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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第四十二話 「MAY-LIN LIVE」

「飽きさせないの、大事でしょ?」


 ネオン雨の中央立体広場。


 美玲は笑っていた。


 酔拳。


 不規則歩法。


 千鳥足みたいな揺れ。


 だが。


 一歩ごとの圧が異常だった。


 《黒犬》が踏み込む。


 高周波ナイフ。


 直線刺突。


 だが。


 美玲は身体を傾けるだけで回避。


 酔拳独特の崩れた軌道。


 視線誘導。


 フェイント。


 そして。


 突然。


 超近距離へ潜り込む。


「ッ!?」


 《黒犬》の目が揺れる。


 読めない。


 完全に読めない。


 その瞬間。


 美玲がスタビライザーを回転させる。


 棍術。


 流れるような軌道。


「酔棍・流星」


 ガンッ!!


 《黒犬》の警棒が弾き飛ぶ。


 観客熱狂。


《うおおおお!!》

《武器落とした!?》

《MAY-LIN!!》


 コメント欄が爆発する。


 同接数急上昇。


 配信ドローン群が、

 自動で超接近スロー映像を流す。


《MAY-LIN LIVE》

《SPECIAL CAMERA》


 ネオン。


 火花。


 雨粒。


 全部が映画みたいだった。


 レンは思わず呟く。


「……これ絶対切り抜かれる」


「1000万再生コースだね」


 藍華が笑う。


 その時。


 《黒犬》が初めて後退した。


 呼吸が乱れている。


 感情抑制が崩れ始めていた。


 《EYES》が表示する。


『怒り』

『高揚』

『困惑』


 レンは息を呑む。


 感情を消された男。


 その中へ。


 美玲が無理やり、

 “人間”を戻している。


 だが。


 《YUNA》は焦っていた。


『黒犬、下がって』


 珍しく声が硬い。


『それ以上は危険――』


「危険なのはそっちでしょ」


 美玲が冷たく言った。


 広場が静まる。


「感情を消して」


「商品みたいに扱って」


「それで配信者とか笑えない」


 《YUNA》の笑顔が僅かに揺れる。


 レンは気づいた。


 あの女。


 多分、

 完全には余裕じゃない。


 その瞬間。


 《黒犬》が突然動いた。


 だが。


 攻撃じゃない。


 彼は落ちた警棒を見ていた。


 じっと。


 まるで。


 自分が何をしていたのか、

 分からなくなったみたいに。


 《EYES》が大きく反応。


『自我回復傾向』


「……え?」


 レンが息を呑む。


 そして。


 《黒犬》は、

 ゆっくり美玲を見た。


『……お前』


 かすれた声。


『何者だ』


 美玲は肩へスタビライザーを担ぎ、

 不敵に笑う。


「《MAY-LIN》」


 ネオンが赤く光る。


「横浜一の配信者」

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