表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦闘神姫  作者: 柳井
39/41

【3章】戦闘神姫 第9話 激突!天雷神竜テンペスタ① 協調する四人

二週間振りの投稿で申し訳ありません。今回は少し長くなってしまったので二分割で分けます。今週決着編をアップする予定なので良ければ読んでやってください

湖のダンジョン。四人を待ち受ける守護者は、神の力を宿す天雷の竜。

『ネズミが増えようとも攻撃は届かぬ。かかってこい』

「足元の水が無ければ俺達も何とかなる。行くぜ!」

『ほざけ……貴様等ネズミが増えたところで、我に攻撃など届かぬ!』

テンペスタの口が大きく開く。

亀形の時に見せた光線が、イッシン達を狙う。

「来るわよイッシン!」

『死ね。冒険者共』

「隙だらけだよ。大きな獲物さん」

二人に集中していた隙に、ローアが動く。

「くらえ……強射手パワーシューター!」

ローアの不意を突く一撃は、守護者の目を完璧に射抜く。

(まさか……)

口から放たれる光線は、明後日の方向へと逸れた。

その光線でダンジョンの一部が崩壊する。

『ぐおお……小賢しい弓使いが。貴様から片付けてやる』

「させないわよ」

すかさずアヤカがフォローに入る。

だが、テンペスタの狙いは違った。

『回復されては困る。この機会に確実に葬る』

狙いは三人の誰でもない。負傷したマクだった。

翼を大きく広げ、攻撃の体勢に入る。

神風ストーム・インパクト

「しまった……避けきれねぇ」

マクは元々の速さを失っていた。

だが、その攻撃はマクには当たらなかった。

「お前……!何してんだよ」

マクの目の前に立つのはアヤカだった。

ローアの前に構えていたアヤカは、攻撃の向きが変わった瞬間に全速力で駆けた。

その結果、マクへの直撃は避けることに成功した。

しかし、アヤカもただでは済まない。

テンペスタの一撃を、まともにその身で受け止めることとなる。

「私には炎の加護があるから普通の人より防御力は高い方だけど……これは効くわね」

アヤカはマクの目の前で倒れる。

だが、テンペスタはその機を逃さない。

『一人始末するつもりが二人になるとはな』

テンペスタが爪を構え、襲いかかる。

しかし、その攻撃はイッシンが刀で受け止める。

「俺達はチームだ。誰かが欠けたらそこで終わりだ。だから全員で戦う」

『雑魚が!刀ごと押し切ってやる』

刀で受け止めたイッシンの周囲が、段々と曇り出す。

やがてダンジョンは霧に覆われ、視界が閉ざされる。

「俺は囮だ。二人を回収させてもらうぜ」

刀と爪が押し合う中、ローアがアヤカを運ぶ。

「イッシン!マクちゃんを頼んだ!」

ローアは霧の中へと消えていった。

『ならば小僧と獣人を殺すまでよ』

イッシンの刀が押し切られそうになった、その時。

テンペスタの背後から矢が放たれ、わずかに攻撃が緩む。

「今なら弾き返せる!」

イッシンは力の限りテンペスタの爪を弾き、一瞬でマクを抱えてローアの元へと隠れる。

『小賢しい真似を……』

テンペスタが翼で霧を払う。

だが、霧が晴れたフィールドには誰の姿も無かった。

『瓦礫に隠れたか。どこまでも愚かな』

テンペスタの光線によって、フィールドには瓦礫の山がいくつもできていた。

イッシン達はその中へ身を隠していた。

『“準備ができ次第”攻撃してやる』

ーー

「助かったぜ……サンキューな」

「これからどうするんだ?アヤカも重傷を負った……」

四人は全員、同じ場所に身を潜めていた。

「私が時間を稼ぐわ。その隙に逃げなさい」

「何言ってんだよ。お前一人置いていけねぇよ」

アヤカは一人で戦うつもりだった。

責任者として、そして戦闘姫としてのプライドがあった。

「いい加減にしなよ。アヤカ」

その時、突然ローアがアヤカの頬を叩いた。

「何するのよ!アンタ!」

「私達はパーティーだよ!アヤカちゃん一人になんかさせない。それに私達は死ぬ覚悟はあるけど、死にに来た訳じゃない。全員でここから帰ろう」

皆が目を合わせる。

アヤカの目にも正気が戻る。

「でもどうやって奴を倒す?このままここに居ても、いずれ遠距離からの攻撃が来るぞ」

「そのことなんだが……おかしくないか?」

イッシンがテンペスタの異変に気づく。

「それなら、撃ち続ければいいんじゃないのか?それとも撃てない理由があるのか?」

「恐らく……連発できない?」

テンペスタのこれまでの攻撃は、神風と口からの光線。どちらも高威力の技だった。

「それなら私がそれをおびき寄せる。だからアンタ達は――」

四人の視線が一つに重なる。

四人に一筋の希望が見えた。

ーーー

『こんな霧、我の神風を使わなくとも払える』

テンペスタは大きな羽根で仰ぎ、霧を払った。

霧が晴れた先に居たのは、アヤカ一人だった。

『小娘一人か。他の奴らはどうした』

「足手まといは逃がしたわ。さぁ、ここからが本番よ」

『フン……我を倒さぬ限りここからは出れぬ。お前を殺して残りも蹂躙してやろう』

「“私達”はしぶといわよ。甘く見ないで」

