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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第四章 異変の歌声
44/85

Mission44.意味のある闘い

バトル!!



その日、第十部隊は任務がない暇な日だった。ラウンジで集まって今後の対策やたわいもない会話に花咲かせていた。他の部隊の人達も、後方支援支部の人達も医療支部の人達もみんながみんな、普通通りだった。あのおとがなるまでは。


ービーッッ!!ビーッッ!!ビーッッ!!ー


建物内に響き渡る警報音に全員が身構えた。


【緊急事態発生!!緊急事態発生!!建物付近に大量の『忌鬼』が出現しました!!本部から通達!戦闘支部全部隊、出撃を言い渡します!後方支援支部、“砦”を展開し、近辺の街へ通達、各自の持ち場へ移動してください!医療支部、怪我人が出ると思われますので治療が可能な体制をとってください!繰り返します!建物付近にーーーーー】


は?

全員が思ったことは同じだったことだろう。『忌鬼』がこの建物付近に大量出現?嘘だろ。

けれど、これが嘘の情報と云う確信はなかった。全員に緊張が走り、戦闘支部の人達は武器を手に入り口へ駆け出し、後方支援支部と医療支部が慌ただしく行動を開始する。

国彦の頭でまた、あの日の警鐘が鳴り響き、あの日と同じように頭が締め付けられる感覚に陥る。


〈国彦!〉

「国彦!」

「?!」


国彦は肩を叩く千聖の手と声、灯茉の声に我に返った。真剣な表情の2人と先に走り出してしまった仲間達を交互に見つめて国彦は頷き返すと立ち上がり、走り出した。


建物の入り口へ辿り着いた時、誰もがその光景に衝撃を受けた。それは国彦達も同様だった。


「な……に、これ」


国彦はそう呟いた。目の前に広がっていたのは情報通りの大量の『忌鬼』の群れだった。様々な形や大きさの『忌鬼』が所狭しとこちらに向かって進行していた。『『禁忌』対抗専門組織』の建物近辺の街々は『忌鬼』用防衛シールド、“砦”を展開している。『忌鬼』はそちらには興味がないらしく一心にこちらを目指している。

誰もが驚愕しながらも、指示を待っていた。その身はこれから起こるであろう出来事を察して強張っていた。

すると耳に刺したイヤホンから低くもありながら緊張感を持った声が入って来た。


【どうも、本部長だ】


本部長?!国彦も誰もが驚き、声を上げた。それに本部長はクスクスと笑うと彼らに、指示を飛ばした。


【戦闘支部全部隊に告げる。直ちに『忌鬼』共を討伐せよ】


激励もなければ、淡々と言われる短い命令。本部長はそう云うお人だ。その姿を見たことがない国彦達であろうとわかる。自分を信頼しているから、命じるのだ。この戦闘を。


【お任せを。本部長】


戦闘支部長が告げると戦闘支部から雄叫びが上がった。やる気に満ちた雄叫びと掲げられた無数の刃物。


【本部長よりこれからの指示はオペレーター部隊全隊員が引き受けます。後方支援支部遊撃部隊の準備が整い次第、戦闘に入ります】


イヤホンから仲間の声が聞こえてくる。いつも通り、討伐してみせましょう。


「灯茉」

〈嗚呼〉


灯茉の持つ大太刀に手をかけ、スラリと抜き放つ。それを構える国彦の顔は真剣そのもの。

さっきの頭痛も警鐘も消えた。嫌なくらいに。今はこっちに集中!

灯茉は鞘を背負うと攻撃体制に入った。全員が全員、攻撃の合図を待つ。逃げ出す者など居ない。我らの闘いの場である場所から何故、逃げようと思うだろうか。

ガチャ、と頭上で音がし、そちらに顔を向けると建物の屋上、ヘリポートに何人もの銃器を持った人達が立っていた。


「後方支援支部遊撃部隊だよ」


螢が上を見上げる国彦にそう言いながら自らも見上げる。国彦はそれに「へぇー」と感心したような声を上げる。


「遊撃部隊は表立って戦闘には参加せず、彼らの支部の名の通り、後方支援をしてくれるの。彼らには随分助けられたなぁ」


まるで昨日の事のように螢が笑みを浮かべて言う。国彦はまだ彼らの実力を見ていないが螢にそう言わせるほどの実力なのだろうと思った。千聖が大斧の持ち手で国彦の肩を叩いて呼んだ。国彦は「なぁーに」と振り向いた。


「頑張ろうぜ?」

「!うん!」


パチンっと2人で手を合わせて、互いを鼓舞する。隣で見ていた灯茉が微笑ましそうに笑った。


【遊撃部隊が攻撃に入ります。皆さんは遊撃部隊が射程圏内に入った『忌鬼』を射殺した後、突撃してください。その後も遊撃部隊は皆さんの後方支援をさせていただきます。怪我をした場合は無理をせずに後退してください。ご武運を】


イヤホンから合図が響く。国彦も灯茉も千聖も真剣な表情で『忌鬼』の群れを睨みつけた。『忌鬼』の群れがゆっくりとこちらにやってくる。長い沈黙が、とてつもなく長く感じる。そして


ーズドン!ー


遊撃部隊が射程圏内に入った『忌鬼』を射殺し始めた。突然の攻撃に狼狽える『忌鬼』達に撃ち込まれる幾つもの銃弾の雨。

そして、


【戦闘支部全部隊、出撃!】

『『おおお!!』』


戦闘たたかいが始まった


**


「螢と弥厳は前方の『忌鬼やつら』討伐して道を作れ!国彦、千聖、灯茉は後方、オレと管狐は左右だ。お前ら、いいな!?」

『はい!!』


隊長の西珠の命令に全員が声を張り上げる。

国彦は灯茉と千聖と共に言われた通り、自分達の後方にいる『忌鬼』の相手をする。

と、一体の『忌鬼』が大きく跳躍し、その刃物を千聖に突きつけた。千聖は大斧を振り、『忌鬼』を後退させつつも追撃を与え、倒す。国彦は大太刀をブンッと振り回し、『忌鬼』達を薙ぎ払う。薙ぎ払われた『忌鬼』達に灯茉が最後の一撃を与え、倒す。


【戦闘支部第六部隊より通達!『アラーヴァ』が紛れています!!】


他の部隊の人からの情報に国彦は目の前の敵を見据えて身構えた。千聖が倒した『忌鬼』が復活を遂げていた。『アラーヴァ』か…背後で千聖のそんな声が聞こえた。


「亜矢都、攻撃力上げろ。叩っ斬る!」

「無理はしないでね!千聖!」

〈心配ご無用よ〜国ちゃん!〉


『アラーヴァ』と『忌鬼』の群れに跳躍し、大斧を振り回す千聖。国彦は亜矢都の答えに苦笑しつつも灯茉と共に加勢に向かう。


〈本当に…国彦の友は面白い者ばかりじゃのぉ〉

「そんな事言ってないで、行くよ灯茉!」


灯茉が千聖の後を空中を滑るように追い、空中から攻撃を与える。国彦は足止めに来た『忌鬼』達を大太刀で真っ二つに斬って散らばせると素早く、そちらへ行こうと足に力を入れ、跳躍しようとした。


〈〈「「 ーーーーーーーーーーー」」〉〉


あの時、聞いた濁声が背後から響いた。頭の中で再び警鐘が鳴り響く。また、あの頭痛がする。

背後を振り向く時間も、何処かへ進む時間もないままに国彦の体に鋭い痛みが走った。


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