それもあってか、ホコリでも吸い込んだら大変だと心配しているのだろう。


それでも——

私にとって、完全に1人になれる自室は聖域のようなものだ。

誰にも踏み込まれない空間が、私にはどうしても必要なのだ。


そんな気質を理解したのか、最近は私の部屋への関心を見せなくなった。

それでも、たまに咳をすると心配そうな顔をみせるので、私も意識して自室の掃除回数を増やすようになった。

掃除中は扉と窓を開けて、“ちゃんとしてますよ”とアピールしている。



……



リビングに顔を出すと、屈託のない笑顔が視界に入る——

初めは眩しかったが、今は心地良くも感じる。



「おはよ〜、ミオ!疲れてない?」


「うん、おはよう。いつも通りだよ。」



早朝から情報の波を泳いでいる私を、さりげなく気遣ってくれる。

別に朝から好きなことをしてるだけなので、そんなに優しくしてくれなくてもいいのだが…


食卓には既に、いつもの朝食セットが並んでいる。

先月、健康診断の結果が返ってきてからは、野菜ジュースも横に置かれるようになった。



「……いつもありがとね。」


「え、なにー?どうしたの??今日は機嫌良いね。」


「……別に。いただきます。」


「はい、いただきます♪」



同居を始めた頃は、どうせ私が支えて引っ張っていくことになるのだろうと思っていた。

けれど今となっては、ユメが私を支えて、引っ張ってくれている。


そんな自分でいいのだろうかという気持ちと、

このまま、彼女に甘えていたい気持ちが同居している。


この先、また考える時はくるのだろうけれど…

もう少しだけ、甘えたままでいさせてほしい。

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