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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第七十二話 「共鳴同期」

 ブゥゥゥン――


 二つのデッキが同期する。


 赤い《MAY-LIN LIVE》。


 青白い《EYES》。


 感情海の中心で、

 光が交差した。


 その瞬間。


 レンの脳へ、

 10億人分の感情が流れ込む。


「がぁっ……!!」


 歓声。


 孤独。


 怒り。


 恋愛。


 嫉妬。


 憧れ。


 悲鳴。


 全部。


 全部が一気に来る。


 レンは膝をついた。


 《EYES》が警告を連続表示。


『感情過負荷』


『人格崩壊危険域』


『Emotion Crash侵食率上昇』


「レン!!」


 美玲が支える。


 赤い光が流れ込む。


 暖かい。


 その感覚だけが、

 レンを現実へ繋ぎ止めていた。


「……なんだよこれ」


 声が震える。


「人類全員の感情じゃねぇか……!」


 《NOISE》の通信が割り込む。


『普通なら即死級』


『感情同期限界超えてる』


 藍華も叫ぶ。


『切断して!!』


 だが。


 レンは少しずつ理解していた。


 10億人。


 その感情の奥。


 そこにあるもの。


 それは。


 “繋がりたい”


 だった。


 誰かに見てほしい。


 理解してほしい。


 一人にしないでほしい。


 その感情が、

 巨大化しすぎて暴走している。


「……そういうことか」


 レンが呟く。


 《JOKER》が作ったのは、

 ただの炎上じゃない。


 孤独の増幅装置だ。


 その時。


 感情怪物が咆哮した。


『人間は孤独なんだよ!!』


 赤黒い津波。


 無数のコメント。


 憎悪。


 炎上。


 全部が襲いかかる。


 だが。


 レンは立ち上がった。


 《EYES》が青く光る。


『感情波解析完了』


「……見えた」


 《JOKER》が目を見開く。


『何?』


 レンは感情海を見る。


 赤黒い濁流。


 その奥。


 小さな感情が見えていた。


 寂しさ。


 不安。


 承認欲求。


 全部。


 本当は。


 “誰かと繋がりたい”だけ。


「お前」


 レンは《JOKER》を見る。


「ずっと一人だったんだな」


 空気が止まる。


 《JOKER》の表情が揺れた。


 感情海全体が震える。


『……黙れ』


 レンは続ける。


「だから熱狂で埋めた」


「炎上で繋がった気になった」


「でも」


 《EYES》が感情コアを照らす。


「それじゃ孤独は消えねぇ」


 沈黙。


 その時。


 美玲がレンの隣へ立つ。


 赤い龍。


 青い光。


 二つの感情同期が重なる。


 そして。


 《MAY-LIN LIVE》が、

 新しいモードへ変化した。


《EMOTION LINK MODE》


 10億人の感情が、

 静かに共鳴を始める。

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