第五十二話 「炎上歓迎」
「《MAY-LIN》を出せ!!」
池袋北環状区。
駅前広場。
爆発で砕けた大型スクリーンから、
火花が降っていた。
逃げ惑う通行人。
飛び回る配信ドローン。
コメント欄はもう祭り状態。
《始まった!!》
《池袋勢きた!!》
《炎上配信だぁ!!》
「治安終わってんなこの街!!」
レンが叫ぶ。
だが。
武装配信者たちは、
むしろカメラを意識していた。
派手な衣装。
過剰な演出。
挑発。
全部。
“数字”のため。
リーダー格らしい赤髪男が笑う。
「横浜の女王サマよォ!」
「池袋でどこまで通用するか試してやる!」
背後の配信ドローンが、
男の名前を自動表示する。
《BURN-BURN》
炎上系配信者。
登録者4200万人。
「名前からして嫌な予感しかしねぇ……」
レンが顔をしかめる。
藍華が小さくため息を吐いた。
「池袋の典型」
「典型?」
「炎上で数字稼ぐタイプ」
その時。
《BURN-BURN》が周囲へ叫ぶ。
「撮れ撮れぇ!!」
「今日は《MAY-LIN》燃やすぞ!!」
観客が歓声を上げる。
《うおおお!!》
《配信戦争!!》
レンは少し寒気を覚えた。
NEO横浜とは違う。
こっちは、
“誰かが壊れる瞬間”を楽しんでる。
その時。
隣の美玲が小さく笑った。
「へぇ」
「何その反応」
「嫌いじゃない」
「嘘だろ!?」
美玲は赤いネオンを見上げる。
「分かりやすいから」
次の瞬間。
《BURN-BURN》の部下たちが突撃してくる。
金属バット。
改造スタンロッド。
完全にストリートギャング。
「うわ来た!!」
レンが叫ぶ。
だが。
美玲は動かない。
その代わり。
隣の黒髪少女が前へ出た。
「……邪魔」
瞬間。
少女の目が青白く光る。
周囲の電子看板が、
一斉にノイズ化した。
「え?」
《EYES》が警告。
『違法ネット侵入』
次の瞬間。
武装配信者たちのドローンが、
全部停止した。
バチバチッ!!
《え!?》
《配信落ちた!?》
炎上系配信者たちが固まる。
少女は眠そうな顔のまま呟く。
「……回線、遅い」
レンが目を見開く。
「何者だお前!?」
少女は少しだけ美玲を見る。
そして。
「……《MAY-LIN》の配信」
「ずっと見てた」
その瞬間。
《BURN-BURN》がブチ切れた。
「ふざけんなァ!!」
男は巨大改造ハンマーを振り上げる。
だが。
美玲が前へ出た。
ニヤッと笑う。
「レン」
「な、何」
「池袋初配信」
赤い瞳が輝く。
「派手にいこうか」




