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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第六十四話 「感情汚染都市」

『Emotion Crash率上昇』


 《EYES》の警告が止まらない。


 レンは周囲を見る。


 池袋駅前。


 数分前まで、

 ただ騒がしかっただけの観客たち。


 だが今は違う。


 目が赤い。


 呼吸が荒い。


 笑いながら叫んでいる。


「もっと!!」

「燃やせぇ!!」

「配信しろぉ!!」


 感情暴走。


 サイバーサイコシス化。


 しかも。


 都市規模。


「……おい」


 レンの声が少し震える。


「これ止めないとマズいだろ」


 藍華も顔をしかめていた。


「完全に同期汚染」


「《JOKER》、最初から祭りを暴走させる気だった」


 その時。


 上空スクリーンの《JOKER》が笑う。


『熱狂ってさ』


『理性が壊れた瞬間が一番美しいんだよ』


 歓声が爆発する。


 Emotion Crash状態の観客たちが、

 一斉に叫び始める。


 レンは寒気を覚えた。


 この街。


 感情そのものへ依存している。


 その時。


 美玲が前へ出た。


 ネオン雨。


 赤黒い街。


 その中心で、

 彼女だけが妙に静かだった。


「レン」


「な、何」


「配信切れてない?」


「むしろ全世界が見てる!!」


 《EYES》が表示。


『MAY-LIN LIVE

同時接続:6億2000万人』


「また増えてるぅ!!」


 レンが叫ぶ。


 だが。


 美玲は小さく笑っただけだった。


「なら丁度いい」


 彼女は空を見上げる。


 暴走したドローン群。


 狂ったネオン。


 Emotion Crashした観客。


「池袋の本性」


「世界に見せようか」


 その瞬間。


 美玲の配信デッキが起動する。


 ブゥン――


 赤いUIが展開。


 配信ドローン群が一斉展開。


 《MAY-LIN LIVE》

《EMOTION DIVE MODE》


 レンの《EYES》が警告を出した。


『感情同期深層接続』


「え?」


 藍華が目を見開く。


「まさか……!」


 次の瞬間。


 美玲の赤い瞳が光った。


「レン」


「今から池袋の感情層へ潜る」


 空気が止まる。


「……は?」


 《NOISE》が初めて少し驚いた顔をした。


「深層ダイブするの?」


 美玲は笑う。


「暴走した感情なら」


「中から止めるしかないでしょ」


 レンの顔が引きつる。


「いや待て待て待て」


「それネットランナー案件じゃ!?」


「だから」


 美玲が振り返る。


 赤いネオンが瞳へ映る。


「婚約者、手伝って?」


 コメント欄爆発。


《婚約者きた!!》

《レン行け!!》

《電脳ダイブ編!!》


「世界が軽率すぎる!!」


 だが。


 《EYES》は既に理解していた。


 これから始まるのは。


 ただの配信じゃない。


 都市そのものの感情へ潜る、

 危険な電脳潜航だった。

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