Mission62.緊急事態の畏怖
第十部隊が帰還すると組織内は混乱と恐怖に包まれていた。話によると戦闘支部第二部隊『千國』、第五部隊『黄金帝龍』と第十二部隊『天雪羽衣』、後方支援支部研究部隊の前に逃げ出した残りの『禁忌』が現れたと云うのだ。ただし、後方支援支部はすぐに逃げたため被害はなかった。が他の戦闘支部は少なからず交戦したため怪我人が出たと云う。
怪我人の治療とまだ帰還していない部隊が揃い次第、全ての支部を対象とした説明会を開くと云う。その後は緊急支部会議。それを聞いた西珠は面倒くさそうに頭をかき、それを見た管狐は呆れたようにため息をつき、螢と弥厳は真剣そうな表情で頷き、千聖は眠たそうに大斧の亜矢都と同時に欠伸をかまし、それを見て国彦はクスリと笑い、灯茉は何か考え込み、緋暮は不機嫌そうに顔を歪め、そんな彼を見て竜胆華丸は心配そうにしていた。
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『『禁忌』対抗専門組織』の建物内で最大級の大きさを誇るホールは食堂よりも一回り大きく、全支部隊員が臣下を人型にしても容易に余るほどの広さと座椅子数を持つ。そんなホールに国彦達、第十部隊はいた。全員が一連に並んでおり、後方支援支部長から「人型になれる臣下は人型になってください」と言われたため千聖の隣には亜矢都、西珠の隣には白鉄、管狐の隣には狐幸が座っている。
〈えーと?説明会っていつ始まるの?〉
千聖の隣で亜矢都が背もたれに背を預け、ゆったりとしながら誰ともなく聞いた。するとそれにこの間の酒盛りで気が合ったらしい白鉄が笑いながら言った。
〈なんやぁ、亜矢都知らんかったん?あともうちょっとで始まるで?〉
〈白鉄殿、亜矢都殿をからかって遊ぶのも大概にしてください〉
〈言われちゃったわねー!〉
狐幸に言われて白鉄が少し不機嫌そうに顔を歪めるとすかさず亜矢都が調子に乗った。それを千聖がやめろと宥め、亜矢都が残念そうな顔をする。とその時、前の方が騒がしくなった。本部長と幹部、支部長がやって来、所定の位置についたらしい。此処からでは見えないが誰かかバンバン!と何かで机を叩き、場を静める。
「はいはい静まれ静まれ。静まらないと俺様のお得意発明品をその口にぶっ刺すぞー」
その言葉に全員が口を塞いだ。国彦も姿を見たわけではないが千聖や同期に聞いたことがある。幹部にいる変わり者の科学者だ。なんでも異世界に行くことが出来る装置を発明中だとか。
その幹部は静まったのを見て満足そうに笑い、席に着いた。それと同時に進行役であろう別の幹部がファイル片手に立ち上がった。それに全員が姿勢を正す。そして司会役が声を張り上げた。よく見ると司会役は幹部の中で一番性格に難のある奴だ。それに気付いた西珠は苦笑した。そのおかげで管狐に肘で脇腹をつつかれ、国彦や千聖になんだと見られた。まぁ、そんなこんなで司会役が口を開いた。
「緊急であったにも関わらず、集まってくださった事に感謝します。それでは、本題に移ります。既に知っている方もいるかもしれませんが本日未明、戦闘支部数年部隊と後方支援支部が『禁忌』に遭遇しました。全員、幹部クラスとボスです」
ザワリ、聞いていたには聞いていたが、本当だったのか…全員の息が止まる。司会役が続けて言う。
「報告を受けたところ、捕獲した『禁忌』、緋暮の証言と一致。他にも『大戦』と云う言葉を言われたとのことでした。そこから考えられる事は近々、相手が攻め行って来る、もしくは決戦が行われると云う事です」
再び、息を飲む。そんな大変な事に……しかし、何故今の今まで黙っていた『禁忌』が突然姿を表したのだろう?戦闘が始まったと同時に来たってよかったのでは…?
