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事件です!8

「確かに、お前から買った方が安いな」


 今回はアヌビスのお安さに驚いたのは確かなので、変な演技も不要だった。


「だろウ?」

「だがな、やはりそちらの袋も気になる。自分で見るから手袋でも何でもいい、寄越せ」


 でもここでアヌビスを買ってもしょうがないわけで、ちょうど話しの流れに無理は無いから大変気になる袋の中味を拝見させてもらおう。

 多分中身は十中八九知り合いだろうけど。


「・・・物、好きメ」

「猫人の好奇心旺盛さは有名だろう?」


 ミイラは本当に嫌そうにこちらを見る。

 でももうだいぶ慣れたもので、これまでの共通項からほぼ猫と同じとみていいと推測し、自信あり気に帰してやった。


「そレだカラ、猫人ノ冒・・・険者に、英雄ハ生マれ無イ、と言われル」

「言ってろ。俺たちねこびとにとって英雄なんて称号はどうでもいいもんだからな」


 おお!通じた!しかも皮肉で返された!

 言いたいこと的に、やりたいことやってぽっくりこの世からリタイヤするとかそんな感じ?

 良いなー、その気まぐれっぷり。

 このことから、やっぱり猫人って地球の猫が二足歩行して、俺にわかる言葉を話してくれる存在って認識でいいらしい。

 次回があるかどうかは先輩の調剤レベル次第だけど、猫人フォームなら完璧に演じれる確信がついた。

 猫好きの本領見せてやる!って、まあ、ホント薬次第なんだけど(大事なことですよ、マジで)。


「檻は、開ケなイ。間から手ヲ入れテモいいが・・・苦情ハ一切聞かナい」

「分かっている」


 ミイラがため息ポーズで猛禽類に使う様な革できたゴツイ手袋を渡してくれた。

 そして、檻の天井部分の外側に有る袋を吊している縄の結び目を解いくと―。


「シャーッ!!」


 袋の口が開くや否や、怒りに満ちた猫の威嚇。

 やたら暴れてる割に静かだと思ったら、どうやら袋自体に防音系の効果があったらしい。


「ラグドールよりも小さいな・・・ペルシャくらいか」


 ミイラは耳を塞いでいるが、檻の中で耳を伏せ、いつでも飛びかかれる体制で牙を剥くのは、やっぱり見知った黒モップ。ちょっと思ってたより小さいけど、怒り狂う袋の中身はやはりローグだった。

 袋詰めされてた割に毛並みも良く、くたびれた感じも無い。これなら猫のまま持って行かなくても、元に戻せば十分戦力になってくれそうだ。


『先輩~、ターゲット無事発見。プランA可能そうってか、元気一杯ッス』

『・・・んー、そーか、そりゃ…良かった、わ』


 俺は檻に近づき観察ふりをしながら先輩にローグ発見の報告を入れる。が、どうも様子がおかしい。

 何か作業中らしく返事がそぞろな感じだ。


『何か嫌な予感しかしないんすけど、先輩何やってんすか?』

『いやな・・・ちょおめぼしいのが、あったから。持ってくに辺って・・・証拠隠滅しとこ、かと』


 証・拠・隠・滅。

 俺の中の警告センサーがすっごい勢いで反応してる。

 ヤバい。何かはわかんないけど絶対ヤバい!


『よしっ!マレ合図は5分後や、上手く兄さん連れて逃げや?』

『ちょっま、合図って何すか!?何が起こるんすか?!』


 檻越しに威嚇しまくる黒モップと対峙しながら先輩を問い詰めるが、通信が途絶え返事は返らなかった。


「見てクれは、合格ダろウが・・・こノアり様だ」


 ミイラは不自然に固まっている俺に構わず、商品について語っている。

 ホントこの鈍いミイラ相手で良かった。自分で言うのもなんだけど、かなり不審な行動を多々とっていると思う。なのに気が付かないミイラ。

 もうミイラになったのもしょうがないのかもしれないとか思えてくるな。


「そうだな、外見は申し分ない」


 だから適当にミイラに返事を返すつつ、俺の心中は先輩のいう合図とやらが巻き起こすことを必死て予測しようとする。

 まさか爆発とか・・・しないよな?

 侵入の痕跡を消すには、燃やすのが一番だと聞いたことがあるのは気のせいだっただろうか。

 そしてそれを語ってたのは何かの本を片手にしてた先輩だった様な気がするのは、もっと気のせいだったろうかっ!

 何このフラグ感っ!頼むから折れてぇっっ!


―ドォォォンッ!


 やっぱり爺様の世界だけある。俺の祈りは虚しく、上階から爆発音と、それによる振動が地下のこの部屋を揺らした。

 あのクソ賢者遣りやがったぁーっっ!!


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