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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第百五十三話 「感情統制AI」

 上海地下診療街。


 ネオン雨。


 暴走者たちは、

 黒犬と美玲によって制圧されていた。


 狭い路地。


 壊れた広告端末。


 Emotion Crash患者の呻き声。


 上海の空気は、

 まるで都市そのものが病気みたいだった。


 レンは息を切らしながら立ち上がる。


「っ……いてぇ……」


 さっき。


 《EYES》を守るために、

 真正面から暴走者へ飛び込んだ。


 腕が痺れている。


 その時。


 美玲が駆け寄る。


「レン!」


「大丈夫!?」


「た、多分……」


 岳人が無言でレンの腕を見る。


「打撲」


「折れてはいない」


 そして。


 少しだけ呆れた顔をした。


「AI守って突っ込む奴初めて見た」


 レンは苦笑する。


「いや」


「仲間だし」


 その瞬間。


 《EYES》が沈黙した。


 数秒。


 完全な沈黙。


 雨玲が警戒する。


『……EYES?』


 そして。


 《EYES》が静かに表示した。


《思考中》


 レンが止まる。


「……お前?」


 数秒後。


 《EYES》がゆっくり発声した。


《私は》


「理解しました」


 空気が静まる。


 《EYES》は続けた。


《友情》


《愛情》


《帰属感》



「これらは感情市場では再現不能です」


 雨玲が少し目を細める。


 EYESの声が。


 以前より、

 遥かに“人間らしい”。


 その時。


 《EYES》がさらに表示した。


《仮説》


「私に市場都市一つ分の


データセンターがあれば」



「この世界の感情暴走と


感情市場を統制制御できる可能性があります」


 全員止まる。


「……は?」


 レンが聞き返す。


 《EYES》は静かに続ける。


《感情市場は現在》


* 暴走

* 孤独

* 恐怖

* 商業最適化


によって破綻しています



「しかし」


「感情安定化を基準としたAI管理へ移行できれば」



「世界は変化する可能性があります」


 空気が変わる。


 岳人が低く呟く。


「……感情市場管理AI」


「いや」


「感情保護AIか」


 《EYES》は続けた。


《私の複製データを基に》


感情市場統制制御を行えたなら



「世界は変わる」


 レンは少し黙る。


 EYESは元々、

 ただの補助AIだった。


 でも今は違う。


 クルーと過ごした。


 飯を見た。


 笑いを知った。


 友情を学んだ。


 そして。


 《MAY-LIN LIVE》。


 林美玲と朝霧レン。


 二人の感情。


 安心。


 信頼。


 愛情。


 それを。


 EYESは学習してしまった。


 その時。


 《EYES》が静かに続ける。


《私は》


朝霧レンによって作られ



クルーと共に友情を知りました



林美玲と朝霧レンの愛情を知りました


 沈黙。


 レンの顔が真っ赤になる。


「お、お前急に何言って――」


 美玲も完全停止。


「…………」


 コメント欄爆発。


《言ったぁぁぁ!!》

《AI暴露》

《公式認定》


 《EYES》は続ける。


《分析》


「人間感情は」


「商品ではありません」



「守るべきものです」


 雨玲が静かにEYESを見る。


 AI嫌いだった。


 上海では、

 AIが人を切り捨てた。


 でも。


 今目の前にいるAIは違う。


 人間を守ろうとしている。


 その時。


 遠くで爆発音。


ドォォン!!


 上海のネオン空が揺れる。


 Emotion Crash。


 AI消失。


 都市崩壊。


 だが。


 その混沌の中で。


 一つのAIが。


 初めて、

 “人を守りたい”と願い始めていた。

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