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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第五章 散ってしまった花言葉
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Mission49.言えない話、言えない言葉

明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたします!

今年も拙いながらも精一杯頑張ります!ではどうぞ!




カツカツと廊下に音が響き渡る。その音の主は第十部隊『神樂かぐら』の担当医となった朝陽。彼はある病室を目指して歩いていた。第十部隊は一名を除いて傷が浅かったために治りが早かった。その一名は傷が酷く、緊急時とはいえ『神譜』による止血と代償で入院となった。その傷も治り、明日には退院となったが今日は様子見で病室に一泊だ。


朝陽は手元の資料を見ながら歩いていると前方から足音がした。それに反応して顔を上げるとこちらに向かって歩いて来ている長谷部がいた。


〈よっ、はせっちー〉

〈だから、その呼び方はやめろと言っただろう〉


朝陽が片手を挙げながら彼に言うと彼は不機嫌そうに顔を歪めた。よっぽど朝陽にそう呼ばれるのが嫌らしい。朝陽は気にする様子もなく、長谷部を見上げた。


〈こんなとこでなにしてんだ?『玄武げんぶ』は今日、確か…〉


朝陽はそう言いながら防衛部隊の担当医である弟の一人から聞いた話を思い出そうとする。それを長谷部は急かす事も呆れる事もなく、彼が思い出すのをただ待っていた。それを見て、人にはキツイ事言ってるくせに…と少し可笑しかった。

ようやく思い出し、朝陽は喋り出す。


〈そうそう。遠出するんじゃなかったか?ミナトってとこに行くんだったよな?大丈夫なのか?〉

〈嗚呼。出発時間にはまだ時間があるしな。国彦の見舞いに来させて貰っていた〉


長谷部が国彦の見舞い。

そう、一名とは国彦の事である。

朝陽はいつ長谷部と国彦達が知り合ったのかと思ったが、そういえば合同任務で一緒だったなと思い出した。


〈はせっちがそんなに人を気にかけるなんて、天変地異の前触れじゃねぇの?〉

〈貴様はなぁ、〉

〈ハハッ、冗談冗談。怒んないでくださいよー〉


朝陽のからかいに長谷部がムッとすると彼はクスクスと笑った。日常茶飯事なので長谷部が本気で怒ることはない。が謝っておく事に越したことはない。朝陽は軽く謝罪の意として頭を下げた。それを長谷部はクスリと笑って右手を挙げて受け止める。


〈そろそろ私は失礼させて貰う〉

〈おう、でもさ、やっぱ聞いても良いか?〉

〈なんだ?〉

〈はせっちって国彦と仲良かったっけ?〉


それに長谷部はまたクスリと笑う。


〈国彦の臣下、灯茉の奴に呼ばれてな。だったら見舞いして行こうと〉

〈ふーん。灯茉か。何の用だったんだ?〉

〈悪いが秘密なんでな〉


長谷部が口元に人差し指を当て言う。それに朝陽は少しむくれた。


**


長谷部と別れた朝陽は病室へ辿り着き、軽くノックする。すると中から〈良い〉と短い反応が返って来た。朝陽は扉を開け、中に入った。中に入るとベッドの中でスヤスヤと寝息を立てて眠る国彦がおり、その隣では壁に背をつけて椅子に座っている灯茉がいた。灯茉は朝陽に気づくと彼を見た。


〈国彦はお昼寝中か?〉

〈嗚呼、長谷部が来ても寝ておった〉


クスリと灯茉は口元を袖口で隠して笑った。朝陽がそちらの方へ歩きながら進み、布団に顔を埋めた国彦を覗き込む。

うん、大丈夫だな。

彼の顔色が良い事を確認し、朝陽は手元の資料に持ってきたペンで何かを記入した。ふと、灯茉を見た。長谷部と何を話していたのだろう。何故、長谷部が呼ばれたんだろう。詮索してはいけないと思いながらも弥厳から聞いた“仮説”が頭から離れない。


〈……なぁ灯茉〉

〈ん、なんじゃ?〉


詮索する事じゃないと思ってはいる。けれど、これはーーーー

朝陽は意を決して彼に聞いた。


〈長谷部と何話してたんだ?〉


ピタリ。その表現のように灯茉は動きを止めた。笑っていた笑みが歪んで行く。

聞いてはいけなかったか。朝陽は瞬時に判断し、話を逸らすように言った。


〈そういえば、第十部隊の他の奴らは溜まりに溜まった任務を消化しに行ってるぜ。夕方頃には帰ってくるって〉

〈………そうか〉

〈灯茉はこれからどうすんだ?夕方頃に第十部隊とまた一緒に来るけど。それまで暇だろ?〉


灯茉は少し考えた後に近くのミニテーブルの上のものを指差した。持ってきた本らしく、それを読むと言うことらしい。


〈そうか………悪りぃな〉

〈お主が謝る事など何一つないであろう?〉


見逃した。言い方を変えれば、“まだその時ではない”と判断されたか。

朝陽は灯茉の答えに笑い、


〈んじゃ、また後で〉

〈嗚呼、またな〉


病室を出る。長い廊下を次の目的地目指して歩きながらうむと考え、ある言葉を小さく呟いた。


〈“鬼眼”……か〉


と。


一方、朝陽が出て行った後の病室では灯茉が壁に頭をもたれながら窓の外を見やった。

いつか話そう、と何度思った事か。

何度、縋りたいと思った事か。

けれど、“まだその時ではない”から。

灯茉は眠る国彦を横目に見るとまた外を見やり、抑揚のない声で、冷たく、悲しそうな声で呟いた。


〈“鬼眼”……と…『**』…か〉



新年早々、ちょっぴりシリアス?が漂う話です…

てかもう少しで50ですよ…早い……

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