第三十四話 「配信決闘」
「現代配信者社会の殺し合い」
「怖い言い方やめろ!」
レンが即ツッコむ。
だが。
藍華は本気だった。
「企業系トップ配信者からの公開討論ってね」
「実質、“社会的処刑”なの」
モニターでは、
《CRADLE》の《YUNA》が優雅に笑っている。
『逃げませんよね?』
完全に煽り。
しかも。
コメント欄は既に戦争状態だった。
《受けろMAY-LIN!》
《逃げるな!》
《企業VS地下配信者》
「うわぁ……」
レンが引く。
だが美玲は静かだった。
「……受ける」
「え?」
「受けるよ」
レンと藍華が同時に振り向く。
「いや待て!」
「相手LUX直属だよ!?」
藍華ですら焦っていた。
だが美玲は冷静だった。
「逃げたら終わる」
その瞳には、
もう《MAY-LIN》の覚悟が宿っていた。
「配信者ってね」
彼女はモニターを見る。
「一回“逃げた”って空気ついたら終わるの」
レンは少し黙る。
現代SNS社会。
炎上。
印象。
空気。
それだけで、
人は簡単に壊される。
美玲はそれを知っている。
その時。
藍華がため息を吐いた。
「……じゃあ私も出る」
「え?」
「池袋勢として」
レンが驚く。
「お前も戦うの?」
「配信者ナメてる?」
藍華はニヤッと笑う。
「私、炎上処理専門だよ」
「なんだその嫌な肩書き」
その瞬間。
モニターへ新通知。
《公開配信決闘
開催決定》
《会場:NEO横浜中央立体広場》
《参加者》
* MAY-LIN
* LAN-LAN
* CRADLE
レンの頭が痛くなる。
「イベント化されてる……」
「もう止まらないね」
藍華が苦笑する。
だが次の瞬間。
《CRADLE》側の新メンバー映像が表示された。
黒髪。
長身。
無表情。
機械みたいな視線。
「……誰だ?」
藍華の顔色が変わる。
「うわ」
「知ってるのか?」
「LUX戦術配信者」
彼女は嫌そうに言った。
「《黒犬》」
映像の男は、
静かにこちらを見る。
そして。
腰へ装着された、
電磁警棒を展開した。
「え」
レンが固まる。
「討論じゃないの!?」
「だから言ったじゃん」
藍華は真顔だった。
「配信決闘は殺し合いだって」
その瞬間。
美玲が不敵に笑った。
「いいじゃん」
赤い瞳が、
ネオンみたいに光る。
「バズりそう」




