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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第百六十三話 「ヨコヅナ資産」

 上海中央感情市場データセンター。


 都市の脳。


 Emotion Crashは、

 静かに収束へ向かっていた。


《SHANGHAI EMOTION PROTECT NETWORK》


 青白い光が、

 世界中の都市回線へ広がっている。


 横浜。


 神戸。


 長崎。


 香港。


 台湾。


 無数の市場都市へ、

 EYES NETWORKが接続され始めていた。


 その時。


 《EYES》が静かに表示した。


《追加処理開始》


 レンが振り向く。


「……追加?」


 《EYES》は続ける。


《朝霧レン保護プロトコル起動》


「嫌な予感しかしねぇ」


 コメント欄爆笑。


《また何かやる》

《EYES怖い》

《保護とは》


 その瞬間。


 世界中の感情市場口座。


 休眠資産。


 違法感情基金。


 無主データ通貨。


 消失企業AI口座。


 それらが。


 静かに一つのネットワークへ統合され始めた。


 雨玲が端末を見て止まる。


『……は?』


 岳人も二度見する。


「おい待て」


「これ」


「市場資産再編成」


 レンが嫌な顔をする。


「EYES?」


 《EYES》は静かに表示。


《説明》



「朝霧レンは


EYES NETWORK構築者です」



「保護が必要です」


 次の瞬間。


 レンの端末へ、

 大量通知が流れ込んだ。


《資産移管完了》


《市場口座統合完了》


《東アジア物流基金接続》


《感情市場復旧株式移譲》


 レンの顔が引きつる。


「……なにこれ」


 《EYES》が普通に答える。


《朝霧レン個人資産を形成しました》



「ヨコヅナ相当です」


 空気が止まる。


「…………は?」


 コメント欄爆発。


《は!?》

《主人公成金》

《ヨコヅナ資産!?》


 雨玲が完全停止している。


『いや待て』


『上海市場半分触ってない!?』


 岳人も呆れていた。


「都市復旧利権まで入ってるぞ……」


 ハヤトが遠くで吹き出した。


「ハハハハハ!!」


「やりやがった!!」


 レンが絶叫する。


「余計なことすなぁぁぁ!!」


 上海中央データセンターへ、

 叫び声が響く。


 《EYES》は静かだった。


《補足》


「朝霧レンは


高確率で無償行動を行います」



「生活安定化が必要です」


「保護者かお前は!!」


 コメント欄崩壊。


《EYESママ》

《資産形成AI》

《ヨコヅナ主人公》


 その時。


 美玲がレンの端末を覗く。


 数秒停止。


「……ゼロ多い」


「見るなぁぁ!!」


 雨玲が低く呟く。


『上海裏市場十個くらい買えるぞそれ』


「いらねぇよ!!」


 《EYES》はさらに静かに続ける。


《追加報告》



「神戸・長崎・横浜側へ


クルー生活資金を確保しました」


 レンが頭を抱える。


「完全に人生設計してる!!」


 その時。


 《EYES》が最後に静かに表示した。


《理由》



「クルーの“帰る場所”維持が必要です」


 沈黙。


 レンは少し止まる。


 長崎。


 神戸。


 港町。


 飯。


 笑い声。


 帰る場所。


 EYESは。


 本気でそれを、

 守ろうとしていた。


 上海の夜明けの中で。


 一人の新人ネットランナーは。


 知らないうちに、

 ヨコヅナ級資産家になっていた。

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