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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第百十五話 「海上食堂」

 長崎電脳居留区・昼。


 港外縁部暴動のニュースが流れる中。


 レンたちは何故か、

 海上食堂へ来ていた。


「なんでだよ!」


 レンが叫ぶ。


 海へ突き出した古い桟橋。


 その先に。


 巨大船舶を改造した、

 海上食堂が浮かんでいる。


《海龍飯店》


 赤提灯ネオン。


 潮風。


 港湾労働者。


 ノーマッド。


 完全に“港町の飯屋”だった。


 ハヤトは普通に席へ座る。


「腹減ってると判断ミスる」


「二回言ったな!?」


 コメント欄爆笑。


《また飯》

《でも好き》

《海上食堂いい》


 美玲は窓際席へ座る。


 海霧が、

 ガラス越しに流れていた。


「……落ち着く」


 藍華も周囲を見る。


「ここ本当に雰囲気いいね」


 その時。


 店内モニターがニュースを映す。


《港外縁部暴動拡大》


一部海上施設制御不能



Emotion Crash疑い


 空気が少し重くなる。


 レンが真面目な顔になる。


「やっぱヤバいんじゃ……」


 だが。


 その瞬間。


 料理が運ばれてきた。


《港湾海鮮ちゃんぽん》


《海上焼売》


《麻辣海老炒飯》


「うまそうぉぉぉ……」


 レンの決意が少し揺らぐ。


 ハヤトが笑った。


「人間そんなもんだ」


 美玲は普通に焼売を食べていた。


「……おいしい」


「お前ブレないな」


 その時。


 《EYES》が静かに表示する。


《感情解析》


クルー安定率維持



“共同食事効果”確認


 レンは苦笑する。


 飯食ってるだけで、

 本当に落ち着く。


 多分。


 それはAIでも否定できない、

 人間の本能なんだろう。


 その時。


 海上窓の向こう。


 霧の奥で、

 何か巨大な光が揺れた。


 レンが止まる。


「……今の」


 《EYES》が即解析。


《異常感情波》


海上施設群


『Emotion Crash拡大中』


 海霧の奥。


 赤い警告灯が点滅していた。


 美玲も静かに海を見る。


「……近い」


 ハヤトが立ち上がる。


 さっきまでの軽い空気が消えていた。


「飯は食ったな」


 レンも立つ。


「……行くのか」


 黒犬が武器ケースを持ち上げる。


 藍華は端末を開いた。


 クルーの空気が切り替わる。


 日常から。


 戦場へ。


 その時。


 《MAY-LIN LIVE》通知。


《長崎海上異常》


世界注目度急上昇


「うわぁ……」


 レンが頭を抱える。


 2092年。


 感情市場世界では。


 危機ですら、

 “配信”になる。

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