第四十九話 「赤龍直播」
「――《赤龍直播》」
その瞬間。
NEO横浜全域のネオンが、
真紅へ染まった。
巨大広告。
高層ビル。
屋台モニター。
地下街スクリーン。
全部。
全部が《MAY-LIN LIVE》になる。
《うおおおおおお!!》
《始まった!!》
《赤龍直播だ!!》
コメント欄が暴走する。
同接数。
2億3000万突破。
もはや一人の配信者じゃない。
都市現象だった。
広告塔の上。
美玲はネオン雨の中で笑う。
赤い瞳。
翻るジャケット。
配信ドローン群。
完全に、
“都市の女王”。
レンは呆然と見上げる。
「……なんだよあれ」
《EYES》が解析する。
『配信ドローン群:感情同期接続』
『都市広告網へ侵入』
「配信で都市ジャックしてる……!?」
藍華が吹き出す。
「最高じゃん」
「よくねぇよ!!」
その瞬間。
大型制圧機が砲撃を開始する。
赤い閃光。
重低音。
都市の空が揺れる。
だが。
美玲は動じない。
八卦掌。
円歩。
広告塔を蹴る。
飛ぶ。
空中ドローンへ着地。
《うおおお!?》
《空飛んだ!?》
《アクション映画かよ!!》
レンが頭を抱える。
「物理法則どうなってんだ!!」
「配信映え優先だね」
藍華はもう楽しんでいた。
その時。
美玲がドローン群へ指示を飛ばす。
「一番カッコいい角度で」
直後。
ドローン群が変形。
赤い龍みたいな飛行陣形を作る。
《赤龍直播モード》
ネオン空間へ、
巨大な光の龍が現れる。
観客絶叫。
《うおおおおお!!》
《神演出!!》
《MAY-LIN!!》
そして。
美玲は広告塔から飛び降りた。
落下。
ネオン。
雨。
空中回転。
そのまま。
大型制圧機へ突撃。
「おいぃぃぃ!!」
レンが叫ぶ。
だが。
彼女は笑っていた。
空中でスタビライザーを回転。
八極拳の踏み込みを、
空中動作へ無理やり変換する。
「紅龍――」
ネオン龍が咆哮する。
「――崩拳!!」
ドォォォンッ!!
衝撃。
大型制圧機の装甲が砕ける。
火花。
爆炎。
ネオン。
歓声。
空中要塞が、
都市上空で傾いた。
《うおおおおおおお!!》
《やったぁぁぁ!!》
《MAY-LIN最強!!》
その瞬間。
《YUNA》の表情が、
完全に崩れた。
『……ありえない』
レンは息を呑む。
美玲は、
ただ強いだけじゃない。
この都市の熱狂そのものを、
味方につけている。