そう全員が思っていたのか、幹部達も思っていたのか、司会役は本部長に視線を移した。それに本部長はうむと頷いて、立ち上がった。
「諸君、私達は今、『禁忌』から宣戦布告を受けたのだ。私達は『禁忌』を専門とする組織だ。こんな宣戦布告で震えてはならない。何故、戦闘に来なかったかは、恐らく力が溜まっていなかったせいだろう。しかし、油断してはならない。私達は私達なりの使命を果たすのみだ。良いかな?」
凄い、国彦はそう思った。本部長を実際に今日の今日まで見たことはなかったがなるほど、確かに本部長だ。一つの言葉でこの空間を支配し、鼓舞する。誰でもなれるものではない、一筋縄ではいかない。そして彼に認められ、従う幹部達。幾千の闘いを経験してきた、まさに強者達だ。
本部長の言葉に賛同し、元気付けられたかのように先程まで場を支配していた恐れも震えも此処に集まった全員から消えいた。それを見越していたかのように本部長はにこやかに微笑んだ。
「各々は分かり次第、報告しよう。この後は支部会議を頼んでいる。自身の支部で自分自身の仕事を行い、同じ目的のために頑張りましょう」
本部長のその言葉に幹部を含め、全員が雄叫びをあげる。やってやろうではないか。『禁忌』なんぞ怖くない。自らの使命のために!
司会役が静粛にとファイルで机を叩く。再び静まりかえった空間に本部長の凛々しい声が響く。
「そんな彼らにある者達を紹介したい」
「ある者達?」
本部長の言葉を復唱して国彦が首を傾げる。隣では灯茉が思い当たる事があるのか〈まさかなぁ〉と考えこんでいる。狐幸と白鉄は何か知っているのか少々笑っている。それを2人の主よりも先に見てしまった螢と弥厳は2人で顔を見合わせて首を傾げた。他の者達もなんだなんだと首を傾げたりしている。幹部達はその様子を可笑しそうに見ている。本部長が「おいで」と声を誰かに向かってかける。と何処からともなく7人の者達が現れた。そして全員は驚愕の声をあげた。突然現れた事から神だと分かるが全員が驚いているのはその事ではない。凛々しい面持ちで並んだ7人。その中には……
「政?!近?!」
「嘘でしょ?!」
〈……本当にか〉
「……えぇ…」
〈あら~〉
あの"仲が悪い"と云う双子もいたのだ。他の者達も知り合いがいたのか「なんでいんの?!」「ええええ!?」と驚いている。本部長や幹部がクスリと笑う。名前を呼ばれながら驚かれている張本人達は苦笑いだ。
「紹介しよう。私達、本部の、本部直轄部隊『紅華七剣』だ。人は全員知っていても彼らがこういったものだとは知らなかっただろう。彼らはこれから全支部のサポートに入ってもらうので改めて彼らを宜しくな」
驚きすぎて本部長の声は騒音の中に溶けていった。
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その後、支部会議が開催された。本部直轄部隊は戦闘支部会議に参加する事になった。戦闘支部はこのままホールで行う事になり、始まるまでの間、西珠と千聖が知っていたらしい狐幸と白鉄に問いかけた。
「2人共、知ってたのかよ」
〈まぁなぁ〉
「ってことは…狐幸もかぁ?」
西珠が狐幸に問うと彼はそっぽを向いた。知っていたには知っていたらしい。
「それにしてもびっくりだよね」
「本当本当!」
国彦の言葉に螢が賛同するように大きく頷く。と灯茉と亜矢都がなんにも言わない緋暮と竜胆華丸に気付いた。竜胆華丸は疲れたのか小さく寝息を立てて寝ており、弥厳がそぉーっと自分のパーカーをかけている。一方、緋暮はずっと考え込んでいた。
「あ!西珠さん、鶴姫とツルギのところに行ってもいい?『禁忌』に攻撃されたって言ってたし……」
国彦が先ほどの報告で心配していた事を言うと彼らは微笑ましそうに笑った。
「いいぞ、行って来い。始まるまでには戻れよ」
「!はい!」
「俺も行く」
そう言って千聖も参加し、2人は第十二部隊『天雪羽衣』が座っている前方へ階段を降りていった。灯茉と亜矢都も気になるらしく、主の後を追って降りていった。
「………仲良いな」
〈そうでございますね〉
それを見て管狐と狐幸が呟き、全員がうん、と頷いた。
スランプ状態です…なんでこんな時に!
キャラクター紹介的なやつ書こう書こう思って何処で入れようって悩んでます…後書きに入れればいいのかな?!←




