Mission48. 退場する者と入場する者の差
スランプ中…文才欲しい
〈〈なぁ〜んだ、面白くないなぁ〜〉〉
男の背後から聞こえて来たのは高い声。声変わり前の少年の声にも少女の声とも捉える事ができる声だ。男が油が長年さされなかった機械のような、ギギギといかにも聞こえて来そうなくらい歪なほどにゆっくりと後ろを振り返った。
〈〈「「ナゼ……ナゼ……デスカ……『禁忌』……?……」」〉〉
〈〈えぇ〜だって、面白くないんだもん。当然でしょ?〉〉
面白くないと云う理由だけで刺すのか、この男の後ろにいる『禁忌』とやらは。
悪寒がした。恐ろしい、恐怖した。
〈〈ははは。貴方のその復讐心が面白そうだったから力を貸してあげたのに、全然面白くないんだもん。飽きちゃった。だから貴方は……貴様はもう用済み〉〉
グジュ…気持ち悪い音が男の胸からした。刃物を回転している音だ。刃物が男の肉や骨を喰いちぎり、痛みと流血をもたらす。男は声にならない悲鳴を上げながら後ろの人物ーかどうかも不明だがーに必死に懇願する。
〈〈「「ナゼ……ナゼ……デスカ………オレハマダ……“忌み子”二……!!」」〉〉
〈〈だぁ〜かぁ〜らぁ〜用済みなんだって。まぁ最初はね、復讐心って面白そうって思ったけどね?貴方の行動可笑しいもん。なにあの手紙。全然、面白くない。任務内容の改竄だって、あれ、貴方の臣下の力でしょ?『禁忌』を解放して、貸した力で呑み込んだ神様の力。神様可哀相〜まぁ、神が減ったのは嬉しい方なんだけど〉〉
男の悲鳴など気にも止めずに刃物を持つ声の主は言う。
男は、自身の臣下までを犠牲にしてしまったようだ。
〈〈でも、面白くない。もっと愉しませてくれたら、貴方の復讐、成功してたかもね?じゃあ、バイバイ。此処まで、ご苦労様、『忌鬼』〉〉
刃物を抜き、今度はその刃物を首に突き刺した。男が微かに呻いた後、『忌鬼』のように男は黒い靄となって消えた。消える瞬間、国彦は見た。自分に向かって手を伸ばし、何故か笑う男を。
消えた男の向こう側にいたのは両手を手錠で繋がれた一人の子供だった。その左手には血塗れの刃物、ナイフが握られていた。子供は国彦と千聖を見ると楽しそうに瞳を輝かせた。
〈〈“憑依”…うんん、“鬼眼”!なぁ〜んだ、あっちよりこっちの方が面白そうじゃん!じゃ、こっち行こっと!〉〉
「お前…敵、じゃ…」
千聖が戸惑いつつ問うと子供はん?と首を傾げた後、〈〈前はね!〉〉と答えた。
は?前は?じゃ、今は?
ザッと音がして周りを見ると全ての『忌鬼』、『アラーヴァ』を倒した戦闘支部全部隊が集結し、子供を取り囲んでいた。明らかに普通の子供ではない。誰もがそう察した。攻撃したのに死ななかった男をいとも簡単に殺したのだ。普通とは思えない。
【子供を捕獲しろ。協力者であり………多分、『禁忌』だ】
この子供が…?
囲まれているにも関わらず、無邪気に笑う子供。新しい玩具を見つけて嬉しいのか。
国彦は子供を睨む。が子供は彼を愛しそうに何故か見ている。新しい玩具、面白いもの、ではないのか……
「っ」
頭がまた痛い。
国彦が頭を抑えたと同時に子供は捕らえられ、その動きを封じられた。子供はそれでも嬉しそうに笑っていた。
【捕らえました!】
【よし、後方支援支部に引き渡せ。皆、ご苦労様。戦闘終了だ】
国彦は戦闘が終了した事に安心して息を吐く。と、国彦の身体から何かが抜け落ちる感覚。そしてそのまま国彦は背後から伸びてきた誰かの腕に支えられながら、意識を手放した。
その後、傷ついた戦闘支部の治療のため、医療支部が総動員で動き。犯人が分かった事と『禁忌』らしき子供を捕らえた事で後方支援支部も総動員で動いた。
本部は政府とも情報を共有し、『禁忌』が人型である可能性を告げた。
組織内ではこれまでにない大きな戦争を経験し、捕らえた『禁忌』らしき子供からの情報によってはこれよりも凄まじい戦争をしなければならないと云う話が広まった。実際、誰もがもう少しだとやる気を見せていた。
〈〈組織の方が面白そうなんだもん。『禁忌』にはそんな思い入れないし。入れてよ、ダメ?〉〉
子供じみた『禁忌』が牢の中で愉快そうに笑った。
もうすぐで年明けですねぇ。良いタイミングで第四章が終わったので今年の投稿は此処までです。
今年は、この物語を読んで下さりありがとうございます。来年も宜しくお願い致します。それでは来年、お会いしましょう!




