第3話 光の夜
みどり、きいろ、あか。
バンバン、ドンドン。
終電の時間も過ぎ、駅前といえど、辺りはもう静まり返っている。
ただ、茶色いマンションの一室の窓には、画面のカラフルな光が交互に映し出され、効果音が響き渡っている。
――― ピカッ!! ―――
眩しい。
夜なのに、真昼の太陽のような強い光が、目に差し込んできた。
と思えば、それは一瞬のことだった。
すぐに、真夜中特有の、言葉では表わせない雰囲気や色の空間に戻る。
と思えば、それも一瞬のことで、すぐに強い光が、目を直撃する。
それが3回くらい繰り返された後、部屋は再び闇に包まれた。
よく考えてみると、さっきのは明らかに人工の光だった。
斜め下から、突き上げるような光。
しかも、それは部屋全体を照らさなかった。
何か、光線のようだった。
可能性が高いのは車の光だが、そうではないことは明らかだ。
確かに、道路沿いのマンションではあるが、3階に突き上げるような強い光は、車から発せられたものだとは考えられない。
と思えば、再び目を痛めつけるような光線に襲われた。
部屋の窓を開け、光線の原因を確認することができないかと、ベランダへ出た。
斜め下、正面。
そこは、三串さんのピンク色の家。
そして、道路に面しているのは彼女の部屋だった。
光線の源もそこで間違いない。
僕の姿が見えると彼女は、光を発射するのをやめた。
ただ、こんな強い光線を発せられる機械がどんなものか気になる。
普通の懐中電灯では、到底、この距離、道路を挟んだ向かいの部屋まで、光を届けられない。
彼女が手にしていたのは、大型船がモールス信号を光で示すときに使うような、非常に大きな機械だ。
どこで、そんなもの入手したのか。
船オタクとか??
見かけによらない趣味だな。
三串さんが、何かジェスチャーで伝えようとしている。
指を下向きに。
その場で足踏み。
どうやら、下に降りてこいということみたいだ。
もしかしたら、さっきの光線も、モールス信号でそういう意味だったのかもしれない。
「どうしたんだ?
こんな時間に」
「もっと早く気付いてよね。
さっきの、サーチライトを見て、何か思い出すことない?」
「知らないよ。
見たことも初めてじゃないかな」
そう、僕が答えると、一瞬彼女の顔が曇った。
しかしながら、見覚えないものはないのだから、仕方がない。
ホームセンターとかで売っているものなのか?
見たことないけどな。
どうやって、入手したのだろう。
続けて、僕が質問しようとすると、彼女はそれを遮り、「こんな時間にごめんなさい。また明日」と謝罪と挨拶を言い残して、扉の向こうに消えた。
機嫌を損ねたのだろうか。
でも、それではあまりにも、理不尽である。
モヤモヤはその後も、解消されることはなかったが、まだ、完全に打ち解けていないクラスメイトたちの雰囲気に疲れていたこともあり、いつの間にか、夢の世界に旅立っていた。




