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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第七章 『禁忌』×戦闘ディストーション
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Mission81.The blood relation



〈妾に、『やり直し』を止めるほどの"力"はない〉


その言葉に彼らを絶望が覆い隠す。

灯茉では、止めれない?では、女神が与えた"力"とはなんなのだ?償わせるための"力"とは、一体!


「じゃあ、どうすんだよ?!」

〈落ち着いて!ちーちゃん!〉


怒り狂ったように千聖が叫ぶとそれを亜矢都が肩を掴んで止めさせる。国彦が灯茉を絶望的な表情で見上げる。そこで彼は気づいた。灯茉の瞳からは、絶望などなかった。輝かしいほどの希望が宿っていた。


〈だから、まだあるのじゃ、よくお聞き。妾は止めるほどの"力"はないと言うたが、女神……母上から受け継いだ"力"は『書き換え』なのじゃ〉

「…つ、まり…」

〈そう。止めるには別の方法が必要じゃが『書き換え』は可能じゃ。償わせるための"力"とは"未来の『書き換え』"そのもの〉


フッと灯茉がもう会うこともないであろう実の両親との思い出を思い浮かべ、軽く笑った。全員にまた希望が宿る。

だが、『書き換え』と云う事は『やり直し』を完全に止めると云う事ではないのだろう。一時期に止めるのか、はたまた数年先に『書き換え』なのか……

国彦は続けて、と灯茉に視線を向けると彼は頷き、深呼吸をした後に言う。それを彼らは希望に満ちた思いで見ていた。


〈妾は『やり直し』を『書き換え』る事は可能じゃ。だが、完全に止める事は無理に等しい。10回やって1回成功するかしないかの確率じゃ〉

〈〈じゃあ、どうやって止めるの?もう一つが関係してるの?〉〉


緋暮が首を傾げて訊くと彼は肯定の意として深く頷いた。そして、告げられたのはもう一つの真実。


〈『やり直し』を止めるには妾が『書き換え』をしている間の時間稼ぎと妾の"力"と今から云う者の"力"が必要じゃ。時間稼ぎはお主らに願うとして……『神人かみひと』と呼ばれる者が必要なんじゃ〉


その言葉に全員が、ピシッと音が出るほどに止まった。揺れと落ちてくる塵すらも一瞬、止まったかのように国彦は感じられた。


神人かみひと』、女神アラティナと同様に人間も知っている。神と人間の間に生まれた子供とはまた違う者。人間でありながら、神と同様の力を持つ1000年に一人と云う確率で生まれると云う稀な存在である。だが、そんな話があるにも関わらず、『神人かみひと』の持つ"力"を見た者はいなかった。まるでお伽噺のような存在だった。雲の上の存在だった。


そんな者の存在が必要。この世界中の何処にいるかもわからない、未知の存在が必要いる。ある意味、絶望に近い希望だった。

全員が茫然としている時、「ん?」と千聖は小さく首を傾げた。管狐も気づいたようで口元に手を当てている。


〈……すいませんが…『神人』、いました〉


千聖が気づいた事に竜胆華丸が知らせる。全員の視線が彼に注がれ、そして、別の人物にその視線が注がれる。その人物は驚きに目を見開きながらもその事実を受け止めていた。


〈…………神居 国彦…〉

「神の名を持った人間ひと、ってか…」


何故、神居国彦かれが『神人』か。知る者はいない。いや、"正確に"知る者はいない。

簡単に言えば、ティモリアと容姿がそっくりな国彦には灯茉と遠い親戚関係にあたる可能性があるためだ。神にしろ人間にしろ、碧の瞳は珍しい。2人共に碧の瞳でティモリアも碧だった。もし、ティモリアが転生する前、蒼茉であった時に彼の両親や兄弟が生きていたとしたら?その兄弟が子孫を残したとしたら?その子孫が、国彦であったならば…

これはただの憶測に、仮説に過ぎない。けれどその時、全員は何故か確信していた。国彦が『神人』である、と。


「……神居って云う名字は義父とうさんと義母かあさんの名字じゃないんだ。本来なら、僕の名字はさざなみになるはずだった。でも、でもね、義両親が神居って云う名字を僕にくれたの」

