第三十五話 「中央立体広場」
夜。
NEO横浜中央立体広場。
そこは、
都市そのものがステージだった。
巨大ホログラム広告。
多層歩道。
空中スクリーン。
ネオン雨。
そして。
数え切れない観客。
「……人多すぎだろ」
レンは呆然と呟く。
広場を埋め尽くす群衆。
一般市民。
配信者。
企業記者。
インフルエンサー。
感情暴走ギリギリみたいな熱気。
《MAY-LIN!!》
《LAN-LAN!!》
《CRADLE!!》
歓声が都市を揺らしていた。
《EYES》が解析する。
『現地観客数:約12万人』
『オンライン接続数:1億4300万人』
「規模終わってる……」
藍華がARゴーグルを調整しながら笑う。
「今日は東アジア全部見てるよ」
「軽く言うな」
その時。
巨大スクリーンが点灯する。
《公開配信決闘》
歓声爆発。
そして。
《CRADLE》が現れた。
銀髪の《YUNA》。
双子系配信者《REI》《MEI》。
さらに。
黒スーツの長身男。
《黒犬》。
空気が変わる。
レンは思わず息を呑んだ。
「……なんかアイツだけ危なくない?」
「危ないよ」
藍華が即答する。
「元PMC」
「なんで配信者やってんだよ」
「今の時代、暴力もコンテンツだから」
嫌すぎる世界だった。
《YUNA》が優雅に微笑む。
『こんばんは皆さん♪』
『今夜は“本物”を決めましょう』
コメント欄が爆速で流れる。
《始まる!》
《メイリン負けるな!》
《黒犬怖ぇ》
その時。
広場中央の床が変形する。
機械駆動音。
そして。
巨大立体ステージ展開。
「うおっ!?」
「都市型配信ステージ」
藍華が笑う。
「NEO横浜名物」
「名物にするな!」
だが。
レンは気づいた。
このステージ。
ただの舞台じゃない。
高低差。
障害物。
ホログラム迷彩。
完全に戦闘用。
《EYES》が警告。
『戦術地形認識』
「やっぱ戦うんじゃねぇか!!」
その瞬間。
《黒犬》が前へ出る。
無表情。
静かな殺気。
そして。
電磁警棒を展開した。
バチッ――
青白い電流。
観客が歓声を上げる。
《うおおお!!》
《黒犬!!》
《戦闘だ!!》
レンは頭を抱える。
「観客もノリノリじゃねぇか……」
だが。
美玲は笑っていた。
「いい空気」
「え?」
「盛り上がってる」
レンは察する。
この女。
本当に配信者だ。
その瞬間。
《YUNA》が宣言した。
『それでは始めましょう』
『NEO横浜公開配信決闘』
『第一戦――』
赤いネオンが、
美玲を照らす。
『《MAY-LIN》VS《黒犬》』




