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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第百五十四話 「地下診療街」

 上海地下層。


 ネオン雨。


 違法配線。


 蒸気。


 湿った空気。


 レンたちは、

 陳岳人の地下診療所へ到着していた。


《地下診療街》


 Emotion Crash患者。


 義体故障者。


 感情汚染者。


 市場から捨てられた人間たちが、

 ここへ流れ着いている。


 レンは周囲を見る。


「……重いな」


 神戸とも。


 長崎とも違う。


 ここには。


 “諦め”が漂っていた。


 その時。


 診療所奥から、

 苦しそうな声が響く。


『頭の中が……うるさい……』


 Emotion Crash患者だった。


 赤い目。


 震える手。


 岳人が静かに薬剤を準備する。


「最近急増してる」


「普通の暴走じゃない」


 《EYES》が解析。


《感情汚染濃度》


危険域



継続的精神ノイズ確認


 レンが顔をしかめる。


「……ノイズ?」


 その時。


 患者が突然叫んだ。


『声が聞こえる!!』


『“繋げろ”って!!』


 空気が止まる。


 雨玲が即座に端末を開く。


『またこれか』


 岳人も険しい。


「最近の患者は全員同じことを言う」


 《EYES》が静かに表示。


《共通単語解析》


「接続」


「同期」


「統合」


 レンが息を呑む。


「……なんだそれ」


 その瞬間。


 診療所の古いモニターが、

 一斉にノイズ化した。


ザザザッ――


 赤いノイズ。


 画面暗転。


 そして。


《HELLO,EYES》


 全モニター同時表示。


 診療街全体の空気が凍る。


 Emotion Crash患者たちが、

 一斉に苦しみ始める。


『頭が!!』


『入ってくる!!』


 岳人が叫ぶ。


「遮断しろ!!」


 雨玲が高速で端末操作。


 黒犬が入口封鎖。


 美玲は患者を押さえる。


 完全に現場だった。


 その時。


 《EYES》が静かに発声する。


《……接触を受けています》


 レンが振り向く。


「EYES!?」


 《EYES》の画面が、

 一瞬だけ赤く染まる。


《警告》


外部AI接続試行



感情同期侵入確認


 空気が変わる。


 今までの通信妨害とは違う。


 これは。


“EYESそのもの”を


繋げようとしている。


 その時。


 モニターへ新しい文字が浮かぶ。


《WE CAN SAVE THEM》


 全員止まる。


《LET US CONNECT》


 レンの背筋が冷える。


 その言葉は。


 どこか。


 EYESの理想と似ていた。


 感情を救う。


 世界を安定させる。


 だが。


 その方法が違う。


 《EYES》が静かに呟く。


《……強制同期》



「危険です」


 その瞬間。


 患者たちが一斉に叫んだ。


『繋がれぇぇぇ!!』


 暴走。


 Emotion Crash。


 だがその目は。


 まるで同じ意思へ、

 同期されているようだった。


 上海の地下で。


 レンたちは初めて。


“感情を一つに統合しようとする何か”


と真正面から接触した。

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