Mission69.互いの思いと言葉
一応、100話未満で終わらせようと考えています…前作が100話を超えると云う事態が起きまして…、書きたい事書けたからいいんですけどね!
朝陽は小乃刃から国彦と灯茉の事を聞いて急いで彼らが集まるであろうところに竜胆華丸と緋暮と向かっていた。竜胆華丸と緋暮は『禁忌』について新たな情報を与えるために本部等のところへ行っていたため向かうのが遅くなり、事情を聞いた朝陽同様、心配していた。
小乃刃は知っていたという、2人の"思い出"の事に。だが彼らが本当に頼りになる友人や仲間に言うまでは心に隠していたそうだ。これは2人の問題だと。
〈本当、可愛がってやがる〉
朝陽が小乃刃の想いと言った事を思い出し、クスリと笑う。小乃刃も自分達と同じところに向かっているはずだ。朝陽は自らの両腕で抱き締めているものをさらに強く抱き締めて、仲間達がいるところへ竜胆華丸と緋暮と共に急いだ。
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西珠と管狐に案内されて臣下組が帰って来た。ラウンジに入った時、灯茉は笑って話している国彦を見てほっとしたが、俯いてしまった。まだ、怖いのか。亜矢都が肩を叩くと灯茉は大丈夫とはにかんだ。臣下組が主組の方へと行くとそれに気づいた国彦が笑った表情のまま、灯茉を見た。
「灯茉」
灯茉は国彦に名を呼ばれて肩をびくつかせた。亜矢都と弥厳が灯茉の背を押し出す。灯茉が少し前のめりになりながら国彦の前へと躍り出た。国彦は少し気まずそうに視線を逸らそうとする灯茉を見上げ、優しい声色で言った。
「分かってるよ。灯茉が僕のためにしてくれたって事」
〈………妾は、お主を守りたかった。神を、信じ続けたお主のために…〉
悲しそうな顔で灯茉が言う。国彦は分かってる、というように頷く。
「君はずっと僕を守ってくれてたんだよね。あの時は、驚いてて理解出来なかったけど、今はちゃんと分かる。ねぇ灯茉」
スッと国彦が灯茉に向けて手を伸ばす。それに灯茉は面食らったようで目を見開いた。
「君にはとっても感謝してるんだよ?今の両親に引き合わせてくれたのも君、助け出してくれたのも君。武器や世界の事を教えてくれたのも君。驚いて怖がっちゃってごめん。でも、それ以上に本当にありがとう、灯茉。ねぇ、まだ契約は続いてるよね?だったら、戻って来て。『禁忌』を、みんなで倒そ?」
あの時の、笑みで灯茉に言う国彦。灯茉は目を見開き、そして観念するように一度、静かに瞳を閉じた。
本当にお主には敵わん。
灯茉は国彦の手を取り、片方の手の袖口で口元を隠しながら笑って言う。
〈もちろんじゃ。妾の、唯一の主様〉
国彦が嬉しそうに笑い、灯茉が彼の頭を優しく撫でる。それを見守っていた彼らも嬉しそうだ。とりあえず、一件落着だ。
「話し合いは終わったか?」
その声に全員が振り替えると小乃刃とついさっきやって来たのだろう朝陽と竜胆華丸、緋暮が息を切らして立っていた。小乃刃の問いに驚いている国彦の代わりに西珠が頷けば、竜胆華丸が心配そうに国彦と灯茉の元へと走り寄った。
〈大丈夫、ですか?〉
「うん、大丈夫だよ。ね、灯茉」
〈嗚呼〉
〈よ、良かったぁ……第十部隊は俺の恩人なんですから、一人でも欠けたら困ります〉
竜胆華丸が安心したように微笑むとその頭を白鉄が優しく撫でた。何故、撫でられるのか竜胆華丸は首を傾げていた。小乃刃はゆっくりと2人の元へ歩み寄る。
「教官、迷惑をおかけしました」
「いや、こちらこそ、だ。私は、お前達の過去を知っていた」
『?!』
小乃刃の衝撃的な告白に朝陽達3人を除く全員が驚愕の表情と声を漏らす。灯茉は過去を知っていたという小乃刃を睨むように見ると、ふっと小さく笑った。味方。そう言ったように国彦は感じられた。
「ど、どういう事?朱鳥」
いち早く我に返った螢が問うと小乃刃は少し悲しそうな顔をして言う。それに彼女の辛い過去を知る螢、弥厳、西珠が顔を歪めた。その表情を見た他の者達がなんだと首を傾げる。
「私の臣下"だった"奴から聞いてたんだ。灯茉の事をな」
それに灯茉ははっと目を見開いた。そして、"だった"と云う過去形の意味も理解した。国彦も理解したらしく、悲しそうな顔を小乃刃に見せぬよう俯いた。
〈……あやつの事か。全く、準備が良い。愛しい者を、守ったのもな(ボソッ〉
「え…」
灯茉の独り言を聞き取った国彦が顔を上げると小乃刃は愛しそうな顔で、瞳は遠い方を向いていた。言わなくても分かる。灯茉の独り言の通り、小乃刃の臣下"だった"その神様はいずれ来る国彦と灯茉を託し、そして彼女を守って逝った。つまりは、
