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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第三十九話 「即席武器」

「アンタ、昔は何が好きだったの?」


 その言葉で。


 《黒犬》の動きが止まった。


 ほんの一瞬。


 だが戦場では、

 その一瞬が致命的になる。


 《YUNA》の声が鋭く響く。


『黒犬!!』


 直後。


 《黒犬》の感情波形が強制的に沈む。


 《EYES》が警告を出した。


『外部感情制御信号を検知』


「……ッ!」


 レンの顔が変わる。


「遠隔で感情押さえてる!?」


 藍華が舌打ちする。


「企業系感情制御……!」


 その瞬間。


 《黒犬》が再加速した。


 今までで最速。


 ネオン残光すら残らない。


「美玲!!」


 レンが叫ぶ。


 だが。


 《黒犬》の手には、

 もう別の武器が握られていた。


 高周波ナイフ。


 青白い刃。


「おい!?討論会じゃなかったのかよ!!」


「だから言ったじゃん!」


 藍華が叫び返す。


「配信決闘は何でもアリ!!」


 《黒犬》が踏み込む。


 殺気。


 高速刺突。


 完全に人体破壊用。


 だがその瞬間。


 レンは咄嗟に、

 足元の配信機材を掴んだ。


 撮影カメラ用の延長ロッド。


 金属製。


「美玲!!」


 ブンッ!!


 レンは全力で投げる。


 ロッドが空中回転。


 ネオンを反射する。


 美玲の赤い瞳が、

 一瞬だけこちらを見た。


「――!」


 パシッ。


 空中キャッチ。


 そのまま。


 美玲は身体を回転させた。


 八卦掌歩法。


 円運動。


 流れるような動き。


 《黒犬》の刺突を回避。


 そして。


 ロッドを振り抜く。


 ガギィィン!!


 高周波ナイフと激突。


 火花が夜へ散った。


《うおおおお!?》

《武器使った!!》

《アツすぎる!!》


 観客熱狂。


 コメント欄暴走。


 レンは思わず叫ぶ。


「武器使っていいんだよな!?」


 観客席から、

 誰かの笑い声が聞こえた。


「いいに決まってんだろー!!」


《NEO横浜》の空気が、

 一気に変わる。


 即席武器。


 現地利用。


 ネオン都市戦。


 完全に香港アクション映画のノリだった。


 美玲はニヤッと笑う。


「ナイス、レン」


「マジでいいのかこれ!?」


「盛り上がってるからOK!」


「配信者ルール怖ぇ!!」


 その瞬間。


 美玲がロッドを片手で回転させる。


 構え。


 詠春拳。


 短棍術。


 完全に様になっていた。


 《黒犬》ですら、

 ほんの少し目を細める。


『……武器術まで』


「配信者だからね」


 美玲は不敵に笑う。


「魅せ方、大事でしょ?」

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