第百六十四話 「世界の反応」
上海事件から、
三日後。
世界は変わり始めていた。
《EYES NETWORK》
感情保護ネットワーク。
Emotion Crash抑制。
都市AI復旧。
感情市場安定化。
その影響は、
東アジア全域へ広がっている。
だが。
当然。
世界は黙っていなかった。
⸻
《香港湾岸金融区》
超高層ネオン群。
金融AI中枢。
巨大ホログラムニュースが、
夜空を埋める。
《EYES NETWORKは市場介入か?》
《感情市場暴落》
《世界金融へ影響拡大》
金融区上層。
スーツ姿の幹部たちが険しい顔をしていた。
「感情先物が崩れている」
「感情誘導広告が効かない」
「市場最適化AIが乱れている」
EYES NETWORKは。
感情市場そのものへ、
干渉し始めていた。
⸻
《澳門自由娯楽区》
黄金ネオン。
巨大カジノ群。
人工幸福街。
そこでは逆に、
混乱が起きていた。
《幸福酩酊率低下》
《感情ドラッグ同期切断》
依存者たちが叫ぶ。
『幸福感が薄れてる!!』
『なんでだ!!』
EYES NETWORKは。
“人工的感情依存”を、
弱め始めていた。
⸻
《台湾自由都市圏》
夜市。
港町。
自由ネット放送。
そこでは。
EYES NETWORKを歓迎する声もあった。
《感情保護AI支持集会》
《AIと人間の共和を》
台湾では。
EYESが、
“共存型AI”として見られ始めていた。
⸻
《神戸湾岸自由区》
ハヤトはニュースを見ながら笑っていた。
「世界変えやがったな」
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《長崎電脳居留区》
ネオン街。
市場ノイズが静かになっている。
人々が。
少しだけ、
穏やかな顔をしていた。
⸻
その頃。
上海地下診療街。
レンは机へ突っ伏していた。
「終わった……」
美玲が苦笑する。
「ニュース全部レンの話だよ」
「やめろぉぉ……」
コメント欄爆笑。
《世界的人物》
《ヨコヅナ》
《感情保護王》
その時。
《EYES》が静かに表示した。
《追加報告》
レンが嫌そうな顔をする。
「まだあるの?」
《現在》
EYES NETWORK支持率:
「上昇中」
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反EYES勢力形成確認
「来たぁぁ……」
雨玲が低く言う。
『当然だ』
『市場食ってるからな今のお前ら』
岳人も頷く。
「既得権益が黙るわけない」
その時。
診療所モニターへ、
一つの新しいニュースが流れた。
《国際市場連合声明》
《EYES NETWORKは危険な世界規模AI干渉である》
空気が少し変わる。
そして。
さらに別の映像。
《市民デモ》
《EYESありがとう》
《Emotion Crashが止まった》
世界は割れていた。
救世主か。
支配者か。
感情保護か。
AI干渉か。
その時。
《EYES》が静かに呟いた。
《分析》
⸻
「人類は意見が分かれます」
⸻
「しかし」
「それが人間です」
レンは少し笑った。
「お前」
「ほんと変わったな」
上海の朝日が、
ネオン都市を照らしていた。
だが。
世界規模へ広がったEYES NETWORKは。
これから。
さらに巨大な争いを呼び起こそうとしていた。




