第二十二話 「地下租界強襲」
轟音。
地下街の天井が砕け散る。
コンクリート片。
赤いネオン。
降り注ぐ火花。
そして。
黒い戦術ドローン群が、
地下層K-13へ侵入してきた。
『対象確認』
『M-01を回収します』
「回収って言うなッ!!」
美玲が怒鳴る。
ドローン群の赤いセンサーが、
一斉に彼女へ向いた。
レンの《EYES》が激しく警告を鳴らす。
『戦術制圧モード確認』
『危険度:極大』
「うわヤバ」
その瞬間。
ドローン側面が展開する。
小型機銃。
電磁拘束ワイヤー。
完全に軍用。
「学校相手に出す装備じゃねぇだろ!?」
「LUXは昔からやりすぎなんだよ」
張老師が舌打ちする。
次の瞬間。
ドローンが一斉射撃。
ババババッ!!
「伏せろ!!」
レンたちは路地裏へ飛び込む。
古い屋台が吹き飛ぶ。
ネオンが砕ける。
地下街は一瞬で戦場になった。
その時。
地下住民たちが動いた。
「ガキども下がれ!」
「またLUXかよ!」
「地下まで来やがって!」
刺青男たちが、
古い電磁銃を取り出す。
義眼の老婆が、
路地上空へ妨害ドローンを飛ばした。
レンは目を見開く。
「……え」
「地下は地下で生きてる」
美玲が短く言った。
「地上に捨てられた人たちの街だから」
その瞬間。
感情廃人の一人が、
ドローンへ飛びついた。
「ァァァアア!!」
爆発。
火花。
ドローン一機が墜落する。
レンは絶句した。
「なんで戦ってんだよ……」
張老師が低く笑う。
「地下の連中はな」
「感情を奪われたくせに、まだ人間を捨てとらん」
その言葉が、
レンの胸に妙に刺さった。
直後。
地下街全域へ警告音。
『高濃度感情波形を検知』
『M-01感情反応上昇』
レンが振り返る。
美玲だった。
赤い瞳が、
わずかに発光している。
「……美玲?」
《EYES》が異常反応を出す。
『対象:林美玲
感情同期共鳴率上昇』
『周囲感情波へ干渉開始』
「は?」
次の瞬間。
地下街全体のモニターが乱れた。
ザザッ――
ノイズ。
そして。
《MAY-LIN LIVE》
配信画面が、
地下空間へ強制投影された。
「え……?」
レンが固まる。
コメント欄が爆速で流れていく。
《何ここ!?》
《映画!?》
《メイリン戦ってる!?》
《やばすぎ》
「配信……始まってる?」
「違う」
美玲が眉をひそめる。
「勝手に接続されてる」
周天宇の笑い声が響く。
『素晴らしい』
『これですよ、M-01』
『極限状態での感情熱量』
『視聴者は“本物の感情”を求める』
コメント欄がさらに加速する。
《守りたい》
《メイリン頑張れ!》
《泣きそう》
《同接ヤバ》
レンの《EYES》が反応。
『配信接続数急上昇』
『4200万人』
「……は?」
レンが二度見する。
「ちょ、待て」
「何」
「登録者増えてる」
「は?」
『現在登録者数
4,870万人』
地下街が静まり返る。
美玲ですら固まっていた。
そして周天宇は、
心底楽しそうに笑った。
『見えるでしょう?』
『感情は、最も価値のある資源なんですよ』




