表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/315

第十四話 「林グループ本家」

 着信音が、

 異様に静かに響いていた。


《林グループ本家》


 その表示を見た瞬間、

 林美玲の表情から余裕が消えた。


 レンは初めて見る。


 《MAY-LIN》でも、

 租界の女王でもない。


 ただの娘みたいな顔。


「……出ないのか?」


「出たくない」


「でも本家なんだろ?」


「だから嫌なの」


 珍しく即答だった。


 だが着信は止まらない。


 校舎では今も警報が鳴り響いている。


 赤い目をした暴走生徒たち。


 外を包囲する監視ドローン。


 そして《LUX》による感情実験。


 完全に地獄だった。


 レンは頭を抱える。


「なんで俺の高校生活こうなった……」


「知らない」


「お前が原因だよ!!」


 だがその時。


 美玲の端末が強制接続された。


 空中にホログラム映像が投影される。


『……美玲』


 低い男の声。


 レンは思わず息を呑む。


 画面に映っていたのは、

 一人の中年男性だった。


 黒い中華風スーツ。


 鋭い眼光。


 静かな威圧感。


 明らかに“上の人間”。


「……お父様」


 美玲が小さく呟く。


 レンは察した。


 林グループ現当主。


 つまり、

 この租界の超上級側。


『状況は把握している』


 男――林宗龍は淡々と言った。


『LUXが港湾第七学園へ介入した』


「……ごめんなさい」


『謝罪は後だ』


 宗龍の視線が、

 レンへ向く。


 レンの背筋が凍った。


『そちらの少年は?』


「朝霧レンです!! 一般学生です!! 巻き込まれました!!」


「必死すぎ」


「必死にもなるわ!」


 宗龍は数秒レンを見つめる。


 その視線だけで、

 社会信用スコアが下がりそうだった。


『……EYES保持者か』


 レンが固まる。


「なんで知って」


『林グループは租界内違法AI市場の七割を監視している』


「怖ぇよ!」


 美玲が小さくため息を吐く。


「お父様、今はそれより――」


『分かっている』


 宗龍の表情が険しくなる。


『LUXがついに“感情同期実験”を始めた』


 レンは眉をひそめた。


「感情同期?」


『複数人間の感情を強制共有する技術だ』


「……は?」


『依存。恋愛。憎悪。熱狂。』


『それらを市場単位で制御する』


 レンは言葉を失う。


 そんなもの、

 兵器じゃないか。


 宗龍は続ける。


『もし完成すれば、人間社会は“感情そのもの”を操作される』


 その瞬間。


 校舎が激しく揺れた。


 轟音。


 ガラス破壊。


 悲鳴。


『新規暴走反応』


『第二群、第三群が起動しました』


「ッ!」


 レンたちは廊下を見る。


 大量の暴走生徒。


 数が増えている。


 しかも。


 全員の瞳が赤い。


 完全同期。


「冗談だろ……」


 美玲が前へ出る。


 だが宗龍が低く言った。


『美玲』


「……何」


『下がれ』


「嫌」


『これはもう学生の領域ではない』


 沈黙。


 数秒後。


 美玲は静かに答えた。


「でも」


 赤い瞳が揺れる。


「ここ、私の学校だから」


 レンは少し驚いた。


 彼女はこの街を、

 この学校を、

 ちゃんと好きだったのだ。


 宗龍は娘を見つめる。


 やがて小さく息を吐いた。


『……好きにしろ』


「え」


『ただし条件がある』


 宗龍の視線がレンへ向く。


『朝霧レン』


「は、はい」


『娘を死なせるな』


「いや荷が重い!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