第六十三話 「炎上祭開幕」
『00:00:03』
池袋の空が、
赤黒く脈動していた。
違法ドローン群。
巨大AR広告。
狂ったみたいな歓声。
そして。
5億を超えた視線。
全部が、
この瞬間を待っている。
《3!》
《2!》
《1!》
カウントダウンが響く。
レンは《EYES》越しに、
都市の感情波を見る。
興奮。
依存。
怒り。
期待。
全部が混ざって、
巨大な濁流になっていた。
「……ヤバすぎる」
藍華が小さく呟く。
「今年、本当に壊れる」
その瞬間。
《池袋炎上祭 START》
ネオンが爆発した。
ドォォン!!
池袋全域のスクリーンが一斉点灯。
違法ライブ通知が雨みたいに流れる。
《高層綱渡りライブ》
《暴走区域突入》
《感情同期耐久》
観客熱狂。
街全体が、
巨大な配信会場へ変わる。
そして。
《JOKER》が笑った。
『始めようぜ』
『一番“感情”を集めた奴が王だ』
その瞬間。
違法ドローン群が空へ散開。
各配信者たちが、
一斉に動き始める。
《BURN-BURN》は炎上ライブ開始。
《KRAKEN》は地下ゲーセンへ。
《LILITH》は高層ARショー。
完全にカオスだった。
レンは頭を抱える。
「もう何が何だか分かんねぇ!!」
だが。
隣の美玲は笑っていた。
「面白いじゃん」
「感覚バグってるって!」
その時。
《NOISE》が小さく言う。
「……来る」
「何が?」
瞬間。
池袋駅前の大型スクリーンが、
一斉ノイズ化した。
バチバチバチッ!!
映像崩壊。
観客ざわめき。
次の瞬間。
スクリーンへ、
一つの巨大な目が映し出される。
真っ赤な瞳。
ノイズ混じり。
そして。
機械音声。
『Emotion Crash率上昇』
レンの顔が変わる。
「……ッ!」
《EYES》が警告を連続表示。
『感情同期暴走』
『広域感情汚染開始』
その瞬間。
観客の一部が叫び始めた。
「うおおおお!!」
「もっと!!」
「熱くなれぇ!!」
目が赤い。
感情暴走。
池袋中で、
同時発生していた。
藍華が舌打ちする。
「最悪だ」
《NOISE》は静かに言った。
「《JOKER》」
「最初からこれが目的」
その時。
上空スクリーンへ、
《JOKER》の笑顔が映る。
『なぁ』
『熱狂って最高だろ?』
歓声。
悲鳴。
笑い声。
全部が混ざる。
そして。
池袋北環状区が、
本格的に壊れ始めた。




