第百一話 「神戸湾岸自由区」
巨大貨物船が、
ネオンの海を進んでいく。
自動輸送ドローン。
海上高速道路。
赤と青の港湾ネオン。
そして。
湾岸超高層金融街。
《神戸湾岸自由区》
東アジア最大級自由市場港湾都市。
金融。
物流。
感情市場。
全部が海へ集まる都市だった。
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神戸湾岸自由区・第七港湾区画。
九条ハヤトの隠れ家。
巨大物流コンテナを改造した、
海上型地下拠点。
その最深部。
サーバールーム。
青白い冷却蒸気が漂う中、
朝霧レンは端末へ向かっていた。
目の下に少し隈。
だが。
視線は真剣だった。
《深圳ネットランナー職業訓練高等専門課程》
『進捗率:67%』
レンは息を吐く。
「……あと少し」
《EYES》が静かに表示する。
《能力推定》
* 感情解析:上昇
* 電脳潜航:中級域
* AI侵入演算:習得中
* 市場情報処理:適応中
「いや成長速度怖ぇな俺」
コメント欄爆笑。
《主人公育成》
《ネットランナー編》
《もう普通じゃない》
その時。
神戸湾岸自由区の巨大窓へ、
ネオン海が映る。
池袋とは違う。
神戸はもっと広い。
海運。
金融。
国際市場。
東アジア資本そのものが流れている。
《EYES》が都市解析を表示する。
《神戸湾岸自由区》
管理構造
* 神戸自由市場評議会
* 湾岸AI物流管理局
* 感情金融取引所
* 海上ノーマッド連合
⸻
危険度
「高」
「毎回危険度高いな!?」
その時。
後ろから声。
「神戸は金の流れが違うからな」
九条ハヤトだった。
缶コーヒー片手。
完全にこの都市に慣れている顔。
レンが振り向く。
「ここも隠れ家なのか?」
「元ヨコヅナ舐めんな」
ハヤトは笑った。
「神戸にも」
「上海にも」
「香港にも」
「逃げ場所くらい作る」
「スケールおかしいんだよ……」
その時。
別モニターが起動した。
《MAY-LIN LIVE》
美玲だった。
湾岸夜景を背に、
歌配信をしている。
赤い龍AR。
海上ネオン。
サイバーパンク音楽。
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♪「Neon harbor night」
♪「感情は still alive」
♪「海を越えて
we still connect」
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コメント欄が流れる。
世界中の言語。
世界中の感情。
その数字が更新された。
『登録者数:9億3000万人』
『同時接続:16億8000万人』
レンは数秒止まる。
そして。
「また増えてるぅぅぅ!!」
神戸湾岸自由区のサーバールームへ、
いつもの絶叫が響いた。