「それって……国彦が『神人』だと知ってたってこと?」


螢の問いに国彦は「多分ね」と小さく頷いた。だとすると彼の義両親はどうやってか知ったのだろう。友人である神様、灯茉とその神様が救った子供、国彦が遠い親戚関係にあることを。つまり、さっきまでの可能性は国彦が神居と云う名字を貰った事で確定に近くなっていた。


〈灯茉殿は知っておりましたか?〉

〈何故、違う名字を与えたかは疑問じゃったが……そうか、そういう事か〉


驚いたように固まった灯茉に狐幸が訊くと彼は納得したように何度も頷いた。


〈国彦が『神人』である可能性は高いようじゃの〉

「灯茉は知ってた?」

〈いや。じゃが、試す価値はあるじゃろう……妾もお主が『神人』だと、これといった根拠はないがそう思う。きっと、お主じゃろう〉


灯茉の言った事に国彦は力強く頷いた。が、気になる事があった。もし本当に自分が『神人』だとして、灯茉の"力"と自分が持っているらしい"力"で『やり直し』を止める事が出来るのだろうか?何か、デメリットがあるのではないか…そう思えてならなかった。


〈……悪いけど、2人で『やり直し』を止めるって、何かデメリットがあったりは…〉


弥厳が躊躇しながら聞く。それは灯茉以外の全員が考えていた事だった。灯茉は眉をひそめ、悲しそうな顔をして言った。


〈嗚呼、ある。『やり直し』を強制的に『書き換え』るのじゃから、生死の保証は……〉

「う……そ……」

〈見届け人って…そういう事やったんかっ…!〉


下手をすれば、いや、『やり直し』が止まったとしても2人が生きている保証はないのだと頭は理解しているのに、心が追い付かない。

国彦は真剣な瞳で、決心した眼差しを父親であったティモリア、蒼茉に向けている灯茉を横目に見た。

死ぬかもしれない。そう思うと震えが止まらない。僕が『神人』だなんて嘘だったらいいのに、なんて思ってしまう。でも、それで誰か他の人が犠牲になるのは嫌だ。生死の保証がなくとも、どうにかなる。きっと。だから、もし、僕が持っているらしい"力"で『やり直し』を止められるのならば、


「やる」


決意に満ちた瞳をたたえる国彦を全員が驚いたように見た。誰もが不安そうにしている。


「国彦、もしかすると死ぬかもしれないんだぞ?」


千聖が震える声を押さえながら言う。それに国彦は「うん」と頷き、


「……分かってる。僕だって怖いよ。でも、みんなを救えるならいっかなって!」


弾けるような笑顔に全員が、息を呑んだ。国彦の笑みは恐怖でか微妙にぎこちない。そうだ。国彦はそういう奴だった。誰にでも優しくて、それでいて少し怖がりで。

誰かが呆れたように笑った。


「全く、私の教え子は悲しませるのが好きなようだな」

「え、教官!?」


その時、第五部隊を避難させ終わった小乃刃とその傍らに立つ朝陽が現れた。小乃刃は呆れたように笑いながらも母親のような慈悲深い笑みを浮かべている。そして、彼らの背後には国彦と灯茉の友人達が集っていた。


「聞いてたの?」

「嗚呼。神居の心意気は素晴らしいものだ。だがな、お前達がいなくなる事を悲しむ者がいることを理解してくれ」


その言葉に全員が頷いた。国彦は唇を噛み締めると一瞬、俯き、顔を上げた。その顔は凛々しいと云う他なかった。


「すいません。それでも僕は、救いたいんです。僕に厳しく、優しく、そして愛しいこの世界を、みんなを」

〈口を挟むようじゃが妾も弁解させてもらおう。妾は自分のためにやるんじゃ。自分の存在意義のため、母上が残した償いのために〉


国彦の隣に浮かびながら灯茉が言う。2人の真剣な瞳に誰もが口を閉ざしてしまった。

嗚呼、彼らは本気だ。もう、誰にも止められないのだろう。彼らは例え失敗したとしてもその身が朽ちるまで続けるのだろう。自分の目的のために。ずっと。



女神ちゃん、名前出したけど、プロフィール作ってない人なんですよね。まぁ、前回説明文みたいなの書いたから大丈夫ですかね?!

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