第五十五話 「池袋決闘」
「ちゃんとサポートして?」
「無茶振りすぎる!!」
レンは飛んできた広告板を、
なんとか受け止める。
重い。
しかも池袋北環状区仕様なのか、
無駄にネオン装飾付きだった。
「なんで武器になる前提なんだよこの街!」
「池袋だから」
藍華が真顔で返す。
嫌すぎる理由だった。
その瞬間。
《BURN-BURN》が咆哮する。
「イチャイチャ配信で数字取ってんじゃねぇぇぇ!!」
巨大改造ハンマーを振り上げ突撃。
周囲の炎上系配信者たちも、
一斉に配信を始める。
《池袋決闘》
《MAY-LIN VS BURN-BURN》
大型スクリーンへタイトル表示。
観客熱狂。
《うおおおお!!》
《始まった!!》
《池袋決闘だ!!》
「勝手にイベント化されてる!!」
レンが叫ぶ。
その時。
《EYES》が通知を出した。
『登録者数更新』
「……嫌な予感」
レンは表示を見る。
『MAY-LIN
登録者数:2億3000万人』
「はぁ!?」
さらに。
『同時接続:4億5000万人』
レンは絶叫した。
「また!?増え過ぎだろー!!」
観客爆笑。
《レン誰すき》
《ツッコミ追いついてない》
《世界最大配信者爆誕》
藍華が笑いながら肩を叩く。
「婚約者発言が効いたねぇ」
「そんな理由で世界記録更新すんな!!」
だが。
美玲は平然としていた。
広告板を肩へ担ぎ、
池袋ネオンを見上げる。
「4億かぁ」
「感想軽いな!?」
「まだ伸びそう」
「怖ぇよ!!」
その瞬間。
《BURN-BURN》が地面を砕きながら跳ぶ。
「ナメんなァ!!」
巨大ハンマー振り下ろし。
だが。
美玲は笑う。
八卦掌。
円歩。
池袋駅前のネオン広告を滑るように移動。
そのまま。
レンへ向かって叫ぶ。
「レン!」
「な、何!」
「カメラ寄せて!」
「今ぁ!?」
「決めシーン!」
配信者脳だった。
レンは半泣きで《EYES》へ接続。
「ドローン前進!」
「スロー演算!」
《MAY-LIN LIVE》
《IKEBUKURO DUEL MODE》
配信ドローン群が、
美玲を中心に高速旋回する。
ネオン。
火花。
雨。
歓声。
その中心で。
美玲は広告板を回転させた。
「――八極」
踏み込み。
震脚。
池袋駅前が揺れる。
《BURN-BURN》が顔を引きつらせる。
「うおっ!?」
次の瞬間。
美玲の赤い瞳が光った。
「紅龍崩拳」
ドォォォンッ!!
衝撃。
巨大ハンマーごと、
《BURN-BURN》が吹き飛ぶ。
駅前大型スクリーンへ激突。
爆発。
火花。
観客絶叫。
《うおおおおおおお!!》
《池袋陥落!!》
《MAY-LIN最強!!》
そして。
池袋全域のネオンが、
一斉に《MAY-LIN LIVE》へ変わった。




