第5話 マロマロ?? チョコチョコ??
「ホケンジョの人??」
突然現れた女の子は、怯えるような目で僕を見てくる。
そして、凄く焦っている。
うーんと。
どこかで見たことがある顔だ。
考え過ぎか。
顔が似てるヤツなんでたくさんいる。
「ホケンジョの人????」
「ねえねえ、お兄さん??」
おそらく、彼女は何度か僕に、そう呼びかけたのだろう。
完全に無視してしまっていた。
「違う、違う、僕はただの高校生さ」
「そのネコ連れていかない??」
「少なくとも、保健所には持ってかないよ」
「サフェ~。安心したよ」
「このネコ、ここに捨てられていたんだ。
警察に持っていっても、最終的には保健所行きだ。
飼い主を僕は絶対に許さないぞ」
ってか、サフェ~ってなんだ??????
何語なんだろう。
バカだと思われるのも嫌だし、聞くに聞けない。
「そのネコたち、全部私のなんだ」
へ??
コイツがこのネコの飼い主だったのか?
「どういうことだよ」
「だから……、私が捨てたんだよ」
「本当、なのか?」
「うん……」
「よく言った。
でもな、その行為は許されないし、僕も許さないぞ。
なんで、こんなことしたんだ??」
「おにぃと喧嘩した。
そしたら、さっきここに連れてこられてしまったの。
それで、迎えに来たらお兄さんふぁ……いtぇtt……」
彼女はついに泣き出してしまった。
はたから見れば、僕が泣かせた犯人であるかのように映るのは致し方ないだろう。
僕は、一向に泣き止まない彼女を抱きしめてやった。
それが最善の行動であるかは、わからないが、彼女が置かれている環境を理解していない僕にはそんなことくらいしかできない。
「名前は?」
やっと、まともに話せるようになったので、問うた。
いつまでも、名前がわからないまま、彼女やコイツといった代名詞を置いておくのは、どうも趣味ではない。
彼女は、二反田 冴香と名乗った。
「ひとまず、整理しようぜ。
今、マロマロたちを連れ帰っても、どうせまた追い出されるよ」
さっきのに付け加えて、チョコにすがりついてきたコイツはマロマロというらしい。
冴香のネーミングセンスはどうかと思う。
チョコチョコでどうだ!
「もう、あそこには帰りたくない。
おにぃもだいぶ精神的にヤバイんだよ」
未だに、冴香の顔には明るさが戻っていない。
声のトーンも暗いままだ。
重症だな。
「しばらく、僕の家来るか?」
冗談半分、本気半分での提案だ。
ただ、このまま、チョコチョコたちと家に帰らせても、明るい明日はないと思う。
コイツも、僕と同じで、両親とは別々に暮らしていると、さっき言っていた。
「いいの!!??」
おい、さっきまでのテンションはどこへ行った。
まぁ、いいだろう。
暗いまま、家に来られても、かける声がない。
「あぁ。
ただし、そんなに広くないのと、料理が下手なのは勘弁な」
「料理は私がするー!!」
「マジか、それは助かる。
これでお互い借りはなしってことで」
ウィンウィンの関係だ。
その他の家事もやってくれるらしい。
ありがたい。
チョコチョコたちは、漏れなく303号室にやってきた。
これから、餌代、2人分の食費や水道代。
一人暮らしでも枯渇寸前だった仕送りだけでは、やっていけない。
働くってことも考えないといけないのかな。