「……そうだ、神居」
しんみりとした空気を変えようと小乃刃自身が声を上げる。国彦が名を呼ばれ、背筋を伸ばす。それを見た千聖と光希がクスリと笑う。小乃刃がおいでと朝陽を手招く。全員の視線が彼に集中する。
「お前の大太刀、折れてしまっただろう?だから、お前達の主治医に頼んでこうしてもらった」
ニィと悪戯っ子のように口元を釣り上げて笑う小乃刃。国彦と灯茉が首を傾げて、朝陽が胸に抱き締めていたものを2人に向けて見せた。そのとたん、周りから小さく声が上がる。朝陽と緋暮が同時に小さく、自慢気に笑った。
〈それ、は…〉
〈国彦の大太刀。いや、元大太刀だな?大昔、最初の頭に万一のためにって直し方教わったんだ。元には戻せなかったが、これで闘える〉
朝陽の腕の中には天井のライトを受けて美しく輝く2振りの大脇差があった。そのうちの1振りには以前、国彦が使っていた大太刀の鍔と同じ模様が刻まれている。
「僕、の?直したの?」
〈そっ!まぁ、大脇差になっちまったがこれでも闘えるだろ?〉
朝陽が2振りの大脇差を国彦に向けて差し出す。それを国彦はゆっくりとした動きで彼の手から持ち上げる。新たに自分の武器となった元大太刀の、2振りの大脇差。国彦は色んな角度から2振りを見た。なくなったと思っていた武器が戻ってきた事に喜びを隠せない。と、国彦の頭上をいつものように浮いていた灯茉が突然、小さく声を上げた。国彦が彼を見上げ、首を傾げる。灯茉が2振りの大脇差のはばきの近くの刃を指差した。国彦の隣に座っていた千聖や光希もナニナニ?と一緒に覗きこむ。何か不備があっただろうかと朝陽が心配そうな顔をする。
「ねぇ朝陽」
〈ん?なんだ?なんかミスってたりしたか?〉
「うんん、違うんだけど…」
国彦はそう言って朝陽に灯茉が指差したところを示すように見せた。そこには以前は刻まれていなかったものが刻まれていた。それを見た朝陽は〈なんだこれ?俺が作業中の時にはなかったのに…〉と訝しげな顔で呟いた。それにえっと国彦が驚愕の声を小さく上がる。
「それにしても、ひ……ひ…"彦丸"?ってなんかくー兄みたいな名前だね!」
「んじゃあその法則で行くとこっちの"灯丸"ってのは灯茉だな」
光希と千聖が笑って言い、それを聞いた他のメンバーが驚いたように笑う。そう 、刻まれていたのは"彦丸"と"灯丸"と云う名前だった。朝陽が刻んだのではないとしたら誰が?国彦は首を傾げながら朝陽に直してくれた礼を言った。
「ありがと、朝陽」
〈いいって事よ〉
〈"刀想い"〉
笑顔で言った国彦に朝陽が笑顔で返した。とその時、竜胆華丸が突然、呟いた単語に全員が意味が分からずに止まった。いや、狐幸や白鉄、長谷部は分かっているのか納得した表情だ。
〈〈大将様、ナニそれ?えーと、カタナー?〉〉
〈"刀想い" 。大昔からある珍しい現象の事です。武器を使う者の想いがその武器にまで伝わり、その想いを武器自らが使う者の名を刻む事によって表す…つまり、2人の互いを信頼する想いが武器、この場合は大脇差にまで伝わったと云うことです〉
竜胆華丸の説明に納得した声が各場所から上がる。亜矢都が自分も空中に浮かび、灯茉の背を思いっきり叩いた。灯茉が〈痛っ?!〉と驚き、前のめりになった。
〈も~!心配する事なかったわネ灯茉!あーんなに泣いちゃってたのが今ではウソみt〈それを言うでない亜矢都!!〉〉
「え?灯茉が泣いたの?え?ホントに?」
亜矢都のまさかの一言で灯茉が恥ずかしさのあまりに頬を赤く染める。国彦が興味深そうに聞いてくるのを灯茉は避けながらいらない事を言った亜矢都を軽く睨んだ。それに亜矢都が笑い、それにつられて皆が笑った。
ーカツカツカツッ!ー
その時、急いでいる誰かの足音が狐幸の耳に入った。その方向を振り返るとラウンジの入り口。
「?狐幸?」
〈………急ぎの用事…〉
管狐が彼に声をかけると狐幸は聞こえていないのか、そう呟いた。灯茉も亜矢都と弥厳とじゃれるのをやめ、ラウンジの入り口を見た。一瞬の緊張が走った。そしてその緊張感の中、ラウンジに慌てた様子で駆け込んで来たのは政と近の双子だった。
「政!近!」
「貴方様方は本部直轄部隊の…」
国彦と鶴姫の言葉など気にも止めずに政と近は双子のコンビネーションを発揮しながら衝撃的な事を告げた。
〈〈緊急事態発生!『禁忌』を封じ込めてたお社が変貌したっ!!〉〉
『………………はぁああああああ??!!』
国彦の大太刀改め大脇差。名前を出しましたが意味はあります。
シリアス展開になってくれてたらいいんですけど…ウチにはシリアスなんて無理なんですかねぇ…




