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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第六章 Level『禁忌』
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Mission61.若き神達の逸話作戦




「良い策って?」


螢が首を傾げて問う。それに一度、国彦は灯茉を見上げ、彼と頷き合い、その策が同じである事を確認し、その策を言った。


「大昔、今みたいに頭が何個もあるバケモノを倒したお話があってそれを利用すればいいと思うんだ」

「その話って…?」


千聖が首を傾げて問うとその“お話”に思い当たる節がある弥厳や大斧の亜矢都が〈なるほど…〉〈あの話ね〉と声を上げる。


〈なるほど、私達の出番ですかな?〉

〈よくまぁ知っとったなぁ〉


それにつられて狐幸と白鉄が感心したように声をあげた。臣下である神達が何を言っているのか国彦以外はさっぱりである。


「オイオイなんだよ?オレらにも教えてくれ白鉄」

「なんのお話なの?」


さっぱりの彼らが自身の臣下に聞く。灯茉がニヤリと得意げに笑った。国彦は西珠の腰にぶら下がっている酒瓶を取ると西珠が喚くのも気に留めず、その策の単語を口にした。


「ヤマタノオロチ」


それはかつて、和ノ国の神が倒したとされる伝説上の生物。

もしかしてそれを模すと云うのか?西珠が持ってきていた小さな小さな酒瓶で?到底、無理がある。

彼らはそう考えた。国彦と灯茉が考えた策は無謀過ぎると。だが、臣下達はやる気だ。いや、待て待て。今、自分は誰と契約している?そう、神だ。あの国の神と同じ、神。無謀過ぎる事など、何度もやって来たであろう彼らがいて出来ぬはずはない。


「なるほど、考えたなぁ。よくやった国彦!」

「凄いな」


西珠と管狐が国彦をよくやったと褒めると彼は恥ずかしそうに微笑んだ。そこまでわかったのならば、あとの説明なんぞ必要ない。

西珠の大剣と管狐の刀が光り、人の姿を形作る。そこにいたのは2人の臣下。彼らは戦える事が嬉しいのかはたまた主と一緒にいるのが嬉しいのか口元には笑みが浮かんでいる。


「ほんじゃま、おめぇら、あとは分かるな?」

「言われなくても!」

「当然」


螢と千聖が当たり前だと叫ぶ。全員、ヒュドラに向かって構えた。

さあ、第二戦、この化け物退治と行きましょう!


「千聖!」

「国彦!」

「「行くよ!/行くぞ!」」


国彦と千聖が同時に相手を呼んだ。その途端、ヒュドラはその口から猛毒の吐息を吐いた。それを狐幸が手のひらから月光を出して散らす。国彦と千聖は大きく跳躍し、3つほどの頭をこちらに引き寄せ、攻撃する。弾け飛ぶヒュドラの血を灯茉がピッと腕を振って本人にはじき返してやる。ヒュドラがまさかはじき返されるとは思ってもみなかった自分の毒により、鱗がジュッと焼けた痛みに悲鳴をあげる。その足元に螢が槍を突き刺し、弥厳が残りの頭の1つを蹴り、他の頭と正面衝突させる。

螢を踏み潰そうとヒュドラが片足を上げたところに着地していた国彦と千聖が武器をぶつける。よろめくヒュドラに弥厳が蹴りを一発、お見舞いし、2つの頭の目を灯茉が右手を振って潰す。ポタリ、と毒を含んだ血が地面に落ち、地面が焼ける。それに近くにいた国彦は小さく悲鳴をあげた。ヒュドラの九つの頭が第十部隊『神樂』を見据える。


「隊長ーオッケー?」


はい?

