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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第九十三話 「居場所」

 《YOKOZUNA会議》終了。


 金色のホログラムが、

 一つずつ消えていく。


 香港。


 上海。


 澳門。


 台湾。


 神戸。


 国家を超えた市場支配者たちは、

 静かに回線を切断していった。


 最後まで残っていたのは。


 《LIN GROUP》。


 林宗龍のホログラムだけだった。


 美玲は何も言わない。


 赤い瞳で、

 ただ父を見ている。


 宗龍も静かだった。


 感情を読ませない顔。


 市場支配者の顔。


 だが。


 最後に小さく言った。


『身体には気を付けろ』


 その瞬間。


 通信が切れた。


 コンテナ内部が静まる。


 レンは数秒固まっていた。


「……え?」


 藍華も瞬きをする。


「今」


「普通に父親っぽいこと言った?」


 黒犬が腕を組む。


「完全に消えてはいないってことだ」


 美玲は少しだけ俯く。


「……昔からああ」


 レンは少し驚く。


 林宗龍。


 市場支配者。


 ヨコヅナ。


 ラスボスみたいな男。


 でも。


 完全に娘を切り捨ててる訳じゃない。


 その時。


 ハヤトが大きく伸びをした。


「よし」


「とりあえず今日は生き延びた」


「スケール軽っ!!」


 コメント欄爆笑。


《感覚麻痺してる》

《ヨコヅナ会議の後だぞ》

《フィクサー強い》


 ハヤトはソファへ座る。


「中立取れたのはデカい」


 レンも頷く。


 もしヨコヅナ全体が敵になっていたら、

 本当に終わっていた。


 その時。


 《EYES》が表示する。


《現在状況》


* LUX:監視継続

* ヨコヅナ:中立観測

* 市場監視:上昇中

* MAY-LIN登録者増加継続



『登録者数:8億9000万人』


『同時接続:16億1000万人』


「増えてるぅぅぅ!!」


 レンの絶叫が響く。


「会議してただけだろ!?」


 藍華が苦笑する。


「今やMAY-LINは」


「存在そのものが配信だから」


「怖ぇよその概念!!」


 その時。


 美玲が静かに言った。


「……でも」


 全員が見る。


 赤い瞳。


 少し疲れた顔。


 だけど。


 どこか安心したみたいだった。


「居場所できた」


 沈黙。


 レンは少しだけ笑う。


 確かにここは変だ。


 コンテナハウス。


 違法回線。


 ノーマッド地区。


 逃亡中クルー。


 でも。


 前より少しだけ、

 “帰る場所”みたいになっていた。


 その時。


 ハヤトがコンビニ袋を投げる。


「ほら」


「高い弁当買ってきた」


「また弁当!?」


「クルー結成祝いだ」


 黒犬が小さく笑った。


 藍華も呆れながら受け取る。


 美玲は普通に嬉しそうだった。


 レンは思う。


 世界は相変わらず終わってる。


 LUX。


 ヨコヅナ。


 感情市場。


 全部ヤバい。


 でも。


 それでも。


 この場所なら、

 もう少し戦える気がした。

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