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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第百十七話 「港の裏側」

 長崎港外縁部。


 暴走していた物流施設は、

 ようやく静けさを取り戻していた。


 海霧。


 停止したクレーン。


 赤警告灯の残光。


 港湾作業員たちは、

 まだ少し混乱している。


 だが。


 《MAY-LIN LIVE》によって、

 最悪の暴走は止まった。


 レンは海上施設デッキへ降り立つ。


「……これ」


「完全に事件だろ」


 《EYES》が解析を続ける。


《感情波残留解析》


外部同期信号痕跡確認



発信源:不明



“人工Emotion Crash誘導”可能性


「人工……」


 レンの顔が変わる。


 自然発生じゃない。


 誰かが意図的に、

 港を混乱させている。


 その時。


 ハヤトが周囲を見渡す。


「長崎港は」


「裏物流も通る」


「つまり」


「邪魔したい連中がいる」


 黒犬も静かに言った。


「密輸潰しか」


 海風が吹く。


 遠くで、

 港湾ドローンが旋回している。


 その時。


 美玲が海上施設壁面を見て止まった。


「……これ」


 レンも近づく。


 壁に、

 赤いノイズみたいなマークが刻まれていた。


《感情は商品》


 その下には。


 崩れた企業ロゴ。


 《LUX》に似ている。


「……LUXか?」


 《EYES》が即解析。


《一致率》


LUX関連企業コード:38%



完全一致せず


「微妙だな……」


 ハヤトの顔が険しい。


「わざとかもしれん」


「偽装?」


「LUXへ疑い向けるための」


 レンは息を呑む。


 つまり。


 誰かが裏で動いている。


 その時。


 港湾施設奥から、

 機械音が響いた。


ガコン……


 全員が振り向く。


 海霧の向こう。


 大型物流コンテナ群の間。


 何かが動いた。


 《EYES》が警告。


《高感情反応》


未確認対象接近


 黒犬が即武器を構える。


 藍華は端末展開。


 ハヤトも目を細める。


 その時。


 海霧の中から、

 一人の男が現れた。


 港湾コート。


 ボロい義手。


 ノーマッドタグ。


 そして。


 首元には、

 長崎海上ノーマッド連合の識別章。


 男は息を切らしていた。


「……逃げろ」


 レンが止まる。


「え?」


 男は震えながら続けた。


「港の下にいる」


「“歌”を流してる奴が」


 空気が凍る。


 その瞬間。


 《EYES》が反応した。


《異常音響感情波検知》


海底通信網反応確認



“歌唱型感情干渉”発生


 美玲の赤い瞳が揺れる。


「……歌?」

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