螢の言葉にヒュドラは面食らった。何がオッケーなのだ?ヒュドラの1つの頭が驚いたように悲鳴をあげた。それに灯茉は我知らず、悪戯っ子のように笑った。


〈気づくのが遅いんじゃよ、愚かなバケモノが〉

〈本当に、そうでございますな〉


ふふ、と狐幸が灯茉に賛同して管狐の隣で笑った。そこには管狐と狐幸を中心として五芒星の陣が空中に浮かび上がっていた。そしてその五芒星の陣はヒュドラの足元にもあった。2人を囲んでいる陣よりも何倍も大きい。それに気づいたヒュドラが慌てて移動を試みるが足を攻撃してくる国彦達が邪魔で移動どころではない。


「狐幸」

〈承知致しました、我が君〉


管狐と狐幸が同時に腕を天高く挙げると複数の五芒星の陣がヒュドラを足元から固定して行く。徐々に身動きが出来なくなる恐怖にヒュドラは再び、悲鳴をあげた。


〈ほな、こっちも準備は整ったで〉


そんな愉快な場面を横目に白鉄が得意げに笑う。その両手には触れるだけで感電死してしまいそうな雷がバチバチと火花を散っている。手ぶらの西珠が白鉄に命令した。


「ぶっ飛ばせ白鉄!」

〈承知!〉


ーバチバチ!!ー


身動きの取れないヒュドラに白鉄が放った雷が襲う。火花がバチバチと散り、ヒュドラは悲鳴をあげる。感電し、動けるようになった時には何故か、ヒュドラはフラフラとしていた。傷が原因でもなければ、執拗に足元を攻撃されたのが原因でもない。

西珠が中身がなくなった酒瓶を片手で振りながら今にも倒れそうなヒュドラに言ってやる。


「今、おめぇは酔ってんだぜ?オレのとっておきの酒でな」


その瞬間、ヒュドラは罠にはまったと気づき、怒りの声をあげた。


あの策の全貌はこうである。

まず、国彦、灯茉、千聖、螢、弥厳がヒュドラの気を管狐と狐幸から逸らす。その間に管狐と狐幸が五芒星陣を展開させ、身動きが取れなくする。そこに西珠の酒を含ませた白鉄の雷を落とす。あとは感電し、酔いが回ってくれるのを待つだけ。もし、ヒュドラが酔わなかったら失敗だったが予定通り酔ってくれた。


ドオンと音を立てて倒れたヒュドラ。痺れて、酔って動けないヒュドラの九つの頭を彼らは同時に切り落とし、そして最後に国彦がその心臓を大太刀で一突きした。そしてヒュドラは黒い靄と化して消えた。


**


その頃、竜胆華丸は緋暮が異常なほどに“誰か”を執拗に追い詰めるのを見て首を傾げていた。“誰か”は竜胆華丸の脇差を横笛で再び防ぐと彼をジロジロと眺める。


〈………なに〉

〈〈あ、気を悪くしたらごめんね?緋暮が誰かを道ずれにするなんて初めてだから〉〉


にっこりと…いや、がらんどうの瞳で“誰か”は笑うフリをした。ゾワリ、竜胆華丸の体に悪寒が走った。その瞳も笑みも、脅威。竜胆華丸は“誰か”をはじき飛ばす。とその背後に緋暮が回り込み、鬼の形相で頭部に向けて蹴りを放つがあっさりと避けられ、ずいと顔を近づけられる。緋暮が一歩、後ずさると“誰か”は再び笑って、後転しながら後退する。

何故後退したのか2人が不思議に思っていると国彦達が2人を守るように立ちはだかった。あのヒュドラを倒し、加勢に来たらしい。

“誰か”は増えた敵に怖気付く事もなく、横笛を手首の上で回転させて遊んでいる。トンッと横笛を持つと“誰か”は愉快そうに、クスクス、クスクスと笑った。


「ナニ、笑ってるの?」


少々それが不気味に見えた国彦が躊躇しながら聞くと“誰か”はよくぞ聞いてくれました!と言わんばかりに両腕を広げた。


〈〈だって!!愉快なんだもの!!これからはもっと面白くなるよ!!『大戦』の時は最早、目の前!!さあ、かごめで『禁忌わたしたち』と遊びましょう?〉〉


悪寒、恐怖、殺気、狂気、怒り……全ての感情を身に纏った言葉が第十部隊を貫く。彼らが言葉の意味に困惑し、理解しようとしている間に“誰か”は、『禁忌』は、悠々とその姿を消した。


〈〈かーごめかごめ、籠の中の鳥は、いーついーつ出会う……後ろの正面、だーぁれ?〉〉


と云う無邪気な声を残して


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