アヤカの体に黒い紋様が浮かび上がる。

「これを使うと体が痛くなるから、あんまり使いたくないのよ……でも、アンタを倒すには使うしかないわ。鬼哭纏きこくまとい

アヤカの切り札である鬼哭纏。

アヤカが死地に立った時のみ発動する、短時間だけ使用者の能力を底上げする呪いのドーピング。

『人間を捨てたか。いや、“まだ”捨てきれてないか』

「いくわよ」

アヤカのスピードが跳ね上がる。

筋力の上昇により、炎神加速フレイム・アクセルの加速力を大きく超え、一気に跳躍する。

『むぅ。速い!』

アヤカの一太刀はテンペスタの腹部に入る。

だが、テンペスタの体に異常が見られる。

「再生……!」

テンペスタの体がゆっくりと再生する。

まるで何も無かったかのように。

『危なかった。まさかそこまでの速度でこの高さまで届くとは。だが、その能力も長くはもたんだろう。速度が分かれば対処できる』

テンペスタの考えは間違いではない。

アヤカの鬼哭纏は短時間という制限付きのドーピングだ。

だが、アヤカの目的は違った。

(やはり他の奴らが逃げたのは本当だな。切り札で一気に勝負を付けるつもりだったのだろうが、奴の反応を見るに再生するのは計算外だったのだろう)

「くっ……」

(体がきしむ。もう時間が来たのか)

アヤカの姿を見たテンペスタがニヤリと笑う。

『ここまでのようだな。ケリをつけてやる』

テンペスタの羽根がわずかに動く。

そして、“あの技”を放つ体勢に入る。

ーー

「アヤカ、これは賭けだ。テンペスタが羽根を小刻みに揺らした時にあの技が来る」

「神風まで出したら後はアンタ達に任せるわ」

「でも確証は無い。次に大技を喰らったらアヤカでさえ……死ぬよ」

「洞察力が一番いいアンタの案なら信じるわよ」

アヤカは真っ直ぐにローアの目を見て答える。

「あと、テンペスタには核があるわ」

「核って、あのネフィリス軍が動物に埋め込んだのと同じのか?」

以前ネフィリス軍の襲撃にあった際、ネフィリスの生物兵器であるDBディストラクションビーストにもあったもの。

これを壊さない限り、ほぼ無限に再生し続ける。

「ローアの目元への攻撃をした時に確認したわ。今、奴の目は完全に回復している」

「それじゃあアイツに弱点は無いのかよ」

人間には敵わない能力、そして無限の体力。

普通なら勝ち目は無い。

「アンタはバカなの?核があるって事は、核を壊せばいいだけよ」

核持ちの生物兵器も、アヤカはこの方法で壊してきた。

核生物は強力なものが多い。

だが弱点もある。

ーー

(ローア……!信じてるわよ)

『喰らえ!神風』

強力な溜めから繰り出される神風は、動きの鈍ったアヤカ目掛けて放たれる。

「動け!!体ぁぁぁ!!」

アヤカは軋む体にムチを入れ、鬼哭纏の最後の力を振り絞って跳躍する。

間一髪、神風の直撃を避ける。

(後は任せたわよ。みんな)

瞬間、背後に現れるローアとイッシン。

「ずっと溜めていた。私の弓をくらえ!」

ローアの弓は攻撃特化型の弓。

自身が力を溜めるほど威力は増大する。

しかし、その代償としてコントロールを失う。

「これだけ大きならどこに当たっても削れるよ。出力最大。強射手フルパワーシューター

ローアの矢がブレながらもテンペスタへ向かう。

(私は弓の精度に自信があっても力は無い。だけどこの武器の力なら、非力な私でも何倍にもできる!)

『強化した弓くらい我の風圧で落とせるわ!』

テンペスタは直ぐ様羽根で仰ぐ。

そして、ローアの矢は無慈悲にも地面へと落ちる。

『雑魚の連携など束になっても意味は無いわ』

「一人忘れてるぜ」

高笑いするテンペスタの背後に現れたのは、重傷のマク。

「弓が落とされるのはローアの計算済みだ。本命はこっちだボケ!」

マクが腕を獣化させる。

そして投げられるのは、瓦礫で作ったつぶて

投擲とうてきイアさんに叩き込まれた。くらいな」

マクの投げた礫はテンペスタの意表を突き、一枚の羽根を貫通させた。

空中の体勢を崩したテンペスタへ追い打ちをかけるように、マクが礫を投げる。

「姉さんは投擲で人を殺す事だってできる。アタシにはまだ無理だ。だが、再生能力があるお前でも羽根をもげば落ちるだろ」

『糞が……!』

マクの礫によって、テンペスタは床へと落下する。

落下した先にはイッシンが構える。

「雑魚の連携には意味が無いんだってな」

(アヤカが付けた傷は腹部、マクの投擲は羽根。核があるとすれば後は……)

「イッシン!頭よ!」

その時、アヤカが叫ぶ。

『むぅ!何故わかった!』

「ブラフよ」

アヤカはわざと大声で斬る場所を叫ぶ。

「このタイミングじゃないとできないブラフよ。さぁ行きなさい」

イッシンは倒れるテンペスタに向かって走り出す。

だが、テンペスタは最後の力を振り絞る。

「イッシン!マズい、避けて!」

『もう遅い!落ちた時から我は攻撃の準備をしていた!』

テンペスタのもう一つの大技。

口から放たれる光線が残っていた。

『終わりだ小僧!!』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