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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第八十九話 「市場を買う男」

 コンテナハウス内部。


 大量モニターが、

 青白く光っている。


《YOKOZUNA NETWORK》


 東アジア市場情報。


 感情市場指数。


 AI株価。


 配信市場。


 全部が、

 人類規模で動いていた。


 レンはその光景を見ながら、

 頭を抱えていた。


「……情報量が多すぎる」


 LUX。


 ヨコヅナ。


 市場支配。


 感情経済。


 もう高校生が触れていい世界じゃない。


 その時。


 九条ハヤトが、

 普通に缶コーヒーを飲みながら言った。


「金はある」


 レンが顔を上げる。


「……は?」


 ハヤトは平然としていた。


「心配すんな」


「横浜も」


「池袋も」


「神戸も」


 モニターへ都市名が映る。


「香港も」


「上海も」


「澳門も」


「台湾も」


 ハヤトは笑った。


「俺は買える」


 沈黙。


 レンの脳が止まる。


「……は?」


 コメント欄も数秒止まった。


 そして爆発。


《!?!?》

《規模おかしい》

《フィクサーじゃねぇ》


「いやいやいや!!」


 レンが立ち上がる。


「買えるってなんだよ!!」


 ハヤトは肩を竦めた。


「市場支配ってのは」


「そういうことだ」


 《EYES》が自動解析を始める。


《九条グループ資本規模》


* 東アジア感情市場

* 配信市場ファンド

* AI物流

* 国際広告網

* 湾岸金融連合



『推定資産:国家級』


「国家級ぅぅぅ!?」


 藍華が乾いた笑いを漏らす。


「……本当にヨコヅナだ」


 黒犬も珍しく黙っていた。


 つまり。


 今ここにいる男。


 逃げ回ってるフィクサー。


 コンビニ弁当買ってきた男。


 その正体は。


 東アジア市場そのものを動かせる存在。


 ハヤトはソファへ座る。


「でもな」


 少しだけ真面目な顔になる。


「金で買えねぇもんもある」


 空気が静まる。


 美玲が静かに彼を見る。


 ハヤトは続けた。


「感情だ」


 モニターへ映る。


 Emotion Crash。


 暴走。


 熱狂。


 市場依存。


「ヨコヅナは」


「感情を市場へ変えた」


「でも」


 煙草の火が揺れる。


「人間の感情そのものは」


「完全には支配できねぇ」


 その時。


 ハヤトは美玲を見る。


「だからMAY-LINは危険なんだ」


 赤い瞳と、

 金色の市場モニターが交差する。


「お前は」


「市場じゃなく」


「人間側へ感情を戻そうとしてる」


 沈黙。


 レンは少しだけ理解する。


 だから。


 LUXも。


 ヨコヅナも。


 《MAY-LIN》を恐れている。


 その時。


 《YOKOZUNA NETWORK》が、

 突然起動した。


《高位接続開始》


 モニター全体が金色へ染まる。


 ハヤトの表情が変わる。


「……来たな」


 《EYES》が警告。


『東アジアヨコヅナ会議接続』


 レンは引きつった。


「会議ってレベルの名前じゃねぇ……」

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